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【7日間ブックカバー】6日目 - 隆慶一郎の未完の大作(絶筆)『花と火の帝』

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Facebookの仲間達からバトンが渡されて7日間ブックカバーを開始。これは備忘録として記録しておきたい。

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【7日間ブックカバー】6日目 - 隆慶一郎の未完の大作(絶筆)『花と火の帝』

兎に角、私は隆慶一郎の時代小説が大好きで、殆どを読んでいる(それも1冊1冊を何回も何回も読んでいる)。

隆慶一郎は1984年60歳の時に小説家としてデビューした。それまでは本名の池田一朗で脚本家として映画『にあんちゃん』、テレビドラマ『鬼平犯科帳』などを手掛けていた。彼は60歳から66歳までたった6年という短い期間で、私も含めて一度でも彼の小説を読んだら、彼の作品の虜になるような小説を14冊書き遺している。私が特に好きな作品は『吉原御免状』『かくれさと苦界行』『一夢庵風流記』『影武者徳川家康』『捨て童子・松平忠輝』『見知らぬ海へ

この小説は、天皇の御輿を担ぐ八瀬童子の岩介(天皇の隠密)と後水尾天皇を主人公として、徳川幕藩体制を固めようとする2代将軍徳川秀忠との、知らざれざる確執と攻防を描いたもの。

八瀬童子とは、建武の頃、後醍醐天皇が足利尊氏に追われて、比叡山に潜行した際、輿をかついだのが縁で、天皇家との結びつきを強め、禁裏の駕輿丁を務めるようになり、明治天皇と大正天皇の大喪でも、その柩をかついでいる。

「鬼の子孫」と呼ばれてきた八瀬童子の中でも、主人公の岩介は、一族がかつて持っていた太古の異能を色濃く血に受け継いだ「本卦還り」。さらに後水尾天皇は、幼少の頃から歴代の天皇が持つ神秘(呪術に近い)のチカラを持ち、「道々の輩(農業民以外の自由な漂泊者たちー山の民、漁民、芸能民、承認、手工業者、商人、遊女、山伏、呪禁者など)」によって熱い支持を受けていた。これを潰しかかる徳川幕府は、柳生忍群を主力として、様々な暗殺者を禁裏に差し向ける。

岩介の八瀬の暗号のような言葉と、後水尾天皇が語る京言葉(今まで御所言葉で話す天皇は読んでいたが、京都弁で話す天皇は初めて)が何とも言えず、全体の小説のトーンを柔らかく更にリアリティを感じさせる。

隆慶一郎の時代小説は、歴史の裏に潜むロマンを想像力によって大胆に膨らませて常識をひっくり返し、膨大な資料にあたった上で網野善彦による網野史観を取り入れている。緻密で美しい文章と綿密な考証と壮大なスケールで描かれる伝奇的な世界観は、私を魅了する。彼の遺された作品を全て読まれることをお勧めする。

PS:この『花と火の帝』は、残念ながら未完に終わっており、この続きがぜひ知りたいと、今でも熱望している。思わず、自分なりに解釈して、書こうと思ったくらい。そこまで自分も怖いもの知らずではないので、やってはいないけど。

【目的とルール】
●読書文化の普及に貢献するためのチャレンジで、参加方法は好きな本を1日1冊、7日間投稿する
●本についての説明はナシで表紙画像だけアップ(書いても良い)
●都度1人のFB友達を招待し、このチャレンジへの参加をお願いする

【バトン】
バトンは、私の仲良し友達の1人 Toru Saitoさんに渡します。長いお付き合いで、とてもはっぴいで楽しい私の友達です。お願いします。

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#BookCoverChallenge #day6

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【7日間ブックカバー】5日目 - イサク・ディーネセン(Isak Dienesen)の『アフリカの日々(Out of Africa)』

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Facebookの仲間達からバトンが渡されて7日間ブックカバーを開始。これは備忘録として記録しておきたい。

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【7日間ブックカバー】5日目 - イサク・ディーネセン(Isak Dienesen)の『アフリカの日々(Out of Africa)

昨日ヘミングウェイの遺作を紹介したけど、ディーネセンは、ヘミングウェイが20世紀最高の「Story teller」と評し、実際1954年ヘミングウェイは彼女とノーベル文学賞を争い、彼が受賞した。

