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コロナ禍でのアメリカ生活㉛「コロナ禍は我々をタイムマシーンに乗せた」

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今年もあと2日で終わる。何を今年は考えたか?と自問自答しているところ、WSJの記事が目についた。その中でも以下のShopifyの VPのLoren Padelfordの言葉は正鵠を得ている。

“Covid has acted like a time machine: it brought 2030 to 2020,” said Loren Padelford. All those trends, where organizations thought they had more time, got rapidly accelerated.(コロナは、まるでタイムマシンのように2030年を2020年に持ち込んだ。まだ時間がかかると思われていたこれらのトレンドが、今年一気に加速した)”
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確かに今年1年は「個人及び社会において、10年分のデジタル化が進み、一気に生活が2030年レベルに到達した」と言える。4月の娘の結婚式を皮切りに、夫の父親の誕生パーティ、家族のReunion、選挙候補者との質疑応答、自宅が属するコミュニティ・ミーティング、姪のBaby Shower、クリスマスパーティなど、全てをZoomで行い、下は姪のお腹にいる赤ちゃんから、上は89歳の父親まで、当たり前のようにオンラインヴィデオで会話している。私達夫婦は、娘の夫側の家族と初めてZoomで顔を見て話し、夫の父親を含めて80代の親戚は毎週日曜日はZoomによる教会中継に参加している。

私は自宅で週に5日間毎朝ストリーミングによるエクササイズを行い、モバイルによるオンラインバンキングは当たり前になり、過去1年間一度も現金を使わず(非接触)、法的な文書や契約書もeサインで完結している。これは昨年までは中々想像できない浸透度で、オンラインによる消費行動や社会生活は、まるで10年前からやっていたかと思わせるほど、自然に生活に馴染んでいる。

仕事面では、25年間の滞米生活で初めて日本を含めて一切の海外出張がなく、更に飛行機に乗ったのはパスポートの更新でコロラドの日本領事館に行った時のみ。またその日も日帰りだったため、1年間一度も自宅以外で宿泊しなかった。日本のクライアントとのミーティングはオンラインヴィデオとなり、セミナーも全てオンラインで実施した。このデジタル化は、様々な利便性を私の仕事にもたらしている。

それまでは、私が日本に行かないとミーティングやセミナーが実施できないという慣習があったが、今年は私の出張スケジュールに関係なく、気軽にいつでもできるようになった(日米は時差があるので、米国時間の夜中とか朝方にセミナーをやる場合があるのが、ちょっと難点)。

さらに「ひさみっと」と呼ぶオンラインコミュニティを立ち上げて、毎回リアルタイムヴィデオで、ゲストとディスカッションするという中身の濃い日米間のコミュニケーションも可能となった。

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また事務的な面では、請求書は郵送ではなく、eサインをしてメール添付で送れるようになり、クライアントサイドのデジタル化も急速に早まった。

パンデミックが加速化させる「Asset light(資産軽量化)なビジネス」

2020年はビジネス面においては、投資家の資金が「Asset Light(資産軽量化)」のビジネスモデルの企業(Amazon、Carvana、Airbnbなど)及び、これらのモデルにインフラを提供する企業(Zoom、Microsoft、Shopifyなど)に流れ込んだ。デジタル時代においては、当然のように産業機械や工場などの有形資産よりも、アイデアやR&D、ブランド、コンテンツ、データ、人的資本といった無形資産が価値を生む。

この傾向はGoogle、Facebook、Amazonのような巨大プラットフォーム企業の成長に顕著に現れていたが、今年はパンデミックでビジネス上のやり取りが対面からバーチャルに移行し、一段とその流れが強まった。企業は今やオフィススペースや出張にかける費用を縮小し、クラウドコンピューティング、共同作業ソフトウエア、物流管理にかける費用を増額している。

デジタル化は、100年前から進行するプロセスの次のチャプター、即ち「Dematerialization of the economy(経済の脱物質化)」を意味する。農業から製造業に主役が代わり、やがてサービス業へと移行したが、それに伴い、有形物や労力に由来する経済的価値の割合は縮小し、情報や頭脳に由来する価値の割合が増大した。

局地的な疫病であったコロナは、パンデミック化し、全世界に同時に莫大な影響を与えて、デジタル化を半ば強制的に世界中に強いた。言い換えると、コロナ禍は「Dematerialization of the economy(経済の脱物質化)」のAccelerator(加速装置)の役目を果たしたことになる。

こうした流れの良しあしを、私はここで言及するつもりはなく、ただ確かなことは、この潮流が今後も継続していくという点だけは触れておきたい。

「出来ない」というExcuseはもう通用しない

何か新しいことをやる場合、「出来ない」という言葉を使う人がいるが、これを翻訳すると、「新たなことをしたくない」という意味になる。理由は、「失敗を恐れる」、「新たに学ぶことに手間暇かけるのがいやである」、或いは「既存権益を守りたいから」といったことが挙げられる。

但し2020年を経験した私たちには、もうこの「出来ない」というExcuseは通じない。ワクチン投与が始まった今でも、莫大な人達がワクチン接種ができて、予防が確立するまでには相当時間がかかり、その間にもコロナの変異種が生まれるなど、現状が2019年当時に戻ることは考えられない。感染を広げないためにも、「非接触」を中心とする生活は今後も継続していくと思う。

2030年の世界にタイムトラベルした以上、その仕組みの中で、自分にとってより良いやり方を見つけるしかない。時計の振り子は元に戻らず、「出来ない」ではなく「やるっきゃない」という姿勢で、新たなことにチャレンジする、それが2020年を厳しい現実を経た、私達の生きざまである。

私個人として、大好きなセーリングが今年1回もできず、愛艇のKaiyo(海洋)の乗れなかったことが、唯一残念なことといえる。

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それ以外は、このコロナ禍によって、様々な機会が与えられたことに、心から感謝している。家族や友人、さらにクライアントも含めて、離れていても、深い交流が可能となり、実りのある年だったように思う。

365日ほぼ24時間いつも一緒にいた夫に心からの愛と感謝をささげて、明日は2人で静かに良い年を迎えたいと思う。

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アメリカの現実⑫「無意識下のステレオタイプな考えをなくすには?」

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私はNational Geographicの記事が好きで、よく読むが最近読んだ記事の中で2つの興味深いものがあった。それは考古学上の発見ですら、科学者の無意識下のステレオタイプな考えによって、事実誤認、或いは事実を無視してしまうという事が起きるという点である。

9000年前の女性ハンターの発見

2018年カリフォルニア大学デービス校の考古学の研究チームは、アンデス山脈で発掘された約9000年前の墓にある人骨を、多種多様な狩猟用の石器、大きな獲物を倒してその皮をはぐ道具などを見て、当然のように優れた男性ハンターと決めつけた。だがその後の分析でその人骨は女性であることが判明し、さらに2020年11月4日付の「Science Advances」の論文によれば、当時南北米大陸では、大型動物のハンターの30-50%は、女性である可能性が明らかにされた。

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我々の先史時代に関する常識は「狩猟は男性、採集と育児は女性」という「伝統的な性別による役割分担」によって支えられている。但しこの19世紀以降の世界の狩猟採集民を調査してきた人類学者の記録に由来するものが、このペルーの発掘及び最新の研究で、必ずしも先史時代には当てはまらないことが証明された。言い換えると、このペルーの人骨以外にも、「女性の骨格に狩猟の痕跡があったり、狩猟道具と一緒に埋葬されていたりする」事実は、過去多く存在していた。しかし考古学者は、ステレオタイプな男女の役割分担の考えに縛られ、事実を無視、或いは見過ごすというミスを繰り返していた。

先史時代の狩猟のリーダーとして必要な資質とは、「健康で強靭な肉体を持ち、集団を統率し、大型動物を捕捉するための優秀な頭脳を有する」コトである。これらを備えていれば、当然、女性でも、ハンター或いは指導者になり得たことがここで確認された。

1000年前のヴァイキングの女性戦士

2020年9月8日付けの「American Journal of Physical Anthropology」によると、1000年以上前に埋葬されたスウェーデン南東部のビルカの墓は、ヴァイキングの男性戦士の『理想』の墓とされてきたが、DNA鑑定によって、この墓には、女性が埋葬されていることが証明された。この墓が発掘された当時(1880年代の終わり)は、遺骨は剣、矢じり、槍、そして殉葬の馬2頭と共に見つかったため、考古学者は固定概念に基づき「これを戦士の、つまり男性の墓だ」と考えた。

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またこのDNA鑑定以前にも、この定説を覆す研究がなされ、遺骨の骨盤と下顎を詳しく分析して、女性に典型的な寸法と一致するという結果が出たが、一部の考古学者は、墓地の発掘は100年以上前に行われたため、ラベルが誤っている、別人の骨が混ざっている、といった批判を繰り返していた。しかし、今回のDNA鑑定の結果、骨からY染色体は全く検出されず、あちこちの骨から取り出したミトコンドリアDNAは全て一致し、遺骨は1人の女性であったことが確定した。またもう1つ興味深いことは、彼女の膝の上には、ゲーム駒があったことから、彼女が戦術立案も可能な優れたリーダーであったという点である。

このビルカの墓の女性戦士以外にも、ヴァイキングには女性戦士の伝承が残されている。10世紀初めのアイルランドの文献には「インゲン・ルーア(赤い娘)」という女性戦士が、ヴァイキングの船隊をアイルランドへと導き、13世紀のヴァイキングの物語の多くに、男性戦士と共に戦う「盾を持った乙女」が登場する。だが、こうした女性戦士の記述は、単なる神話的脚色だと決めつける考古学者が多く存在していた。

つまり考古学的解釈が、上述の9000年前の女性ハンターと同様に、科学者ですら、我々が縛られているステレタイプな性別による役割分担を、無意識に当てはめて、その結果、真実を見落とすことがあるという点である。

