Viewing entries tagged
#疫病

Comment

コロナ禍でのアメリカ生活⑨「歴史を動かす感染症への答えは歴史の中にある」

IMG_8228.jpg

昨日自主隔離中だった英国首相Boris Johnsonの入院のニュース(集中治療室に移動)を目にして、チャールズ皇太子も感染し自主隔離しているというコトを知り、感染症の持つチカラを改めて考えてみた。

様々な感染症が常に世界中を襲い続けているけど、史上最も有名なパンデミックは1334年に始まった「黒死病」と呼ばれたペストで、アジアとヨーロッパで猛威を振るい、2,500万人の死者を出したという。英王室には、こうした悪名高い感染症の悲劇に随分あっている。今朝目にしたNational Geographicの記事によると、以下のよう事例があげられる。

英国王室のペストによる死亡:

1327年即位のイングランド王エドワード3世は、英国王族として初めて黒死病(ペスト)で近親者達を亡くす。1)スペインのカスティーリャ王ペドロ1世と結婚する旅の途中、14歳の娘ジョーンはペストで死亡。2)ペドロ1世の父アルフォンソ11世も、ジブラルタルをムーア人から取り返そうと包囲している最中ペストで死亡。3)1394年エドワード3世の孫息子である国王リチャード2世も妻をペストで失う。4)100年近く後の1492年、エドワード4世の王妃エリザベスがペストで死亡。

英国王室の天然痘による死亡:

1)1552年国王エドワード6世は、14歳の若さで天然痘とはしかに倒れ、すぐに回復したが翌年結核で亡くなった。これにより男性の王位継承者がいなくなり、異母姉のメアリー1世が即位。1558年メアリーが死去すると、王位に就いたのが女王エリザベス1世。2)彼女は29歳の時に天然痘に罹患し、周囲は及び女王自身が死が近いと思ったが、彼女は病を克服した。但し天然痘のために顔に痕が残ち、鉛を含んだお白粉で痕を隠すお化粧をして、イングランドンの黄金時代を築いた。3)1688年無血クーデターの後、夫のウィリアム3世と共同統治していた女王メアリー2世が、1694年天然痘のため32歳で死亡。4)この当時の欧州の君主で天然痘で亡くなったのは、スペイン王ルイス1世(1724年)、ロシア皇帝ピョートル2世(1730年)、フランス王ルイ15世(1774年)など。以下は、女王エリザベス1世 

Darnley_stage_3.jpg

英国王室のインフルエンザによる死亡:

1889年サンクトペテルブルクで発生したインフルエンザ「ロシアかぜ」は、パンデミックとなってヨーロッパ各地に広がった。これは3度ロンドンを襲い、1)1892年の第3波でビクトリア女王の孫で王位継承順位第2位のアルバート・ビクター王子が28歳で死亡、将来の王位は弟のジョージ5世に移る。2)1918年の「スペインかぜ」で、世界人口の3分の1が感染し、死者は5,000万人に上った。その猛威の中で、1918年5月英国王ジョージ5世は回復した。以下は当時のアメリカ軍の野戦病院 (Image: courtesy of the National Museum of Health and Medicine, Armed Forces Institute of Pathology, Washington, D.C., United States.) - Pandemic Influenza: The Inside Story. Nicholls H, PLoS Biology Vol. 4/2/2006, e50 https://dx.doi.org/10.1371/journal.pbio.0040050, CC 表示 2.5, 

Spanish_flu_hospital.png

感染症は歴史を動かす

この英王室と感染症との戦いを見ても、感染症が歴史を変えてしまい、王位継承に重要な役割を担ったことが、垣間見られる。特に天然痘で死にかけた後、後遺症で顔に痕が残ったがゆえに、真っ白なお白粉で痕を隠して、英国の黄金時代を築いたエリザベス1世のことを考えると、アタマが下がる。王位継承権の高い人が罹患して死亡した際は、王家の血筋の違う幹に大きく変わる事実が歴史的に存在する。また、北米大陸の先住民であったアメリカン・インディアンも、南米のアマゾンの先住民も、ヨーロッパから移住してきた白人がもたらした麻疹(はしか)とインフルエンザの免疫を持たないために、一気に人口減少が起こり、歴史から駆逐されていった。

英国皇太子と英国首相はなぜ感染したのか?