1885年生まれの彼女は、28歳の時にスウェーデンの貴族と結婚し、本名はカレン・ブリクセン(Baroness Karen von Blixen-Finecke)。但し20世紀初頭という女性の地位が低い時代、小説は男性名のペンネームのディーネセンを使っていた。

1937年に出版された 『アフリカの日々』は、1914年から1931年の17年間の彼女のアフリカでの農場経営を元に書かれているが、1985年に映画化されたハリウッド映画『愛と哀しみの果て』とは大きく異なる(私は小説を先に読んで映画を見たのでかなり驚いた)。彼女はアフリカ時代に夫と離婚し(夫から梅毒をうつされて後年病気に苦しむ)、単身で農場経営を試みるが失敗し、デンマークに帰国した。

小説は、アフリカの風景、人々、動物たちに対する彼女の畏怖と愛情を、独特の切れ味鋭い描写で綴る壮大アフリカ叙事詩で、映画のようなロマンチックなお話ではない。

私が好きな理由は、昨日紹介した『海流のなかの島々』も然りだけど、文章を読み進めると、アフリカの大地の匂いを実感出来るところ。また叙事詩と言っていいほどの詩的表現も実にいい。

私の夫はデンマーク系のアメリカ人で、デンマークへの親近感もあるが、それとは’関係なく、彼女の他の小説も含めて(『七つのゴシック物語』、『バベットの晩餐会』)、読んで、物凄く面白い。ヘミングウェイに言われるまでもなく、彼女は「Story teller」として、本当に20世紀を代表する作家だと思う。

PS:映画『愛と哀しみの果て』の日本公開時に英語読みの「アイザック・ディネーセン」という誤表記が広まり、定着した(アイザック=英語読み、ディーネセン→ディネーセン=デンマーク読みの誤表記)

【目的とルール】
●読書文化の普及に貢献するためのチャレンジで、参加方法は好きな本を1日1冊、7日間投稿する
●本についての説明はナシで表紙画像だけアップ(書いても良い)
●都度1人のFB友達を招待し、このチャレンジへの参加をお願いする

【バトン】
バトンは、私の仲良し友達の1人 Qanta Shimizu さんに渡します。日米両方で会っているけど、1月にはSt Georgeの我が家にもCESの帰りに来てくれた。もう体調は良くなったと思うので、お気に入りの本の紹介、お願いします。

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#BookCoverChallenge #day5

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【7日間ブックカバー】 4日目 - アーネスト・ヘミングウェイ(Earnest Hemingway)の遺作(最後の小説)『海流のなかの島々(Islands in the Stream)』

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Facebookの仲間達からバトンが渡されて7日間ブックカバーを開始。これは備忘録として記録しておきたい。

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【7日間ブックカバー】4日目 アーネスト・ヘミングウェイ(Earnest Hemingway)の遺作(最後の小説)『海流のなかの島々(Islands in the Stream)』

この小説はヘミングウェイが1950年から1951年にかけて書いた作品で、1961年彼が自殺した時に原稿のまま残されていた。彼の死後、妻のMary Hemingwayによって発見され1970年に出版された。

主人公は、ヘンミングウェイの自画像に近い画家トマス・ハドソン、当初は"The Sea When Young"、"The Sea When Absent"、"The Sea in Being"という副題の3部構成で、その後名称は"Bimini"、"Cuba"、"At Sea"と変更された。4番目にあたる部分が、生前『老人と海(The Old Man and Sea)』として、1952年に出版されている。1977年にGeorge C. Scott主演で映画化された

私がこの小説が好きな理由は、海洋の波や飛沫や風や太陽といった自然を直截的に感じられて、読み始めた途端に自分がカリブ海の海流の中に溶け込んだような感覚を感じたこと。ヘミングウェイの人生そのものを知っているせいか、彼と主人公の姿がダブり、人が生きて死ぬというコトを考えさせる。

これを読んだ時は、まだセーリングをしていなかったが、母の故郷の伊豆大島でいつも夏を過ごしていた海洋大好き人間としては、お気に入りの小説。日本語訳しか読んでいないので、これを機に英語で読もう

PS:日本語版のカバーもいいけど、オリジナルの海図を使った表紙が実にいい。

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【目的とルール】
●読書文化の普及に貢献するためのチャレンジで、参加方法は好きな本を1日1冊、7日間投稿する
●本についての説明はナシで表紙画像だけアップ(書いても良い)
●都度1人のFB友達を招待し、このチャレンジへの参加をお願いする