政治、スポーツ、軍隊と、米国のガラスの天井にひびが入りつつある。

今月は、米国の色んなガラスの天井にひびが入りつつあるKamala Harrisは初の非白人(黒人&アジア系)女性副大統領となり、メジャーリーグベースボールではMiami Marlinsが史上初めて女性GMにアジア系アメリカ人女性のKim Ngを指名し、US海軍士官学校では175年の歴史上初めて黒人女性のSydney Barberがリーダーとなるなど。

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「先入観」→「偏見」→「差別」の公式をなくそう

私は色んなところで書いたり話したりしているが、「女性云々」という言い方で、事さら性別を話題にすることは避けたいと思っていた。但し、無意識下のステレオタイプな考えが、如何に社会の中で根深く人の考えを支配し、それによって多くの制限が生まれる以上、やはり声を大にして口にすべきだと思い始めた。特に私のように両親の励ましの下で、幼少時からあまりジェンダーを意識せずに育ち、女性としての被害意識を持たずに、常に自分自身ジェンダーニュートラルで歩き続けきた人間だからこそ、敢えて発言すべきだと思う。

また私は、日本時代は男性の独壇場であったエージェンシーの中で、ガラスの天井を突き破るために拳に血を滲ませ(男女雇用均等法以前の話)、米国移住当初は、英語が不自由な外国人という立場で、白人だらけのエージェンシーで、アタマを何度も壁に叩きつけられた経験がある。痛みはよく分かっているつもりである。

無意識下のステレオタイプな思考を消していくには、「目についたステレオタイプな現象」に対して、「それはおかしくないか?」と声を上げていくといった地道なコトから始めるのがいいと思う。疑問を持つことは非常に大切で、その疑問によって、人は新たな「想像力の飛躍」が始まる。

「先入観」があると「偏見」を持ちやすくなり、その結果「差別」という行為が起こる。これを肝に銘じて、想像力の羽を広げて、飛翔しよう!

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アメリカの現実⑪「21世紀の風ー女性を取り巻くダブルスタンダードが徐々に消えてゆく」

白のパンツスーツで登場したKamalaのメッセージ

まだ米国は大統領選挙の開票の最中で、最終的な数字が把握できないが、投票の有効数と代理人の投票により、アメリカ人は、Joe Biden &Kamalaを次期大統領及び副大統領に選んだ。Bidenは7,567万票以上、Trumpは7,126万票以上の投票を得た。これは言わずもがなでアメリカ人の大統領への意見は大きく2つに分かれている。この数字の持つ意味は重く、今後Biden & Harrisのコンビは、コロナ禍でさらに経済格差が拡大し、文化的にも大きく分断されたアメリカという国を1つにまとめていくという重い責務を伴う。

ただ今の私の気持ちは、まずはBiden & Harrisコンビが誕生したことを喜びたい。

一昨日、Kamalaが真っ白なパンツスーツで勝利のスピーチのステージに現れたことに、多くの米国女性達は納得した。これはKamalaの強いメッセージとして、受け止めたからである。年頭のThe State of the Unionで、多くの女性議員は白のスーツで登場した。米国では、白は女性参政権拡大のシンボルで、1920年に米国女性は、合衆国憲法修正第19条によって初めて参政権を与えられて、今年はその100年目にあたる。彼女はスピーチの中でも、このことに触れており、長年の女性達の参政権獲得の苦労と努力の結果を称えている。

また今回の選挙でBiden & Harrisを支えたのは多くの黒人女性でもあり、スピーチの途中で、カメラは会場の人々を写しだしたが、その中で涙する黒人女性や、未来を見つめるかのような少女の姿は印象的である。

KamalaがVPに選ばれたことの持つ意味は大きい。彼女は、米国政治史上初めて女性で尚且つ非白人(アフリカ系&インド系)という立場で、米国で2番目に重い地位に就く。米国女性は、100年かかってこのポジションに辿りついたことになる。

初尽くしのKamalaではあるが、Obamaが選ばれた時にも実感したように、米国は色んなPossibilityを見せてくれる。これが私がこの国に住み続ける理由の1つである。

本当にガラスの天井にひびは入ったのか?

VPであるKamalaの出現は、確かにガラスの天井にひびが入ったように見える。但し、このひびは社会の中で巣くう女性へのダブルスタンダードの偏見を覆すには至っていない。私は8月彼女がBidenのVP候補として選ばれた時に、このSexismや女性への偏見に基づく社会のダブルスタンダードに関して書いた。

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この無意識における女性への偏見を少しでも軽減していかない限り、様々なポイントで、Kamalaも含めて政治・企業・社会の中で、女性は常に「揚げ足」を取られる。

彼女の価値は、初の女性・非白人(アフリカ系&インド系)といった属性にあるのではなく、サンフランシスコ地方検事、カリフォルニア州検事総長、カリフォルニア州上院議員、2020年民主党大統領候補の予備選挙に立候補したという、彼女の略歴そのものにある。彼女の検事として非常に冷静な論理展開で相手を追い詰めるプロフェッショナルとしてAttitudeは、非常に感銘を受ける。またその一方で、常に笑顔を絶やさず、相手に語り掛けるようなトークスタイルは、性差に関係なく人間としての温かみを感じる。

こうした彼女の人間としての資質は、ジェンダーや人種を超えて、政治家として、非常に重要なものだと思う。

何故女性は「ファッションポリス」の餌食になるのか?

Forbesの記事でLela Londonは、以下のように女性政治家を取り巻く、ファッションに関連したダブルスタンダードを指摘している。記事では、Hillary Clintonのパンツスーツ、Alexandria Ocasio-Cortez(AOC)のヘアカットといった女性政治家がファッションによって揶揄されるダブルスタンダード指摘する。

「スーツ以外の服を着た女性政治家」には、ニュースのネタになる価値がある。政治家(つまり男性のこと)ならスーツを着るのが当然だ、というのがその理由だ。「政治家」は中立的・標準的なスーツを身に着けるものであり、ファッションを装うのは「女性」なのだ。女性のファッションに難癖をつける「ファッション・ポリス」は、ひどいときには、女性の装いを、その影響力を失わせるために利用する。最も良い時でも、女性の装いを、その好感度の判断材料にする。そして今回、ハリスが副大統領候補になったことで、ファッション・ポリスたちが活動を始めるのは目に見えている。

Kamalaは、検事という立場上、或いは彼女個人のスタイルなのか、非常にジェンダーニュートラルなスタイル(ダークスーツ)でパブリックに登場する。服装で個性を表現する私個人の目から見ると、ある意味Conservativeに思えるが、多分ごく普通のアメリカ人のファッションセンスから見れば、「reasonbale(妥当)」に見えるはずである。また彼女がキャンペーンやトラベルで愛用するConverseのシューズは、Practicalな動きを可能にするもので、実用性や機能を重んじるアメリカンカジュアルとして、好感を持たれると思う。

ダブルスタンダードが徐々に消え去る気配を感じる

Obamaは大統領に就任すると、日々決断の連続となるので、大統領職以外で決断することの無駄を省くために、同じスーツ・シャツ・タイを何着も用意して、何を着るかという選択を省いた。

政治家にとって、話題となるべきは、政策でありメッセージである。女性政治家であるがために、ヘアスタイル、衣服、メイクアップ、或いは体型も含めて、揶揄・賞賛されるのは避けがたい。但し、Kamalaを見ていると、そうしたダブルスタンダードが過去のものになりつつあるように、自然体で、自分の個性を生かしつつ、政治家としての資質を証明しようとしているように見える。

Kamalaは、21世紀に生まれた米国政治史上初の女性副大統領である。過去のHillary Clintonに代表されるように、20世紀の遺産ともいうべき女性政治家達が受けてきた偏見をものともせず、VPとしてPublic Servantとして、アメリカ市民のために、彼女の資質を最大限に発揮してほしい。

「ファッションポリス」なんて言葉自体がナンセンスで、時代錯誤である。個々人がその職務を実行するために、最適なAttireを選べばいいのであって、それを人が揶揄する傾向は、徐々に消えつつある。Millennials & Gen Zが主役となる21世紀は、ステレオタイプが消えゆく時でもある。


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コロナ禍でのアメリカ生活㉙「"Helper's high(他者を助ける・思いやる行動によって得られる幸福感)"を持とうよ」

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多くの人は実際には体験したことがなくても、"Runner's high"と呼ばれる言葉は知っていると思う。私は中学時代陸上部に所属していたため、学校以外でも自宅からかなりの距離を走っていた。長距離を走ると次第に苦しさが増してくるが、我慢しながらある距離を超えると、逆に「快感・恍惚感」が出てきて、足がまた出始める。これを"Runner's high"と呼ぶが、これとは異なる"Helper's high"とも言うべき「幸福感」が、他人を助けたり、思いやったりすると現れることが、科学的にも実証されつつある。

”Helper's high”という幸福感のメカニズム

"Runner's high"は、継続的な運動中に苦痛を我慢し続けた後に、引き起こされる一時的な多幸感で、長距離走の場合は"Runner's high"で、ボ ート競技の場合は"Rower's high"と呼ばれる。検証実験から、この状態においては脳内にα波とモルヒネ同様の効果があるβ-エンドルフィンという快感ホルモンに満たされていることが判明した。この内、βエンドルフィンの増大が麻薬作用と同様の効果を人体にもたらすことで起こるとされる。注:2015年頃からの研究により、Runner's highをもたらせる物質はβエンドルフィンではなく、体内で生成される脳内麻薬の一種である内在性カンナビノイドに属する化学物質であるとする説も提示されている。

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https://twitter.com/elbi/status/837641240829177856/photo/1/

これも検証実験から言われていることで、「他者を助ける或いは思いやる行為」によって、脳内でエンドルフィンが大量に放出されて、"Helper's high"とも言うべき「幸福感・多倖感」で満たされ、それにより血圧も下がりストレスも緩和されるという。

今朝目にしたForbesの記事「Why Doing Good Boosts Health And Well-Being良いことをすると、健康と幸福感が改善する理由)」によると、思いやりのある人の唾液について、興味深い調査結果が出ている。

調査によると、思いやりがある人の唾液には炎症と闘う抗体である免疫グロブリンAがより多く含まれている。免疫系が改善するだけでなく、寛大な人の脳スキャンからは寛大さによって穏やかな気質やストレスの低下、感情面の健康の改善、より高い自己評価などがもたらされたことが示されている。

これによれば、身体の健康に関しては、免疫が改善され(炎症と闘う抗体である免疫が多く含まれている)、感情面ではストレス低下や自己評価などプラス面が心身共に起きている。

この心身両面という部分がポイントで、これは、社会生活を営むことで人類が人類として発展してきた経緯を考えると、長い人類史において獲得した"biochemical bases for reward(生化学基盤のための報酬)"ともいうべきものではないか? 言い換えると「他者を助ける」という人間社会の根幹ともいうべき重要なマインドセット及び行動を継続させるために、人間は進化の過程でこの行為に「幸福感」という報酬のメカニズムを獲得してきたんではないか?