通常、欧米人は医療従事者でない限りマスクをする習慣がない、英国要人たちと一般庶民との間の接し方や、政治家同士の閣議や会議でも2m以内の近距離で議論するという習慣が、感染しやすい環境を作っていると思われる。コロナ禍でこれだけPhysical distancingを言われているにも関わらず、皇太子も政治家も濃密な近距離で一般人と接しており、 議論も口角泡を飛ばすといった形で、F2Fでなされている以上、感染の可能性は拡大する。英国首相Boris Johnsonの妊娠中のガールフレンドも症状が出ているというニュースも目にして、本当に人々がPhysical distancingを順守して、2m以上離れて、人との物理的な距離を取るだけでも、こうした感染状況は防げる。

歴史には現在の問題解決の答えがある

感染症(疫病)によって引き起こされるパンデミックは、前回よりは今回、今回よりは次回と、回を重ねるごとに、感染力を拡大し、より強さを増して登場してくる。すなわち想定外を常に巻き起こす、非常に厄介な代物である。但し、だからと言って「過去=歴史」を振り返っても意味がないということはない。歴史には、実はきちんと答えが書いてある。

National Geographicの記事は、このようにレポートしている。2007年学術誌「米国科学アカデミー紀要」(PNAS)に、1918年のインフルエンザ(スペインかぜ)において、市によって異なる対応が病気の蔓延にどのように影響したかを調べた2つの論文が発表された。致死率、時期、公衆衛生的介入について比較したところ、早い段階で予防措置を講じた市では、対策が遅れた、或いは全く講じられなかった市と比べて、死亡率が約50%も低いことがわかった。最も効果的だった措置は、学校、教会、劇場を同時に閉鎖し、集会を禁止することだった。そうすることでワクチンを開発する時間を稼ぎ、医療機関にかかる負担は減った。同論文は1918年のインフルエンザにおいて、死亡率の急上昇を防ぐ鍵は「社会的距離」戦略であったと結論付けている。

そう、兎に角同じ屋根の下に住む人以外とは、顔に何か覆う布をまとい、2mのPhysical distancingを取ることが肝要。

Comment

Comment

コロナ禍でのアメリカ生活⑤「ガイア(地球)は人類に対して、怒っているんだろうか?」

IMG_8034.jpg

トイレットペーパーをゲットした瞬間、クンタ・キンテ誕生状態となる

やった!夫がWalgreensでトイレットペーパーを2個ゲットして帰って来た。彼は、まるで狩猟時代の狩から戻った戦士のような得意顔で、どうと2個のロールを私に突き出した!我が家には神棚も仏壇もないけど、私はアフリカの大地にクンタ・キンテ(Kunta Kinte)が生まれた瞬間の如く(TVミニシリーズRootsの有名なシーン)、ロールを高く掲げて、一礼した。これで我が家もロールの在庫は9個となる。ふうう。

IMG_8025.jpg

Walgreensは1人当たり2個という制限を付けて販売しているので、これをこまめにゲットしていけば、我が家のロールは滞りなく在庫補充が可能となる。私は、常にペーパーの心配をしている訳ではなく、週に1度の食料品の買い物でも、まずは必要なものを補充するのみにして、他の人に迷惑をかける「買いだめ」は一切していない。アメリカの家には広いPantry(食料品を収納するスペース:部屋と言えるぐらい広い)があるので、大量の食料品が収納できてしまい、多くの家庭ではここにモノを溜め込んでいる。我が家はかなりスカスカで、夫も私も、最悪感染して隔離する状況になった時に買い物をしないで済むぐらいのスープの缶詰とかを、普段より多めに買ったぐらいで、モノ溜め込んでいない。注:以下の写真は我が家のモノではない

1400954682132.jpeg

とうとう日本もアメリカからの入国を拒否

日本もアメリカからの入国を拒否するくらいにアメリカの感染者数と死者の数は毎日うなぎのぼりである。以下のデータが示すように、感染者数でトップに躍り出たアメリカは、昨日14,904人が新たに感染して合計168,369人、死者は351人が追加されて合計2,934人が亡くなっている。勿論アメリカ以外のイタリア、スペイン、フランス、英国といった欧州と、イランの感染拡大も激化している。

まるで、地球(ガイア)の怒りが爆発して、これ以上地球の資源を無自覚・無尽蔵に食い散らかす人類への鉄槌の如く、この疫病は、ロシアも北朝鮮もアフリカ諸国も南半球の国々でも暴れ始めている。

Corona data_03_30_20 .png

地球(ガイア)は怒っているんだろうか?