【バトン】
バトンは、私の大切な友達の1人のKenichi Kikuii さんに渡します。私が珍しくちょっと困った時に、思わずメッセージして、想いをダウンロードする相手。お願いします。

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#BookCoverChallenge #day4

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【7日間ブックカバー】 3日目 - 岡本太郎のフォト・ルポルタージュ『岡本太郎の東北』

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【7日間ブックカバー】3日目 岡本太郎によるフォト・ルポルタージュ 『岡本太郎の東北』

岡本太郎は1938年パリ大学のソルボンヌで民俗学を学び、専門領域にオセアニアを選んだ。この頃、著名な写真家のマン・レイやロバート・キャパ達との交流もあった。

この本は、1950年代の東北を描写するフォトルポルタージュで、彼の洞察力に富んだ写真と文章による「東北文化論」である。本の腰巻に書かれているように、岡本太郎はこの時「カメラを持ったシャーマン」として、日本文化の源流を求めて東北に旅立った。私は彼の書籍を色々読んでいるが、視点もさることながら、言葉の選び方にいつも圧倒され、また熱狂する。この本における、彼の民俗学者としての洞察は、私の大いなる共感を呼び、彼の奇をてらわない語り掛けるような写真によって、私は1950年代の東北を、彼と一緒に旅したような気になった。

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岡本敏子が寄せる序文にこう書かれている。

岡本太郎が東北に寄せる情感には特別なものがあった。血が騒ぐのだ。縄文の故郷だから、とか頭で考えて辻褄を合わせたような偏愛ではない。"恋は思案のほか"と言うが、とにかく彼はあの風土と人間に、並々でない共感を抱いてしまう。まづ、あの緑が好きだった。みずみずしく、深く、ぶ厚い。グリューネワルトだと言っていた。丁度、ヨーロッパがまだ緑に覆われていた頃、ケルトの、無限のうねり、変転し、くぐり抜けては回帰してゆく組紐文の世界観が、その緑の神秘から生み出されて行ったように。縄文の、直接四次元の世界と対話するあの呪術的な、彫りの深い造形は、濃くみずみずしい緑の天地から培われたに違いない、と彼は思っていたようだ。」

2002年に発行された、とても素敵な本!

【目的とルール】
●読書文化の普及に貢献するためのチャレンジで、参加方法は好きな本を1日1冊、7日間投稿する
●本についての説明はナシで表紙画像だけアップ(書いても良い)
●都度1人のFB友達を招待し、このチャレンジへの参加をお願いする

【バトン】
バトンは、私の大切な友達の1人の Yuichi Inobori さんに渡します。日本出張時にいつも語り合うけど、時間がいつも足りなくなるほど、色々な話で盛り上がる。

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【7日間ブックカバー】 1日目 - 長谷川卓の『嶽神』シリーズ

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Facebookの仲間達からバトンが渡されて7日間ブックカバーを開始。これは備忘録として記録しておきたい。

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【7日間ブックカバー】1日目 - 長谷川卓の『嶽神』シリーズ13冊(上下巻があるので実際には8冊)

長谷川卓の『嶽神』シリーズ13冊(上下巻があるので実際には8冊)日本の戦国時代は殆どが武士の歴史や視点で書かれてあるが、このシリーズは里から離れて山と共に暮らす「山の者」から見た戦国の世。山の者たちの生き方は、まさに自然との共棲で、自然を畏怖し感謝し、エコロジカルに生きている。

コロナ禍で崩れ落ちた20世紀の負の遺産を清算して、今までできないと言い訳をしていたことを、いい訳なしで実行していかなければならない今に、ぴったり。どの本を読んでも全てが面白く、寝るのを惜しんで一晩で読んでしまえる。

写真は左から時代順に並べているので、まずは『血路』が始まり。駄文とも言えないような文章で作家と称する人が多い中で、群像新人賞を受賞し芥川賞候補にもなっている長谷川卓の文章は、命懸けで文章修行した作家だけが持つことのできる文体なので、読むに値する。

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【目的とルール】
●読書文化の普及に貢献するためのチャレンジで、参加方法は好きな本を1日1冊、7日間投稿する
●本についての説明はナシで表紙画像だけアップ(書いても良い)
●都度1人のFB友達を招待し、このチャレンジへの参加をお願いする

【バトン】
バトンは、私の大切な日本の友人達の1人であるKenji Sudo さん。彼と一度2人きりでかなり深い話をしたことがあるけど、彼はとっても奥が深い。お願いします。

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