パンデミックだからこそ、必要なことは「他者を助ける・思いやる心と行動」

Forbesの記事でさらに興味深いのは、この他者を助ける・思いやるというという「向社会性と幸福」の間の結びつきに関して、女性は男性より強い結びつきがあるという調査結果である。研究では「女性は思いやりを持ち優しい存在であることが固定概念として期待されているため、こうした社会規範に添った行動を取ることで良い気分が強まるからだろう」と述べている。

通常、性差における固定概念は悪い方に働く場合が多いが、ここでは、逆にある意味、女性を良い方向に導いている。

私は人間は「性善説」であるという考えを持つ。その上で、このパンデミックという未曽有の危機的状況下で、今一度人は「自分より困っている人を助ける・思いやる」という心と行動を持つことが必要だと思う。

多くの人達が不自由やストレスに苛まれているのは事実だが、自分のそうした不安はまず横において、他者を助ける、そうすると助けられた人もその喜びを、別の人を助けるという形で、行動する可能性が出てくる。そうなれば、「Helper's highという幸福感」のリレーが生まれて、多く人達が不安から一時的に解放されて、「幸福感の連鎖」が満ちると思う。

勿論人によって「幸福感」は大きく異なるので、全ての人が等しくこの"Helper's high"を感じる訳ではない。どこかの国の現大統領をみていると、彼は生来一度もこの"Helper's high"を味わったことがないとしか、言いようがない人物も存在する。

但し「利他主義や協力、信頼、思いやりなどの向社会的な行動」は、社会が正常に機能するために必須のもので、人類の共有文化の一環ともいえる。

青臭いと言われるかもしれないが、私は今だからこそ、これを深く考えて、行動に移して、幸福感を味わい、多くの人達が心身とも健康になる時だと思う。

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コロナ禍でのアメリカ生活㉘「無駄な時こそが最も必要な時間」

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私の毎日の夢物語

私は毎晩夢を見て、毎朝殆どどんな夢を見たかを記憶している。夢の中の色や匂いも克明に覚えており、また夜中に夢の途中で目が覚めてもう一度続きが見たくて戻るという離れ業も、何回か成功している。

夫は毎朝豆を挽いてコーヒーを淹れてくれるが、私はそのコーヒーを飲みながら、夫にそんな夢の話をする。勿論、夫と全く関係のない夢は話さないが、クライアントとのオンラインミーティングの結果とか、セミナーで作成したPPTをなくし落語家のように身振り手振りのみでセミナーを終えたとか、家の前が何故か海でうちのセールボートのKaiyo(海洋)が接岸してあり、大嵐となってボートに乗って逃げだしたとか、色んな話を毎日話す。

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彼は、25年間も毎朝私の夢物語に付き合っているので、通常はふんふんと聞いているだけ。ただ、仕事関連の話が多いせいか「君は昼も夜も24時間働きづめで休みなし。まあ君はそれが好きだからいいけど、君の脳はいつ休暇を取っているんだろう?」と言われた時には、流石にはっとした。

不眠不休の脳にとって睡眠時は己を最適化するための清掃時間

今日読んだ記事のタイトルが、「Why Neuroscientists Say, ‘Boredom Is Good For Your Brain’s Health.’(神経科学者が「退屈は脳の健康に良い」と言う理由)」だった。私は、思わず「おっと、私が最も苦手なことだ(私は退屈な時間を持つことがまずできない)」と思ったが、読んでみた。

脳は24時間365日休暇や休憩を取ることなし「常にOn状態の器官」として、我々が生きるために不眠不休で働いている。脳科学者のJill Bolte Taylorは、脳と睡眠の関係を以下のように説明している

「私たちが持つ全ての能力において、脳細胞は情報をやり取りしている。歩いている時、脳細胞は筋肉に動くよう伝えている。脳細胞は常に働いている。脳細胞は食事をして老廃物を出す。そのため、細胞の間の老廃物をきれいにする最適な時間が睡眠中であり、そうすることで細胞がきちんと機能できるようになる。私はこれを、ごみ収集業者がストライキを行うことに例えている。そうなれば、道がどれほど混雑するかを私たちは知っている。これこそ、脳細胞に起きていることとまさに同じ。体が起きる準備ができる前にアラームで目を覚ませば、脳が求める睡眠サイクルの一部をカットしたことになる。睡眠は脳を活性化させるもの」

Iowa State University の医学誌『Sleep』による調査では、睡眠を制限することで怒りが増幅することが示されており、不眠不休の脳にとって、睡眠時は己を最適化するための清掃時間で、その重要性を指摘する。

何もしないでただ時間を過ごすこと

多くの人達は「何もしないでボーっとしていること」に罪悪感を感じる。これは、社会全体が「仕事(労働)の生産性を重視する」ように作られた現在ならではの、悲しき宿命である。この何もしないで時間を過ごすことを考える時に、面白いのは言葉の語源である。

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フランス語の「Vacances(ヴァカンス)」の原義は「空っぽ」という意味で、英語でいうと「Vacant」となる。これは元々「有閑階級(働く必要のない金持ち)」がすることもなくボーッとしていることの形容だった。それに反して「Travail(トラヴァーユ)」は「仕事」を意味し、語源は「足かせ(ローマ人がガリア征服の際に捕虜につけた内側にトゲがある拷問具を兼ねた足環)」である。

「仕事(労働)の生産性」を考える上で、この語源は、社会が内包する本質的な階級制度を象徴していて、非常に興味深い。私自身は、マグロのように「泳ぐことを止めた瞬間に死んでしまう」性質なため、「何もしないでボーっとしていること」が最も苦手である。自分がどの階級に属するかを、このことからもよく分かる。自分は生涯「有閑階級」には到達できず、1人の労働者で終わると痛感する。

上述の記事によると、「退屈さにより、実は、創造性や業務に取り組むやる気、仕事での生産性が向上する可能性がある」という。

何かをすることをガソリンとすると、何もしないことは生産性のブレーキ。ブレーキがない車はエンジンが燃え尽きてしまうが、キャリアの成功を収める上でエンジンを燃やす必要はない。神経科学者によると、退屈さはこれまで不当に非難されてきた。退屈さにより実は、創造性や業務に取り組むやる気、仕事での生産性が向上する可能性がある。脳の健康のためには時々自分を退屈させることが重要だ。

無駄な時こそが創造的なアイディアの大切な場

また脳には、私たちが何かをすることから解放された状態でオンになる既定のネットワークモードがあることを、社会神経学者らは発見している。退屈さは創造的なアイデアを育てることができ、低下しているエネルギーや仕事におけるあなたの魅力を回復させるとともに、まだ初期段階にある仕事のアイデアを発展させるためのインキュベーション(ふ化)期間を与えてくれる。

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脳は、酷使し過ぎない時に、本当に必要な休憩を得ることができるらしい。何かをしなければならない時には、脳は休めないが、何も考えずにただ海辺を歩いたり、草花を愛でたり、遠くの夕陽が沈むのを眺めるといった、To do listに入っていない不必要な時に休みが取れる。

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コロナ禍で多く人達の気持ちがささくれ立ち、大なり小なり様々な不安が常にどこかに入り込んで、みんな「こうしなければならない状態」なっている。これでは、脳は最適化のための休暇が取れない。

足かせを外してぼーっと時間が過ぎるのを眺めようよ

「足かせ(ローマ人がガリア征服の際に捕虜につけた内側にトゲがある拷問具を兼ねた足環)」を語源とする「Travail(トラヴァーユ=仕事)から、自分を解放するのは、並大抵のことではない。但し、人間としてよりはっぴいに生きるためには、大切な脳を休ませる必要がある。

私自身に関しては毎日の自分の夢を結構エンジョイしており、睡眠不足だと思うことは殆どない。夕食後にカウチで「Pre-sleep」を1-2時間取るのが習慣化しており、ベッドでの眠りは浅いのと深いのが交互に来ているようで、夜明け前に自然と目が覚める。このスタイルは一定しており、願わくば、私の脳は、睡眠時にしっかりお掃除をしながら、休んでくれることを期待している。

ぼーっと時間が過ぎるのを眺めようよ

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コロナ禍でのアメリカ生活⑯「Zoom疲れ」があってもZoomがないよりはいい

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断り切れない付き合いがもたらす「Zoom Fatigue(Zoom疲れ)」

「Zoom Fatigue(Zoom疲れ)」の記事がグローバルのいろんな国で目に付く。自宅勤務となり、本来ならば通勤や無駄な会議に割いていた時間がセービングされて、もっとゆとりを持って24時間を使えるはずであったが、物理的な社会生活が遮断された代わりに、それらを全てオンラインに移行してしまったため、多くの人達が多忙を極めている。自宅にいるので幾らでもスケジュールを詰め込めると思い、仕事に限らず、オンラインで音楽・映画鑑賞、スポーツ観戦、さらに飲み会といったものをどんどん入れ込んでいる。

米国は日本とは異なり、「上司や同僚との付き合いのために飲む」という習慣はない。まして幾つかの大都市を除いて、公共の交通機関のない米国では、車通勤が主要な交通手段である以上、会社の帰りにちょっと1杯といった行為はまずありえない。自宅待機がもたらした新たな米国の悩みである「Zoom疲れ」は、単純に言うと「車だから」とか「子供のピックアップがあるから」、「夜は家族と一緒に過ごす時間なので」といった言い訳が聞かなくなり、多くの人達がずるずると「Zoom Happy Hour」に参加して、断りにくい社交が増加したことに起因する。

「Zoom飲み会」の難しさ

自宅で行われるZoomでの飲み会は、意外と難しく、多くの人達は、思っていたほど単純に楽しいものではなく、色んな不備をソーシャルネットワークで投稿している。特に指摘されるのが、並列的に複数の会話が進行出来ないという点。このため、1つの話題のみを声の大きな人(私のようなお喋り)が話し続けて、尚且つみんな話題が途切れて沈黙になるのを恐れるので、MCのような飲み会の進行的役割が必要になるという点。これは、私も末娘のZoom weddingに参加したが、30名以上の参加者は、1人を除いてみんなミュートにしており、結婚式の流れの中、司会者の長女が画面から外れると、気まずい沈黙が流れ、それをカバーするために、参加者の1人は勇気をもって発言していた。

人は、なぜF2Fで会って飲みたいのか?