私の友人の山本一郎さんが、ブログでこう書いている。「人類社会の経済活動が低迷すれば、環境問題は解決するんです。グレタさんが各国首脳を激しく論難していた環境問題は、短期的にコロナウイルスが強制的に解決してくれました。あとは、その先に不幸な感染者や経済破綻者たちの望まない死が頻発しないことを祈るのみであります。」

コロナ禍生活が始まり、夫も私も「今一番喜んでいるのは地球そのものだろうね。人間が社会経済活動をスローダウンあるいは停止すれば、地球の環境リソースへの負荷が極端に減るもんね」と話したことを思い出す。以下のNASAの中国の大気汚染が、コロナによる人間の活動停止で、如何に減ったかを画像が如実に証明している。

_111089478_china_trop_2020056.png

人々は、生活と称して、地球の環境に負荷を掛けながら、生きているかが、この画像を見れば一目瞭然である。

「疫病」って人間が環境(=地球)に負荷をかけ始めると発生する?

今回のコロナ禍は、古来から「疫病」って呼ばれている現象で、長い人類の歴史はこの「疫病」との戦いで、たまたま今回のようにパンデミックと言われる規模で、過去100年ぐらい発生してこなかったから、今右往左往している。これはある意味、中性子爆弾に似ていて、建物は破壊されずに人間だけが失われるという、人類が最も苦手とする戦い。理論的には、「ウイルスを終息させる」か「人類全員がウイルスにかかり病気になって免疫を持つ」しか解決方法はなく、そのどちらも簡単には出来ないし、終わらない。

以下に世界的歴史学者・哲学者のYuval Noah Harari「In the Battle Against Coronavirus, Humanity Lacks Leadership」日本語訳の中の抜粋を記す

「感染症は、現在のグローバル化時代のはるか以前から、厖大な数の人命を奪ってきた。14世紀には、飛行機もクルーズ船もなかったというのに、黒死病(ペスト)は10年そこそこで東アジアから西ヨーロッパへと拡がり、ユーラシア大陸の人口の四半分を超える7500万~2億人が亡くなった。イングランドでは、10人に4人が命を落とし、フィレンツェの町は、10万の住民のうち5万人を失った。

 1520年3月、フランシスコ・デ・エギアという、たった1人の天然痘ウイルス保有者がメキシコに上陸した。当時の中央アメリカには電車もバスもなければ、ロバさえいなかった。それにもかかわらず、天然痘は大流行し、12月までに中央アメリカ全域が大打撃を受け、一部の推定によると、人口の3分の1が亡くなったとされている。

 1918年には、ひどい悪性のインフルエンザウイルスが数か月のうちに世界の隅々まで拡がり、5億もの人が感染した。これは当時の人口の4分の1を超える。インドでは人口の5%、タヒチ島では14%、サモア諸島では20%が亡くなったと推定されている。このパンデミック(世界的大流行)は、1年にも満たぬうちに何千万(ことによると1億)もの人の命を奪った。これは、4年に及ぶ第1次世界大戦の悲惨な戦いでの死者を上回る数だ。」

今やるべきことは、まずは自分がウィルスのキャリアにならないこと

日本の人は、感染者数の数字が低いせいか、かなり普通の生活を多くの人達が平気でしており、Social distancingの重要性をそれほど認知していないように見える。ロックダウンの状況のリアリティも、イマイチぴんと来ていない感じで、かなりのんびりしているように見える。でも、嵐は来る、或いはすでに波打ち際まで来ていることは事実である。経済的な打撃も然りだけど、これから人命喪失などで、どこまで誰が彼らを救えるのか?といった、医療崩壊も含めた惨い現実が近づいてくる可能性が高い。

言霊を恐れる日本は、最悪に備えたリスクマネジメントを、言う、聞くのを嫌がるけど、いやだと言っている時間はない。世界中が、嵐は来ることを予期して、今できることを必死にやっている。

個人としては、まず自分がウィルスキャリアにならないように、行動するしかない。

ETLNHAoXkAE6Isp.jpeg

Comment