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【7日間ブックカバー】7日目 - 最後は私の大学時代の広告研究会の仲間の荻原浩の『二千七百の夏と冬』

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Facebookの仲間達からバトンが渡されて7日間ブックカバーを開始。これは備忘録として記録しておきたい。

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最後は私の大学時代の広告研究会の仲間の荻原浩の『二千七百の夏と冬

1学年下の荻原君(当時は何時もそう呼んでいた)が、作家になったのは1997年、私がすでに米国移住した後だった。日本出張時にそれを知り、彼は大学卒業後、私と同じように広告代理店に入社し、その後彼がフリーのコピーライターをしていたことを知っていたので、作家になったと聞いても特に驚かなかった。

早速最初の小説『オロロ畑でつかまえて』を読んで、物凄く驚き、物凄く嬉しくなった。「こんなユーモアに富んだ面白い小説を書けるんだ!荻原君、凄い凄い!」と心から喜んだのを思い出す。その後、彼の作品をかたっぱしから読み、どれもこれも独特のユーモアと展開の妙にあふれる作品で、大いに彼の小説をエンジョイした。

彼とは一度だけ作家になりたての頃、2人で渋谷で会ったけ。「シバさん、作家をやっていくって大変なんです。書き続けることが。何とかやっています」と昔と変わらない「控えめな荻原君」がそこにいた。そんな彼が直木賞まで受賞する(2016年『海の見える理髪店』)とは、「世の中というのは、実に、いとをかし(趣きがある)」としか言えない。

今日選んだ『二千七百の夏と冬』は、多分日本初の縄文人を主人公にした時代小説だと思う。私は、彼の想像力の羽ばたき方が実に素晴らしいと思う。また批判もあるけど、縄文時代の動植物の名前や動詞を縄文語で表現したり、縄文人と弥生人の言葉の違いで会話が成立しない部分を「****(伏せ字)」にしたり、従来の小説に見られない工夫がある。私は、この小説の中での「金色のクムゥ(ヒグマ)との戦い」が、個人的には大好きである。

プロットは2011年東日本大震災の爪痕が残る関東のあるダム工事現場で、縄文人の骨が発見された。発掘が進むにつれ、その人骨は少年であり、その手の先にはもう一体、少女の人骨が埋まっていることが判明する。しかも、それは弥生人のものであった。物語は2011年の女性新聞記者・佐藤香椰と、縄文時代の少年ウルクの物語が交錯する対位法の形式で進む。

私は荻原浩の作品を殆ど読んでいて、全部大好きだけど、あえて選ぶとこんな感じ。『オロロ畑でつかまえて』、『なかよし小鳩組』、『』、『母恋旅烏』、『明日の記憶』、『愛しの座敷わらし』、『オイアウエ漂流記』、『金魚姫

【目的とルール】
●読書文化の普及に貢献するためのチャレンジで、参加方法は好きな本を1日1冊、7日間投稿する
●本についての説明はナシで表紙画像だけアップ(書いても良い)
●都度1人のFB友達を招待し、このチャレンジへの参加をお願いする

【バトン】
バトンは、私の仲良し友達の1人Yoko Sakanoue さんに渡します。彼女とも長いお付き合いで、視野が物凄く広いので、何を選ぶかが楽しみ!お願いします。

#7days #7bookcovers
#BookCoverChallenge #day7

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【7日間ブックカバー】 2日目 - 高橋克彦『楽園にようこそ』

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Facebookの仲間達からバトンが渡されて7日間ブックカバーを開始。これは備忘録として記録しておきたい。

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【7日間ブックカバー】2日目 -  高橋克彦『楽園にようこそ』

高橋克彦による2007年のエッセイ『楽園にようこそ』。私は彼の小説『火怨 北の燿星アテルイ』、『炎立つ』、『天を衝く』といった東北を舞台にした小説が大好きで、更にそれ以外の彼の想像力が羽ばたく伝奇小説も含めて大ファンである。

理由は、彼が勝者によって改竄或いは抹殺された歴史を、彼独自の歴史観で掘り起こし、小説家としてのクリエイティビティで、素晴らしい「物語」に仕立て、私達を楽しませてくれるから。

このエッセイの中には「滅ぼされた楽園」という章がある。

「なぜ東北は執拗に攻め滅ぼされなければならなかったのか。それへの問いかけが私のスタートとなった。歴史的資料の乏しさが壁となってはだかっている。仕方なく伝説や民話を手がかかりとして東北を歩き回っているうち、天啓のごとく閃いた考えがある。東北には縄文時代のシステムがそのまま生き長らえていて、稲作という管理社会が基本である弥生以降の国家にとって最大の脅威ととらえられていたのではないか。狩猟採集を基盤とする縄文世界は稲作文化と違って土地に縛られず、搾取構造にもならない。上下の人間関係も成立しない。ある意味で理想的な社会主義を実現できる。家族単位の行動が軸となるから疎外や競争も生まれない。それがわずかの範囲内のことであるなら無視もできようが、東北という広大な土地にそういう自由を満喫している人々が暮らしていることは、集権国家にとってまさに見過ごすことのできない大問題であったのだ。

私は日本の歴史における東北の位置づけに、非常に興味を持っており、高橋克彦ではないが、なぜ日本の政府は常に東北に攻め込み、彼らを蔑み、敗者扱いしようとしたのかが、疑問だった。その答えの1つは、このエッセイの中にある。また東北に関心を持つと、必ず自然と共棲して豊かな文化と生き方を構築して、人生をエンジョイしていた縄文文化に行き着く。今のような時代には、立ち止まって、悠久の歴史を紐解くのもいいと思う。まずは、このエッセイで「楽園」とは何かを読んで欲しい。表紙と裏表紙に書かれている言葉も読んで。

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【目的とルール】
●読書文化の普及に貢献するためのチャレンジで、参加方法は好きな本を1日1冊、7日間投稿する
●本についての説明はナシで表紙画像だけアップ(書いても良い)
●都度1人のFB友達を招待し、このチャレンジへの参加をお願いする

【バトン】
バトンは、私の大切な友達のYamamoto Shogo さんに渡します。昨日はZoomで奥さんも含めて、4歳の娘さんと1歳の息子さんと対面してお喋りしました。娘さんは車で我が家に遊びに来ると言っていたけど、多分飛行機だと思う(笑い)。彼との付き合いも長く、今は素敵な家族を持って何より。起業家のしょうごさん、お願いします。

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