日本とは時差があるために私自身はマジな「Zoomの飲み会」というのはやったことがなく、コーヒー片手のZoomのお喋りのみだが、他の人の投稿を見て思ったことは、要はインターネット経由では、仲間と一緒に楽しくお酒を飲むということは、非常に難しいという点である。理由は、モニター経由で顔を見せあっても、物理的な近距離で顔を見るのとは異なり、「表情」が読めないためである。なぜ相手の「表情」がそんなに重要なのか? 

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The Naked Ape: A Zoologist's Study of the Human Animal Paperback – 6 Oct. 2005

人類学者のRay Birdwhistell は、人間は異なる顔の表情を25万通り作ることが可能だという。またボディランゲージの専門家のAllan and Barbara Pease は、人の主張が交渉に与える影響のうち60%から80%はボディランゲージによるものとしている。即ち、非言語的コミュニケーションの中心である「顔の表情」が、実は物理的な飲み会を司る重要な役割を占めているという点である。例えF2Fで沈黙が訪れても、参加者達はお互いの表情を読み込んで、それは「心地よい沈黙」だと認識できる。また当然のように、並列的に複数の会話は流れるので、1つの話題に固執することなく、多数の話題のストリームが自由に流れる。

要は、人は美味しい食事とお酒を潤滑油として、心を開いて、参加者の顔、声、動作を見ながら、お互いをもっと知りたい、或いは自分のコトを知ってもらいたいという欲求のもとで、F2Fで会ってお酒を飲みたいんだと思う。スクリーンでは、この非言語コミュニケーションが見えにくいし、今のヴィデオ会議のツールの作り方が、F2Fの飲み会のフローの再現できない。

それでもZoom飲み会があって良かったと思う

でも自宅待機の中で、例え限界があるにせよ、インターネット経由で誰もがライブで簡単にヴィデオチャットできるツールが、今この時期にここまで浸透していたことは、実に有難い。人間にとっても最も過酷な刑罰は、「孤独」である。刑務所で服役中の囚人をより懲らしめるために「独房(solitary cell)」に入れる場合がある。通常人は「孤独」に耐えられず、改心を誓う。

人類は、他者とのコミュニケーションを求める欲求によって進化してきた。今回のコロナ禍は、もしかしたらこの人類の欲望である「他者とのコミュニケーション」に違った意味での進化をもたらし、より良いコミュニケーションの仕方やツールの開発をもたらすかもしれない。

来週の夕方18時の日本の友人とのZoomお喋りは、コーヒーではなくワイン片手にしてみようかな。

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コロナ禍でのアメリカ生活⑬「リーダーの資質は有事に証明される?」

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ジェンダーニュートラルの私としてはこういう評価は避けたいけれど

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個人的にはあんまりこういう風にジェンダーで切りたくないけど、Forbesはコロナ禍の管理をうまくやっている国のリーダーの共通点は、女性であると言っている

この記事の中のコロナ禍による死亡者数は4/12現在で、これを4/13現在でアップデイトしてみると、こんな感じ。ドイツ3,294人(感染者数131,359人)、デンマーク299人(感染者数6,511人)、ノルウエイ139人(感染者数6,623人)、フィンランド64人(感染者数3,161人)、ニュージーランド9人(感染者数1,366人)、アイスランド8人(感染者数1,720人)、台湾6人(感染者数393人)。

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これらの国々は、人口やら国土面積、さらに地理的条件などが、大きく異なるから簡単に比較できない。記事では、ドイツは上手く言っていると評価しているが、この感染者数と死亡者の数を見ると、そうとは言い難い。

台湾総統及び閣僚の手腕と人間性は他の国は中々真似できないほど優れている

Forbesも認めているけど、私も同意するのは、台湾の総統の蔡英文(Tsai Ing-wen)の指導力、ジェンダーなんか関係なく、お見事だと思う。彼女の早期の決断と実行力、さらに感染者への接し方は、彼女の閣僚達も含めて、人間尊重の素晴らしさに満ちている。因みに、台湾は「一つの中国」原則を主張する中国の圧力で、WHOから排除されてコロナ対策では孤軍奮闘中だけれども、4/14の新規感染者は36日ぶりにゼロとなり、危機管理能力の高さが評価されている。また、WHOのテドロス (Tedros Adhanom) 事務局長は、先週自身がインターネット上で人種差別的中傷にさらされて「個人攻撃は台湾から来ている」と主張したことが発端で、蔡英文総統は彼の発言に強く抗議している。台湾の民間の有志は、New York Timesに事務局長の台湾への悪意のある主張に対して真実を訴える意見広告掲載の募金も始まって、4/14時点ですでに1900万台湾ドルが集められたという。

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By 總統府, Attribution, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=48898316

また彼女以外にも台湾のコロナ禍の政府対策本部長を務める陳時中(Chen Shih-chung)は、不眠不休で対応に当たり「鉄人大臣」と呼ばれ、3月の世論調査で支持率は91%に達している。毎日の記者会見で質問が尽きるまで誠実に答え続ける姿勢と、思いやりに満ちたコメントが市民を安心させている。彼は「隔離対象者は肉の塊ではない。人間です。思いやりに満ちた制度を作り、社会で支えることが解決につながる」と話す。

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By 中華民國總統府 - This file has been extracted from another file: 02.25 總統出席「簽署《嚴重特殊傳染性肺炎防治及紓困振興特別條例》記者會」.jpghttps://www.flickr.com/photos/presidentialoffice/49582692888/, CC BY 2.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=87823376

デジタル担当大臣を務める唐鳳(Audrey Tang)も、様々な手法やアイディアでコロナ禍対策を提案しているけど、日本人向けの自宅で簡単にマスクを消毒する方法をTwitterに公開したりと、自国や他国を問わない人間性の大きさにいつも感銘を受ける。

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By @daisuke1230. Cropped by KOKUYO (hist.) - Cropped version of File:20151013 成大開源月-唐鳳 PA130741 (22007412520).jpg, CC BY 2.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=50960601

ジェンダーを超えて、リーダーの資質は有事に証明される

国を預かるリーダーの資質とは、有事の際の判断の適切さと決断の速さだと思う。ましてコロナ禍は、誰もが認めるように、Outbreakする前にどんな手を打つかで、その後の状況が極端に異なる。また「何を優先するか?」も大きなポイントで、私はこのブログシリーズで何度も言及しているが、「コロナ対策と経済救済は同時にできない」という点で、まずは食い止めることが最優先される。ジェンダーに限らず、こうした優先順位も含めて、リーダーが適切に素早く判断して、実施展開できた国は、コロナ禍管理の優位性を示している。 

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コロナ禍でのアメリカ生活⑪「結局環境問題って、人間が社会活動を停止すると解決されるってこと?」

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インドのパンジャブ州で、200 km近く離れたヒマラヤ山脈が数十年ぶりに見晴らせるようになる

インドでは2週間以上前からLock down(都市封鎖)に入り、首相は国民の外出を全面的に禁止すると発表していたが、これにより、インド全域における大気汚染が大幅に改善されたらしい。CNNの記事によれば、パンジャブ州で200 km近く離れたヒマラヤ山脈が、ほぼ30年ぶりに見晴らせるようになったと報じている。

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インドではこの都市封鎖で工場は閉鎖され、車利用がなくなり、航空機運行停止などで、大気汚染が劇的に改善されているらしい。CNNは、規制が始まった初日に微小粒子状物質「PM 10」が最大で44%減少し、全土のLock downの1週目には、85都市で大気汚染が改善したと伝えている。

中国の大気汚染は、コロナ禍による人間の社会活動の停止で劇的に改善

コロナ禍の生活が始まり、夫も私も「今一番喜んでいるのは地球そのものだろうね。人間が社会経済活動をスローダウンあるいは停止すれば、地球の環境リソースへの負荷が極端に減るもんね」と話したことを思い出す。インドと同様に、以下のNASAの画像は、中国の大気汚染が、コロナ禍による人間の社会活動停止で、如何に減ったかを如実に証明している(2020年1月と2月の比較)。

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人々は生活のためと称して、地球環境に滅茶苦茶重い負荷をかけて生きている。

2019年はGreta Thunbergの年と言われるくらい、17歳の少女が環境問題解決の緊急性を世界に提起したが、実は地球(ガイア)のほうがとっくに、人類という、地球史上稀に見る自己中心の動物にあきれ果てて、リセットする段取りをしてしまったと言えるような気がする。人類史は「疫病」との戦いと言っても過言ではない。地球(ガイア)は、しょうがないここまでのさばって改善する気がないなら、定番だけどかなり強めの「疫病カード」を出しましょう、と言って、さっとテーブルに置いてしまった。

