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#行動変容

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コロナ禍でのアメリカ生活⑮「世界中でパンデミック・ドリームで悩んでいる人がいる」

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私と夢の関係

私は毎晩必ず夢を見てそれを克明に覚えている。夫との朝の会話は「今日の夢はこれこれこんな感じで、結果こうなったの」でいつも始まる。良くカラーの夢や同じ夢を何度も見るし、さらに夜中夢の途中で目が覚めて、もう一度今見ていた夢に戻りたい時は戻れるといったことも起きる。また、虫の知らせのように翌日起こることを予知したような夢も見る。特に予知的な夢見に関しては、母方の血筋から来ているのかな?という風に思っている。

母は伊豆大島出身で、親戚は伊豆大島の大宮神社の神主の家系で代々続いている。この大宮神社は「御神火(活火山の三原山)」を鎮めるための神社でもあるので、パワースポットとしても知られている。また母の従妹は神がかりの女性で新興宗教の開祖となった人でもあり、理屈では簡単に説明できない何かが母方にはある。私が子供の頃、母が「昨日こういう夢を見たから今日大島から連絡が入る」といったことを良く話していたが、それは殆ど当たっていた。また私も同様な予知的な夢を見る機会がある(何年も会っていない友人が夢に出てきて病気を私に告げて、翌日彼の闘病と死を知った)。

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パンデミックと夢の関係

以下の夢の説明は、National Geographicの「新型コロナで奇妙な夢や悪夢を見る人が増加、理由と対処法は」という記事の中からの抜粋で、今世界中の多く人達の間で起きている「corona virus pandemic dreams」現象について、紹介する。

夢の役割

夢の内容や感情は、起きている間の幸福感と関連しており、象徴的で奇妙な夢には、強烈な記憶や日々の心理的ストレスを、潜在意識のなかだけで安全に和らげる効果がある。一方で悪夢は、起きている間には自覚していない不安を知らせる危険信号という見方もある。

覚醒時の活動が、夢の内容に影響を与える記憶のスライドを作り出すことは、多くの研究で示されている。日中から持ち越した感情は、夢の内容やその感じ方に影響しうる。フィンランドの研究者達は、心が平穏だといい夢を見やすいこと、反対に、不安は「夢への悪影響」をもたらし、恐怖や動揺する夢になるとデータで証明している。

夢は幻覚とよく似ている。夢を生み出す神経生物学的な信号と反応は、幻覚剤で引き起こされるものに近い。幻覚剤は「セロトニン5-HT2A」と呼ばれる神経受容体を活性化させ、これにより脳の「背側前頭前野」と呼ばれる部分が働かなくなる。その結果、意識によって感情が抑えられなくなる「感情的脱抑制」という状態に陥る。これは特に、夢を見るレム睡眠で起こることと同じ。このプロセスは毎晩起こるが、殆どの人達は見た夢を覚えていない。

「corona virus pandemic dreams」現象

今世界中で様々な研究チームが夢を分析しているが、多くの人達が「コロナウイルス・パンデミック・ドリーム」という新たな現象を経験しているという。パンデミック・ドリームは、ストレスや孤立、睡眠パターンの変化によって、通常の夢とは一線を画す否定的な感情の渦に彩られている。夢研究の専門家でBoston University School of MedicineのPatrick McNamaraは、「我々は通常、激しい感情、特に否定的な感情を、レム睡眠や夢を利用して処理している。今回のパンデミックが、多大なストレスや不安を生み出していることは明らかである。このパンデミックのさなか、孤独やストレスが高まるせいで、夢の内容が影響を受けたり、夢を覚えていることが多くなったりしている可能性がある」という。

ストレス源に「近い」ほど悪夢が増える

2020年3月から進行中のフランス、リヨン神経科学研究センターの研究によると、今回のパンデミックは、夢を思い出せる回数を35%増加させ、悪い夢を通常より15%増やしているという。イタリア睡眠医学会が進める別の研究では、感染拡大のさなかに閉じこもり生活を強いられたイタリア国民の夢を分析した。回答者の多くは、心的外傷後ストレス障害(PTSD)の症状と同じような悪夢や頻繁な目覚めを経験している。現在進行中の研究結果からは、パンデミックの脅威に近い人、つまり医療従事者や感染拡大の中心地の住民、あるいは家族に感染者がいる人ほど、新型コロナウイルスに影響された夢を見る可能性が高いことが示唆される。

じゃあ、悪夢を見ないためにはどうすればいいんだ?

私が考えるポイントは、まず自宅待機で起こる諸事情をネガティブに捉えず、全て裏返しにしてポジティブに考えること。「家族と一緒に過ごせる時間が増えて嬉しい」、「子供の勉強も他人事にせずに自分で見てあげられる。これで子供の学習能力も上がる」、「妻や夫さらに子供が一緒になって家庭で作る食事って、なんて美味しいんだろう」、「通勤時間がない分、普段できなかった読書(ちょっと難しい書籍)や音楽(今まですっかりやっていなかったけど楽器演奏を始める)など自分の好きなことに時間を使える」、「自宅で簡単に育てられるハーブなどの手づく野菜は美味しく便利」、「外出しない分、お金のセービングが出来る」、「オンデマンドで自分の好きな時間に自宅でエクササイズが可能」等々、どんな小さなことでもポジティブに考えれば、人は幸せになれる。また家族の間で「ありがとう」を連発し、ギャグやコントで相手を笑わせようとすると、必ず楽しく嬉しくなる。こういう「はっぴい度」を意識してあげる工夫をし始めると、悪夢を見る頻度は自然と下がると思う。