過去100年ぐらい、このカードをマジに見たことがなかった人間達が、右往左往するのを、どこかで冷たい眼差しで見つめているような気がする。人と人とが近距離で接するという、人類が最も好きな行為を媒介として拡散するウィルスは、実に防ぎにくい人類の敵である。

地球(ガイア)もリセットしたがっているんだから、我々もしなきゃ

「欲望の肥大化」という言葉を、久しぶりに思い出した。大学時代、マスメディアとマスコミュニケーションを専攻していた時、確かゼミナールの原書購読(英語書籍の原文を読む)で学んだような気がする。限りなく肥大化する人間の欲望っていうやつは、現在テクノロジーによって、誰もがとてつもなく肥大化させてしまい、「便利で簡単に何でも手に入る、或いは出来ちゃう時代」を、現出させてしまったということだと思う。これは滅茶苦茶、地球環境に負荷をかけて、いくらそれを防ごうとしても、既得権と利害関係まみれての政治家や企業家によって、そう簡単に元に戻せないのが現状である。地球(ガイア)が、「OK,じゃあ、わしのほうでやってあげる」と決めて、実行したような気がする。

この状況をくぐりぬけた先は、今までなんだかんだ理屈や理由をつけて、社会全体の仕組みの変革を拒否していた輩に対して、俯瞰で眺めながら、構造改革をするといったMovementが必要だと思う。こんだけ、みんなが制限の中で真面目にコロナ禍に立ち向かって生活し、さらに真っ先に影響を受けて失業した人達は日々の生活にも事欠く生活をしている。いつまでも、現状維持をしていては、また同じことが起きる。リセットしようよ、今がその時期なんだから。

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コロナ禍でのアメリカ生活⑩「1週間で変わるショッピング・プロトコル」

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地元のButcher shopは米国生活において物凄く大切

地元のお肉屋さん(Butcher shop)は、ローカルコミュニティにとって重要なお店である(米国において日本ほど魚屋さんの重要性はなく、内陸部では魚屋のみの商売はあり得ない)。ハイレベルのAged beefのようなお肉を扱うお店は、蝶ネクタイをつけた店員が、日本では中々お目にかかれないような、様々なお肉を切り分け販売するほど、店のプレステージアスな位置づけは高くなる。我が家も1年前St Georgeに自宅を購入する前、自宅近くに、まず良いお肉屋さんがあるかどうかをチェックした。夫と2人で検索して調べておいたお肉屋さん「Dixie meats」は、かなりしっかりした良いお肉屋さんで、蝶ネクタイをしめて高価なAged beefを販売していないが、少なくともホームメイドのビーフジャーキーやソーセージの種類の多さ、さらに試しに買ってその場で食べたスライスされたスモークドのハムやターキーの美味しさたるや、夫と私は破顔してしまった。その時、私達と似たような年恰好の夫婦が後から店に入って来て、私達と同じような質問をしており、カリフォルニアから来たばかりであることも分かり、夫と2人でニンマリした。

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州外移住者流入増大によってBoom town的なりつつあるSt George

St Georgeは、Utah州の南端にあり、NevadaとArizonaに隣接し、Las Vegasから車で2時間という地理的要因と、冬は雪も降らずそんなに寒くなく、春と秋は温暖、夏は異常に暑いという気候もあり、州外からSnow Birds(寒さを避ける人達)がどんどん流入してきて、住宅開発が活発である。またアウトドアスポーツが非常に盛んで、トライアスロン、ロード及びマウンテンの自転車競技のメッカでもあり、世界中のアスリートが集まり、アウトドア愛好者のためのレンタルホームもどんどん建築中で、現在Boom town的な様相を呈している。

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By St. George Chamber of Commerce - St. George Chamber of Commerce, CC0

州外からの移住者の中で、特に多いのが、全てのモノが高い(税金、住宅、物価、保険、ダイニングアウト等々)カリフォルニアからのRefuges(避難民=我が家も然り)のような人達である。彼らの多くは、私達も含めて、まずState Liquor Storeをチェックする。Utahは、低アルコール度数のビールなどの酒類はマーケットやガスステーションなどで購入できるが、私の好きなワインは、州運営の酒販店舗の購入のみとなる。カリフォルニアのように、食料品と一緒に簡単にワイン購入が出来ないので、どの程度のワインがState Liquor Storeにあるか、私達も真っ先にDixie Meatsと同じショッピングプラザにある、State Liquor Storeをチェックした。品ぞろえは物凄く多岐にわたっているとは言い難いが、私のように毎日ワインを飲む人間のテーブルワインとしては、まずまずなので、まずホットした。

米国の酒類販売は地域によって大きく異なる "Dry, Wet and Mix"

以下のマップを見てもらいたい。2019年5月現在の米国の酒類に関するコミュニティ別の規制地域で、赤は「dry(酒類販売禁止)」、青は「wet(酒類販売OK)」、黄色は「mixed(酒類販売禁止とOKのミックス)」である。 Utahは青であるが前述したように規制があり、ワイン愛好者にとっては、ちょっと面倒くさい州である。ただこれも、習うより慣れろで、1週間に1度の割合でワイン購入する私は、消費量を冷蔵庫を見ながら計算して飲む、というパターンに慣れた。但し、コロナ禍でState Liquor Storeに勤務するF2Fで顧客に接する勤労者が、常に感染の危険に直面するという現在の勤務状態に関して不満を漏らしており、下手すると営業中止の可能性もあり、私はヒヤヒヤしている。今の営業時間は午後12時から19時までと短縮され、狭い店舗なので、顧客は1店舗内に5人までで、他の客は店外で2mの距離をとって待ち、1人出ると1人入るというパターンである(今日行ってきたが、待っている人のうち、まだ2-3割はマスクをかけていない)。

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By File:USA Counties with FIPS and names.svg: File:USA Counties with names.svg: User:Mr. Mattéderivative work Kbh3rdderivative work: Fry1989 - This file was derived from:  USA Counties with FIPS and names.svg:, Public Domain

お肉屋さんで6個のペーパーロール購入

先週までは5人という制限で顧客を店舗内に入れていたDixie Meatsも、ドアンの前に2脚の椅子をバリケードのように置いて、狭い店舗内に顧客を入れないという方式に変わっていた。店員は、まず店外の客のオーダーをドアの前の椅子越しに聞き取り、オーダーが出来あがるとクレジットカードを客からもらい、商品を渡すというシステムを採用していた。手書きの張り紙には、事前の電話によるオーダーをお願いしますと書いてあり、今後我が家はそうしようと思う。今日最も嬉しかったのは、このお肉屋さんが何とトイレットペーパーを販売していたこと! 商用のペーパーサプライのあるお肉屋さんは、ペーパーロールを6個で6.95ドルで販売していた。私はもちろん購入した(これで6週間は持つ)。

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After all tomorrow is another day

自主的自宅待機を含めて、制限のある生活も既に4週間目に突入しており、日々制限がきつくなる気がするが、いちいち、それに対して反応はしていない。むしろ今日のペーパー6個ゲットのようなささやかなことに大きな喜びを見出し、GWTWではないけど、"After all tomorrow is another day"の気分で、毎日何か小さなことでもPositiveなことを創出しよう思っている。夫との間では、ジョークやコントをしょっちゅうお互いに見せ合いながら、生活で笑うことにフォーカスしている。

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長期化に備えて、新たなルーティンを受け入れる

以下の表が示すように、ストレスによってアルコールの消費量は増大している。それに限らず、色んなメンタルな問題が起きているけど、自分を追い込んだり、落ち込ませるのは、自分自身の心の持ち方そのもの。ぐちゃぐちゃ文句を言わずに、長期化に備えて、新たなルーティンを受け入れることは肝だと思う。全てが終わった後で、明日は必ず別な日になるって信じようよ。

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コロナ禍でのアメリカ生活⑨「歴史を動かす感染症への答えは歴史の中にある」

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昨日自主隔離中だった英国首相Boris Johnsonの入院のニュース(集中治療室に移動)を目にして、チャールズ皇太子も感染し自主隔離しているというコトを知り、感染症の持つチカラを改めて考えてみた。

様々な感染症が常に世界中を襲い続けているけど、史上最も有名なパンデミックは1334年に始まった「黒死病」と呼ばれたペストで、アジアとヨーロッパで猛威を振るい、2,500万人の死者を出したという。英王室には、こうした悪名高い感染症の悲劇に随分あっている。今朝目にしたNational Geographicの記事によると、以下のよう事例があげられる。

英国王室のペストによる死亡:

1327年即位のイングランド王エドワード3世は、英国王族として初めて黒死病(ペスト)で近親者達を亡くす。1)スペインのカスティーリャ王ペドロ1世と結婚する旅の途中、14歳の娘ジョーンはペストで死亡。2)ペドロ1世の父アルフォンソ11世も、ジブラルタルをムーア人から取り返そうと包囲している最中ペストで死亡。3)1394年エドワード3世の孫息子である国王リチャード2世も妻をペストで失う。4)100年近く後の1492年、エドワード4世の王妃エリザベスがペストで死亡。

英国王室の天然痘による死亡:

1)1552年国王エドワード6世は、14歳の若さで天然痘とはしかに倒れ、すぐに回復したが翌年結核で亡くなった。これにより男性の王位継承者がいなくなり、異母姉のメアリー1世が即位。1558年メアリーが死去すると、王位に就いたのが女王エリザベス1世。2)彼女は29歳の時に天然痘に罹患し、周囲は及び女王自身が死が近いと思ったが、彼女は病を克服した。但し天然痘のために顔に痕が残ち、鉛を含んだお白粉で痕を隠すお化粧をして、イングランドンの黄金時代を築いた。3)1688年無血クーデターの後、夫のウィリアム3世と共同統治していた女王メアリー2世が、1694年天然痘のため32歳で死亡。4)この当時の欧州の君主で天然痘で亡くなったのは、スペイン王ルイス1世(1724年)、ロシア皇帝ピョートル2世(1730年)、フランス王ルイ15世(1774年)など。以下は、女王エリザベス1世 

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英国王室のインフルエンザによる死亡:

1889年サンクトペテルブルクで発生したインフルエンザ「ロシアかぜ」は、パンデミックとなってヨーロッパ各地に広がった。これは3度ロンドンを襲い、1)1892年の第3波でビクトリア女王の孫で王位継承順位第2位のアルバート・ビクター王子が28歳で死亡、将来の王位は弟のジョージ5世に移る。2)1918年の「スペインかぜ」で、世界人口の3分の1が感染し、死者は5,000万人に上った。その猛威の中で、1918年5月英国王ジョージ5世は回復した。以下は当時のアメリカ軍の野戦病院 (Image: courtesy of the National Museum of Health and Medicine, Armed Forces Institute of Pathology, Washington, D.C., United States.) - Pandemic Influenza: The Inside Story. Nicholls H, PLoS Biology Vol. 4/2/2006, e50 https://dx.doi.org/10.1371/journal.pbio.0040050, CC 表示 2.5, 

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感染症は歴史を動かす

この英王室と感染症との戦いを見ても、感染症が歴史を変えてしまい、王位継承に重要な役割を担ったことが、垣間見られる。特に天然痘で死にかけた後、後遺症で顔に痕が残ったがゆえに、真っ白なお白粉で痕を隠して、英国の黄金時代を築いたエリザベス1世のことを考えると、アタマが下がる。王位継承権の高い人が罹患して死亡した際は、王家の血筋の違う幹に大きく変わる事実が歴史的に存在する。また、北米大陸の先住民であったアメリカン・インディアンも、南米のアマゾンの先住民も、ヨーロッパから移住してきた白人がもたらした麻疹(はしか)とインフルエンザの免疫を持たないために、一気に人口減少が起こり、歴史から駆逐されていった。

英国皇太子と英国首相はなぜ感染したのか?

通常、欧米人は医療従事者でない限りマスクをする習慣がない、英国要人たちと一般庶民との間の接し方や、政治家同士の閣議や会議でも2m以内の近距離で議論するという習慣が、感染しやすい環境を作っていると思われる。コロナ禍でこれだけPhysical distancingを言われているにも関わらず、皇太子も政治家も濃密な近距離で一般人と接しており、 議論も口角泡を飛ばすといった形で、F2Fでなされている以上、感染の可能性は拡大する。英国首相Boris Johnsonの妊娠中のガールフレンドも症状が出ているというニュースも目にして、本当に人々がPhysical distancingを順守して、2m以上離れて、人との物理的な距離を取るだけでも、こうした感染状況は防げる。

歴史には現在の問題解決の答えがある

感染症(疫病)によって引き起こされるパンデミックは、前回よりは今回、今回よりは次回と、回を重ねるごとに、感染力を拡大し、より強さを増して登場してくる。すなわち想定外を常に巻き起こす、非常に厄介な代物である。但し、だからと言って「過去=歴史」を振り返っても意味がないということはない。歴史には、実はきちんと答えが書いてある。

National Geographicの記事は、このようにレポートしている。2007年学術誌「米国科学アカデミー紀要」(PNAS)に、1918年のインフルエンザ(スペインかぜ)において、市によって異なる対応が病気の蔓延にどのように影響したかを調べた2つの論文が発表された。致死率、時期、公衆衛生的介入について比較したところ、早い段階で予防措置を講じた市では、対策が遅れた、或いは全く講じられなかった市と比べて、死亡率が約50%も低いことがわかった。最も効果的だった措置は、学校、教会、劇場を同時に閉鎖し、集会を禁止することだった。そうすることでワクチンを開発する時間を稼ぎ、医療機関にかかる負担は減った。同論文は1918年のインフルエンザにおいて、死亡率の急上昇を防ぐ鍵は「社会的距離」戦略であったと結論付けている。

そう、兎に角同じ屋根の下に住む人以外とは、顔に何か覆う布をまとい、2mのPhysical distancingを取ることが肝要。

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コロナ禍でのアメリカ生活⑧「手ぬぐいとバンダナで作った自家製マスク」

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我が家にはマスクというものがなく、以下の写真のBuffという自転車に乗る時などに、ヘルメットの下のアタマに巻く伸縮性のある布をマスク代わりにして外出したが、かなりきつく巻くので息苦しいのと周囲の人に恐れられるので、自家製マスクを作成することにした。

アメリカでは医療従事者以外は通常マスクをかけない。冗談に聞こえるかもしれないが、友人の知人はアレルギーが酷く、コロナ禍への認識がまだ薄い今年の1月、通常のマスクの口の部分にスマイルマークを描いて銀行に入ったら、警察に通報されて逮捕されてしまった。そう、米国では、マスクをかけるというコトは、顔を隠す即ち顔を見られたらまずい行為をするという風に見られる可能性があるというコトである(映画などで銀行強盗がマスクをかけて襲撃することを思いだして欲しい)。

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今までマスクをつくるという発想は一度もなかったが、今回は自宅にあるものを全て利用したUp-cycleな手作り品ができた。古くなったバンダナ2枚と手ぬぐい1枚を、どこも切らずに折りながら袋状にして、後ろを2か所縫った(手縫い、ミシンがないので)。とっておいた組み紐とリボンを両脇に差し込んで、3枚のバンダナと手ぬぐいマスクの出来上がり。

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組み紐とリボンはマスク本体を洗う時に外せる。子供の時からマスクが嫌いな理由は、耳があのゴム状のモノで痛くなるからで、この紐及びリボンは耳が痛くないのが特徴。以下は裏側の手縫い部分で、半返し縫いでしっかり縫ってある。

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マスクが必要なくなったら、手縫いの端の2か所をほどけば、またバンダナと手ぬぐいに戻る。

外出時の私の服装のカラーコーディネーションをするため、桜色、ターコイズ、ネイビーブルーの3色は欲しかった。作業時間は1時間ぐらい(実際は材料探しに時間が掛かった)。これでお洒落にマスクをかけてマーケットに出かけられる。

夫はYouTubeのヴィデオを見て作ったの?と聞くが、そんなの見なくても常識があれば、出来ると答えたけど、まじで何も見ないで、自分で鏡を見ながら考えて作った。

「必要は発明の母」とは良く言ったものだと思う。

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コロナ禍でのアメリカ生活⑥「Social distancingの辛さ」

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隣りの家の駐車スペースでワイングラス片手に「Social distancingの辛さ」をダウンロード

昨日はお隣りさんがガレージの前で何かやっているので、10mぐらいの距離感で「お隣さん」と声を掛けてちょっとお喋り。彼女もSocial distancingが辛いらしく、夕方5時にガレージの前でワイン片手に話さない?と言う。お互いの距離は2m取ればいいけど、ビーチチェアを持って5mぐらいの距離を取りながら話すことに決定。向いの家族もチェアとワイングラス持参で、3家族が隣の家の駐車スペースに5m間隔で集合した。米国の家やガレージ、駐車スペースは広いから、距離だけは如何様にも取れる。彼女も含めてみんなが2週間のSocial distancingで溜まっているものを、一気にダウンロードし始めた。

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みんな個々人の生活の中で真面目にSocial distancingのルールを守り、外出の際のピリピリ感を話しながら、この状況を未だにシリアスに捉えていない人達の無責任な行動や行為に腹を立てていた。自分達が必死にルールを順守しても、そうした人達の無自覚で無責任な行為が全てを無駄にして、感染が広がることをかなり嘆いている。それにもまして、みんな具体的にF2Fでのソーシャルが出来ないことは、本当にしんどいと嘆いている。

勿論、自分達は自宅からリモートで様々なことが可能なので、実際に仕事としてフィジカリーに現場に行かざるを得ない人達に比べたら、格段のアドバンテージがあり一切文句を言える立場ではないが、この「人と接触するな」というルールは、「社交的な動物」である人間にとって、拷問のように精神的にキツイらしい。

世界で一番貧しい大統領と言われたJosé Mujica (ホセ・ムヒカ)氏の言葉 

人間は社交的な動物です。歴史を振り返れば、人間とは1人で生きられない、相互扶助が必要な奇妙な「猿」なのです。その性情は、人々は共通認識できる、社交的なハードディスクにインプットされています。それゆえに、「人間は政治的な動物だ」とするアリストテレスの主張は正解です。人は誰も「社会」に認められたいのです。

人間が1人で生きられない、即ち「孤独には耐えられない猿」であるのは、彼の言を借りずとも納得できる。私は過去20年間常にテレワークだったので、現在の状況は、仕事上で特別の不自由は感じていないが、やはり日本出張が出来ないのはこたえる。年3回、各々3週間、合計年間9週間は、日本滞在を過去25年間しており、これが出来ないのは精神的にしんどい。ソーシャルネットワークを使って、コミュニケーションしているが、やはり会って話したいというのは本音である。自分もやはり社交がしたい猿の1人である。

隣りの家の駐車スペースの和やかな会話に釘をさす私

昨日の隣の駐車スペースで、みんなが、夏のドライブ旅行は無理かもなどど、多少楽観的な気持ちで話している中で、私が「世界中がこのパンデミック収束に真剣に取り組み、全ての国が連携しない限り、これは収束しない。人間の社会・経済行動は、とんでもないぐらいに密接にグローバルでつながってしまい、1国だけが助かるみたいな話はあり得ない。またワクチンが一般に配布するまで18か月ぐらいはかかるから、この状態が来年まで続く覚悟が必要」言ってしまった。シーンとした中で、「でもこれはリアリティで、昔の良き時代のように、アメリカのモンロー主義みたいな政策はとれない」と、ダメ押しの釘まで刺してしまった。