要は、パンデミックがもたらす出来事をポジティブに捉えて、そのBenefit & Advantageをしっかり認識することが、悪夢がアタマに入ってこない防波堤になるんだと思う。長丁場でみんながしんどいと思うけど、「習うより慣れろ」で、状況を拒むのではなく受け入れて、そこに楽しみを見つけてエンジョイすることが大切だと思う。

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コロナ禍でのアメリカ生活⑭「Post Corona Eraのために今考えておくこと」

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Paper or Plastic?

25年前米国に移住した時、初めてスーパーマーケットのキャッシャーに「Paper or Plastic?」って聞かれて、てっきり、「支払はクレジットカードか紙幣(現金)か?」と聞かれたと思い、「プラスチック(カード)」と言ったことを突然思い出した。勿論これは買ったものを紙袋かプラスチックの袋のどちらに入れるのか?という意味だったが、何故か、私は即座に支払い方法だと思い込んだ。当時は、キャッシュ(現金)、チェック(小切手)、デビットカード、クレジットカードの4種類しかなく、多くの人達がチェックブックを取り出して、金額を記入し、キャッシャーはそれをレジスターのマシンでVerifyして受け取る、という古き良き時代(或いは物凄く時間のかかる時代)だった。

非接触モバイルペイメントの支払いが要求される時代が来るとは

今、米国では兎に角、人との接触を避けることが最も重要な取り組みとなっている。キャッシュもクレジットカードもデビットカードも接触型の支払い方法なので、非接触のApple Pay、 Google Pay、Samsung PayといったモバイルペイメントがPreferという店舗が出てきている。これは、消費者にかなり劇的な行動変容を求める大きな動きと言える。現在、キャッシュを断ってカードのみの決済の小売店舗は多いが、顧客がカードをマシーンに差し込んだ後、キャッシャーは必ずマシーンのパッドをワイプして消毒するという手間をかけている。キャッシャーは、透明の仕切りで顧客との接触は避けているが、多くの手間と時間が支払いのやり取りでかかっている。

米国2023年近接モバイルペイメント利用額は2,200億ドルに達する(2019年9月のeMarketerの予測

eMarketerによると、米国の2019年の近接モバイルペイメントの利用額は1,000億ドルに達すると予想されているが、これは1人当たり年間平均支払額$1,545を意味し、近接モバイルペイメントの支払額は対前年比24%増。利用者は6,400万人(9.1%増)でスマートフォンユーザの30%にあたる。

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Starbucksは、この非接触モバイルペイメントの先駆けで、市場の25.2%を占めているが、最有力ペイメントは何といってもApple Payである。2019年の米国非接触モバイルペイメント市場の30.3%を占め、2019年末までにApple Payは、米国小売店舗の70%迄使えるようになると予想されている。ペイメントに関しては、かなり保守的な私ですら、このコロナ禍でモバイルペイメントを要求された場合を想定して、Optionとして、遂にApple Payをセットアップした。

「Post Corona Era」では不必要な接触は避けるという心理が働く

これらの数字は全てコロナ禍の前の予測で、上述したように、現在のコロナ禍で支払いに限らずあらゆるコトに、非接触を要求されている。この流れで行くと、結果非接触のモバイルペイメントを多くの人が使い始めて、多分その便利さと手軽さによって、これらの数字は大きく増えてくると思う。またPost Corona Eraでは、非接触モバイルペイメントの利用場所が急速に拡大し、アメリカ人は、支払いアカウントをクレジットカードやデビットカードに紐づけて、手軽にどこでも、非接触モバイルペイメントを利用して、以前と同様に買い物をし始めると思う。

ひさみが考える消費者の行動変容がおこる「心技体」

今回のパンデミックは、世界中がいきなり鎖国のような状態となり、社会・経済活動が停止するという、今までの規模では考えられない制限を、人々に課している。勿論国ごとにその制限レベルの差はかなりあるが、「行動に制限をかけられて生活する」という形を強いられるのは、かなり長く生きてきた私でもあまり記憶がない。消費者の行動変容が起こるには、心技体ともいうべき、3つの要件が整わないとなかなか起きない。非接触モバイルペイメントの浸透拡大の、心の部分は「人と接触しないですむし、簡単で便利で速い」、技の部分は「NFCシグナルに機能する新たなPOSシステムの拡大で利用場所が浸透拡大している」、「体」の部分は「自分の身体の一部としていつも持ち歩くスマートフォン利用」といった点が挙げられる。

「Post Corona Era」には、このペイメント以外に、様々な消費者の行動変容が起きてくると思うが、マーケターとして、今必要なことは冷静に人々の心理や行動を見つめて、潮目を読む、これが肝だと思う。潮目は変わる前に読まないと意味がない。潮目を読むためには、1人のマーケターとしての視点は勿論であるが、より重要なのは1人の消費者としてどのように生活を考えるかという点で、この2つはどちらが欠けても、潮目は読めない。

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