Facebookで見かける、自分はコロナの陽性であるという告白の投稿。

多くの人達は自宅で、不安に苛まれながら、厳しい現実のニュースを見聞きして生活しているが、目立ってきたのは政治家や著名人もさることながら、私のアメリカの知人友人が、陽性と判明してどんな容態をたどったかを、Facebookで投稿し始めたコトである。私は、こうした勇気にいつも感銘を受ける。告白によって色眼鏡で見られる可能性があるのに、過去の2週間の容態の変化をきちんと事実として説明し、自分は今回復しているから、みんなも感染しても恐れる必要はないとPositiveに結んでいる。彼は、やはり多くの人達の不安の解消を図ろうとしている、これも大切な社会貢献である。特に彼みたいに、マーケティングの世界にどっぷりつかって、生き方そのものが古い言い方だが、「トッポい(ちょっと気障で不良ぽい)」タイプだった人が、このような真摯な告白をする。彼の内面のうかがい知れない、新たな側面を知ることとなり、嬉しくなった。

「Peer Influencer(仲間うちで信頼されて影響力を持つ人)」の本当の言葉を聞くと安心する

今は、とにかくみんな不安で、誰かと話すことによって、その不安を解消したいという欲求がある。それは著名人や有識者の言葉では、埋められない、「自分が心から信頼できる仲間(Peer Influencer)」の本音の言葉を求めていると思う。だから罹患した友人の告白は響き、近所の友人達の悩みは他人事ではなくなる。コロナ禍という暴風雨の中で、みんなどのように生活し、生きて行くのかを模索している。改めて、みんなが再認識しているのは、家族、友人、知人など、自分の周囲を取り巻く、リアルの人達の存在だと思う。こういう仲間がいるからこそ、自分は楽しい生活が送れるんだと思い、彼らを大切に思う気持ちが増大する。

他の人を大事にして彼らを助けると、見返りを求めなくても、必ず良いベネフィットのブーメランが戻ってくる。

まずは、「他の人をファースト」に考える、これは個人のみならず国家間でも必要だと思う。他の人を大事にして彼らを助けると、見返りを求めなくても、必ず良いベネフィットのブーメランが戻ってくる。お互いが緊密依存しあっているグローバルにおいて、人間は、国家は、孤立することは不可能である。最も困っている人達から助ける、というコトを前提に、政府には大ナタをふるってほしい。

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コロナ禍でのアメリカ生活⑤「ガイア(地球)は人類に対して、怒っているんだろうか?」

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トイレットペーパーをゲットした瞬間、クンタ・キンテ誕生状態となる

やった!夫がWalgreensでトイレットペーパーを2個ゲットして帰って来た。彼は、まるで狩猟時代の狩から戻った戦士のような得意顔で、どうと2個のロールを私に突き出した!我が家には神棚も仏壇もないけど、私はアフリカの大地にクンタ・キンテ(Kunta Kinte)が生まれた瞬間の如く(TVミニシリーズRootsの有名なシーン)、ロールを高く掲げて、一礼した。これで我が家もロールの在庫は9個となる。ふうう。

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Walgreensは1人当たり2個という制限を付けて販売しているので、これをこまめにゲットしていけば、我が家のロールは滞りなく在庫補充が可能となる。私は、常にペーパーの心配をしている訳ではなく、週に1度の食料品の買い物でも、まずは必要なものを補充するのみにして、他の人に迷惑をかける「買いだめ」は一切していない。アメリカの家には広いPantry(食料品を収納するスペース:部屋と言えるぐらい広い)があるので、大量の食料品が収納できてしまい、多くの家庭ではここにモノを溜め込んでいる。我が家はかなりスカスカで、夫も私も、最悪感染して隔離する状況になった時に買い物をしないで済むぐらいのスープの缶詰とかを、普段より多めに買ったぐらいで、モノ溜め込んでいない。注:以下の写真は我が家のモノではない

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とうとう日本もアメリカからの入国を拒否

日本もアメリカからの入国を拒否するくらいにアメリカの感染者数と死者の数は毎日うなぎのぼりである。以下のデータが示すように、感染者数でトップに躍り出たアメリカは、昨日14,904人が新たに感染して合計168,369人、死者は351人が追加されて合計2,934人が亡くなっている。勿論アメリカ以外のイタリア、スペイン、フランス、英国といった欧州と、イランの感染拡大も激化している。

まるで、地球(ガイア)の怒りが爆発して、これ以上地球の資源を無自覚・無尽蔵に食い散らかす人類への鉄槌の如く、この疫病は、ロシアも北朝鮮もアフリカ諸国も南半球の国々でも暴れ始めている。

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地球(ガイア)は怒っているんだろうか?

私の友人の山本一郎さんが、ブログでこう書いている。「人類社会の経済活動が低迷すれば、環境問題は解決するんです。グレタさんが各国首脳を激しく論難していた環境問題は、短期的にコロナウイルスが強制的に解決してくれました。あとは、その先に不幸な感染者や経済破綻者たちの望まない死が頻発しないことを祈るのみであります。」

コロナ禍生活が始まり、夫も私も「今一番喜んでいるのは地球そのものだろうね。人間が社会経済活動をスローダウンあるいは停止すれば、地球の環境リソースへの負荷が極端に減るもんね」と話したことを思い出す。以下のNASAの中国の大気汚染が、コロナによる人間の活動停止で、如何に減ったかを画像が如実に証明している。

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人々は、生活と称して、地球の環境に負荷を掛けながら、生きているかが、この画像を見れば一目瞭然である。

「疫病」って人間が環境(=地球)に負荷をかけ始めると発生する?

今回のコロナ禍は、古来から「疫病」って呼ばれている現象で、長い人類の歴史はこの「疫病」との戦いで、たまたま今回のようにパンデミックと言われる規模で、過去100年ぐらい発生してこなかったから、今右往左往している。これはある意味、中性子爆弾に似ていて、建物は破壊されずに人間だけが失われるという、人類が最も苦手とする戦い。理論的には、「ウイルスを終息させる」か「人類全員がウイルスにかかり病気になって免疫を持つ」しか解決方法はなく、そのどちらも簡単には出来ないし、終わらない。

以下に世界的歴史学者・哲学者のYuval Noah Harari「In the Battle Against Coronavirus, Humanity Lacks Leadership」日本語訳の中の抜粋を記す

「感染症は、現在のグローバル化時代のはるか以前から、厖大な数の人命を奪ってきた。14世紀には、飛行機もクルーズ船もなかったというのに、黒死病(ペスト)は10年そこそこで東アジアから西ヨーロッパへと拡がり、ユーラシア大陸の人口の四半分を超える7500万~2億人が亡くなった。イングランドでは、10人に4人が命を落とし、フィレンツェの町は、10万の住民のうち5万人を失った。

 1520年3月、フランシスコ・デ・エギアという、たった1人の天然痘ウイルス保有者がメキシコに上陸した。当時の中央アメリカには電車もバスもなければ、ロバさえいなかった。それにもかかわらず、天然痘は大流行し、12月までに中央アメリカ全域が大打撃を受け、一部の推定によると、人口の3分の1が亡くなったとされている。

 1918年には、ひどい悪性のインフルエンザウイルスが数か月のうちに世界の隅々まで拡がり、5億もの人が感染した。これは当時の人口の4分の1を超える。インドでは人口の5%、タヒチ島では14%、サモア諸島では20%が亡くなったと推定されている。このパンデミック(世界的大流行)は、1年にも満たぬうちに何千万(ことによると1億)もの人の命を奪った。これは、4年に及ぶ第1次世界大戦の悲惨な戦いでの死者を上回る数だ。」

今やるべきことは、まずは自分がウィルスのキャリアにならないこと

日本の人は、感染者数の数字が低いせいか、かなり普通の生活を多くの人達が平気でしており、Social distancingの重要性をそれほど認知していないように見える。ロックダウンの状況のリアリティも、イマイチぴんと来ていない感じで、かなりのんびりしているように見える。でも、嵐は来る、或いはすでに波打ち際まで来ていることは事実である。経済的な打撃も然りだけど、これから人命喪失などで、どこまで誰が彼らを救えるのか?といった、医療崩壊も含めた惨い現実が近づいてくる可能性が高い。

言霊を恐れる日本は、最悪に備えたリスクマネジメントを、言う、聞くのを嫌がるけど、いやだと言っている時間はない。世界中が、嵐は来ることを予期して、今できることを必死にやっている。

個人としては、まず自分がウィルスキャリアにならないように、行動するしかない。

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コロナ禍でのアメリカ生活④「毎朝体温を測ることを習慣としよう!」

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体温を測ろう!

新たな毎朝の習慣。夫と2人でお互いに、額にこの温度計「Nubee Temperature Gun Non-contact Digital Laser」を向けて、コンタクトせずにデジタルレーザーで体温を測りあっている。高熱という症状は感染の可能性があるので、念のためのチェックをしている。

何でもないことだけど、普通の体温計で測るより、簡単でちょっと楽しいから。

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何故かこの製品は、オンラインで探すとどこにも在庫がない。どうしたんだろう? 

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Social distancingを実施している時なので、夫は私がマーケットに出かける時「これ、持っていく?」と聞いたけど、近づいている来る他の人にこれを向けたら、私はすぐに逮捕されるかも。

どっちにしても、早めに自分自身の感染状況という事実を知ることは大切。

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コロナ禍でのアメリカ生活②「Instant Gratification(瞬間的な満足・報酬)にはさよならしよう」

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日々刻々と変化するアメリカの生活環境の制限の中で、自分がどんな風に暮らしているかを、思いつくままに書いてみる。

トイレットペーパー1個の喜び

今朝は満を持して、夫と暗いうちに家を出て、7時開店の近所のローカルのマーケットHarmonsに行ったが、またしてもトイレットペーパーはなかった。次に開店していたHome Depotに寄ったが、ここも当然のごとく在庫はなく、いつ入荷されるか分からないというつれない返事。夫が、小さなガスステーションのマーケットにはあるかもしれない言うので行ってみると、最初目に入らなかったが、最後の1つのペーパーロールが、棚の下に隠れるようにちょこんと座っていた。私は思わず「やった!」と心の中で叫び、隣りにあったティッシュペーパーの箱を2個(4個取りたかったが、自己中心な行為が品不足を生むと自分に言い聞かせて2個にした)獲得して、レジに行き、キャッシャーが「あなたラッキーね」とペーパーゲットを褒めてくれた。実に2週間ぶりのペーパー購入で、私は夫にハイタッチするほど興奮した(これで我が家の在庫は、ロールは8個でティッシュペーパーの箱は12個)。夫に「我が家はウォシュレットがあるんだから、ドライヤーボタンを使って乾燥させれば、ペーパー使用を大幅に削減できる」と言われ、「はい、ごもっとも」と答えて、次にいつ確保できるか分からないペーパーへの想いを断ち切った。

スプリント的な思考からマラソン的な思考へ

私は中学時代は陸上競技の選手で、都大会に選ばれて、当時の国立競技場で開催されたNHK放送陸上に、砲丸投げと400mリレー(第1走者)で出場した。砲丸投げでは都大会6位に入賞したことは今でも誇らしい(周囲の選手はみんな大きな女子達で、私1人が千代の富士みたいに小柄で軽量だったけど、後ろ向きのポーズから身体を1回転させるフォームで、調子がいい時には10m以上を飛ばした)。ハードル、3段飛び、幅跳びなども得意で、三種競技B (100m-走幅跳-砲丸投)にも出場している。今朝思ったことは、今回のコロナ禍は、私の好きな短時間で勝負のつく、スプリント的な思考回路では克服できないという点。

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中学時代の私の唯一の長距離レース経験は、野山を駆け巡ったクロスカントリーレース。クロスカントリーでは、通常のフィールドとは異なり、思いもよらない山道の中で、小石、小枝、ちょっとした小川などを飛び越えて、走り続けた記憶がある。次に何が来るか分からないけど、クロスカントリーもしっかりしたペース配分が必要で、それがないと、最後は脚が前にでなくなる。

コロナ禍の生活で、必要なことは、日々の生活の仕方とスピードを、スプリント的な思考から、マラソン的な長距離思考に切り替えること。この切り替えが出来ないと、まず最初に心が弱くなり、ずるずるとペースが落ちて、最後は脚が出なくなる。

Instant Gratification(瞬間的な満足・報酬)にはさよならしよう

Millennial & Gen Zといったデジタルネイティブに限らず、私達もすっかり「Instant Gratification(瞬間的な満足・報酬)」に慣れてしまい、今直ぐ全てを手に入れないと、我慢できない気持になっている。でも、このコロナ禍では、その気持ちや欲求を捨て去り、まず色んなことを辛抱する気持ちと時間が必要となる。長い距離を走る以上、これはとっても大切なことで、100m走みたいにスタートダッシュで息を止めている間に、勝負がつくものではない。まずは、自分のペースを見つけて、それを生活の中に上手く配分して、自分がこのペースならば長く継続できて、尚且つ、それなりに快適だというリズムを確立することが重要だと思う。また自分よりもっと困っている人達がいることを常に考えて、「Me first」ではなく「他の人ファースト」の気持ちを持って行動し始めるべきだと思う。

PS: 因みに最初のメダルの写真は、当時の東京都知事の東龍太郎さんから、体育優良生徒として表彰された時のもの(中学校の校庭で全校生徒の前で、校長先生から授与された)。2番目の4つのメダルの写真は、小さな競技会で入賞した時のメダル。こういうのを見ると走りたくなる!

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コロナ禍でのアメリカ生活①「他の人ファースト」の気持ちをまず持とうよ

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日々刻々と変化するアメリカの生活環境の制限の中で、自分がどんな風に暮らしているかを、思いつくままに書いてみる。

Jazzercise(通称ひさみの朝稽古)の休止

今朝の私の最も重い決断は、毎日行くJazzercise(通称ひさみの朝稽古)を今週から休止して、自主トレに変更したことである。私が通うJazzerciseのクラスは、通常はインストラクターを入れて5-7名ぐらいの少人数で、バレエスタジオの1室を借り切って実施している。Utah州では現在10名以下の集会を停止するよう求めているが、このクラスは10名以下で、スタジオでの各自のポジションは2-3 mぐらいの距離があり、インストラクターは、生徒が1人でも通う限りクラスは続けると言っている。

すでに1週間ぐらい前から、Social distancing(少なくとも2 mは相手との距離を持つ:remaining out of congregate settings, avoiding mass gatherings, and maintaining distance (approximately 6 feet or 2 meters) from others when possible”)を考慮して、クラスを休んでいる生徒もあり、私も米国の感染者数急増を考慮すると、個人としての責任もあり、クラスに行くことを断念した。朝稽古のこの1時間が私の心と身体の解放につながり、非常に重要だけれども、この状況下では、自主トレーニングに切り替えるしかない。幸い、広大な自然の中に住んでいるので、周囲を歩く、自転車に乗る、さらに自宅のあるコミュニティには温水の屋外プールがあり、誰も泳いでいないので、1人で泳ぐことに決めた。今日はあいにく雨降りで、また通常は82度F(27.8度C)の温水プールが故障らしく70度F(21.1度C)しかなので、自宅の室内でウエイトでもやるしかないという状況である。

データで見る米国のコロナ禍の急増

米国は昨日(3/22)の時点で感染者数は3万5,075人、新たな感染者数1,529人、新たな死者39人、合計458人が亡くなっている。毎朝、私はこのデータサイトで、国別のコロナ禍の数字をチェックしているが、米国が日々各国を追い抜いて上位に上がり、現在はイタリアに次いで3番目となっている。イタリアの感染者数は5万9,138人で、死者は5,476人と、兎に角死者数が半端ではないが、死者数ともかく、イタリアの感染者数は、米国が追いつく射程距離内に入ってきていると思う。

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因みに3/20にチェックした時のデータが以下で、米国の感染者数は1万6,067人で、上位には中国、イタリア、スペイン、イラン、ドイツがいて、米国は5番目に感染者数の多い国だったが、2日間で一気に3番目に浮上している。

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テレワークが出来ない勤労者のコロナ禍疲れ

この急激な感染者数増加は、検査数増加と自覚症状のない感染者のフィジカリーに動き回るソーシャルな行動によって拡大しており、数字は今後もどんどん上がると思う。昨日夫と2人で恒例の日曜日の1週間分の食料品の買い出しに出かけたが、マーケットは開店時間を短縮し、シニア向けの特別な優待時間(開店の最初の1時間はシニアのみ)、キャッシャーと顧客の間に透明の仕切りを構築、顧客持ち込みのusable bagの禁止(店の備え付けの紙袋のみ)など、様々な対応を図っている。キャッシャーの顔に見るストレス(自身が感染するかもしれない不安)などを見ると、現在一番心配なのは、医療従事者や従事者の防護機材不足、さらにメンタル面での疲労が真っ先に浮かぶ。

米国が最も恐れるのは「コロナ禍による米国のイタリア化現象」

以下のOECDのグラフは、米国が最も恐れるのは「コロナ禍による米国のイタリア化現象」への1つの要因となるデータである。

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この国別の1000人当たりのベット数比較(2016年のデータ)で、日本はベッド数では13.1とトップで、イタリアは3.2、米国は2.8と非常に少ない。もうすでに、医療従事者に及び関連のコロナ禍に現場で立ち向かっている人達は、収容能力や機材不足で悲鳴をあげており、このデータが示唆するように、もしイタリアのように急激なコロナ禍拡大になると、医療現場はとんでもない状況に陥る。

以下のグラフは同じくOECDによるデータである。


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このイタリアが陥った急激なカーブを、何とか緩やかにすべく、米国は今必死に政府・州行政がコロナ禍に介入し、市民に多くの制限を課しているが、この急カーブが、どのくらい緩かに、いつ管理出来るかが、ポイントだと思う。多分ここ2-3週間が正念場で、流石のTrump政権も、あれだけコロナ禍を軽視し放置していたにも拘わらず、株価の暴落&景気後退突入という、自分の再選への赤信号が点り、急激な政府介入をせざるを得ない状況に追い込まれている。

市民として責任

個人が出来ることは限られている。テレワークが出来る環境の勤労者は、実際は僅かで多くの米国の勤労者は、実際にオンサイトに行く業務が多い。レストラン業界、特にMom & popの小さなレストランを中心に、お客のチップで生活を支えていたような人達は、一気に失業、休業、倒産となっている。私が住むSt Georgeもレストラン営業停止となり、レストラン休業で職を失った人達を助けるために、の近所のレストランXterra が、地元のレストラン業界を救済するためのセンターを立ち上げて、寄付金募集が始まった。我が家もまずそこに寄付をして、少しでも、最も被害にあう人達を助けることから始めた。寄付金は、レストラン営業停止に伴い、サプライヤーの無駄になる製品を買い上げるなど、何とか小さなレストランの救済を図ろうとしている。現在目標は15,000ドルで、私達が寄付した後、1時間で14,610ドルまで増えている。

「他の人ファースト」の気持ちをまず持とうよ

物流がまだ機能している時に、最も困るのが不安にかられた人達が、自宅に製品をストックし始める「自分ファースト」の行為。最も影響や被害を受ける人を最優先にして「他の人ファースト」の気持ちを持てば、棚から何週間もトイレットペーパーが消えるなんて、馬鹿げたことは起きないと思う。すでに我が家では、過去2週間トイレットペーパーが購入できず、我が家のペーパーロールはあと7個となり、夫はティッシュペーパーをトイレで使用することに切り替えた。あまり重要視はしていないが、どこまで我が家のペーパーが持ち、いつペーパー危機が解除されるかを、意外と客観的に見つめている。




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