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日々刻々と変化するアメリカの生活環境の制限の中で、自分がどんな風に暮らしているかを、思いつくままに書いてみる。

実に情けない、こんなに早くコロナ感染者数で、米国がグローバルでNo1になるとは。Trump政権の当初(1月後半と2月)のコロナ感染への軽視から始まって、具体策を講じる手だてが、全て後手後手に回って、結果とうとう感染者数で、米国は中国を抜き去り、トップに躍り出た。

3/26に確認できた世界の感染者数の合計は526,044人で、国別では、米国82,404人、中国81,782人、イタリア80,589人が上位3カ国となっている。米国は早くからトップに躍り出ることを予測していたが、あまりにも早すぎる結果となった。勿論、死者数では、グローバルの総合計は23,709人で、順位はイタリア8,215人、スペイン4,154人、中国3,169人、イラン2,234人、フランス1,696人、英国578人、オランダ434人と、中国とイランを除いて、欧州が非常に悪化している。

個別の国の事情があり、一概に全て政府の対応策と対応速度に原因があると指摘できないが、政府が最初にコロナ感染の情報を入手した時点で、科学者を交えた感染の専門家の分析やデータを元に、どのようなタイミングで具体的に政府が危機管理の判断をするかを決定すれば、少なくとも急カーブを少しでも緩やかにできる可能性はあると思う。 

「In the Battle Against Coronavirus, Humanity Lacks Leadership(人類はコロナウイルスといかに闘うべきか――今こそグローバルな信頼と団結)」

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3/15にTIME MAGAZINEに掲載された世界的歴史学者・哲学者のYuval Noah Harari(ユヴァル・ノア・ハラリ)の「In the Battle Against Coronavirus, Humanity Lacks Leadership」を柴田裕之氏が訳している日本語訳のタイトルは「人類はコロナウイルスといかに闘うべきか――今こそグローバルな信頼と団結」という。この文章はちょっと長いが是非読んで欲しい。私がその中から選んだのは以下の4つのポイント。

1)短期的隔離は仕方がないとしても、長期的孤立主義は経済崩壊につながるので、世界は分離ではなく協力し合うことがパンデミックへの真の対応策

「多くの人が新型コロナウイルスの大流行をグローバル化のせいにし、この種の感染爆発が再び起こるのを防ぐためには、脱グローバル化するしかないと言う。壁を築き、移動を制限し、貿易を減らせ、と。だが、感染症を封じ込めるのに短期の隔離は不可欠だとはいえ、長期の孤立主義政策は経済の崩壊につながるだけで、真の感染症対策にはならない。むしろ、その正反対だ。感染症の大流行への本当の対抗手段は、分離ではなく協力なのだ。」

2)理由は1970年代の天然痘が証明している。全ての国が予防接種を受けたから人類の危機は免れた

「1970年代に人類が天然痘を打ち負かすことができたのは、すべての国のすべての人が天然痘の予防接種を受けたからだ。たとえ1国でも国民に予防接種を受けさせることを怠っていたら、人類全体を危機に陥れていただろう。天然痘ウイルスがどこかに存在して変化を続けていたら、いつでもあらゆる場所に拡がりうるからだ。」

3)現在の人類規模の危機はウィルスのせいばかりではなく、無責任な政治家達が科学や国際協力に対する信頼を故意に損ねた結果でもある

「今日、人類が深刻な危機に直面しているのは、新型コロナウイルスのせいばかりではなく、人間どうしの信頼の欠如のせいでもある。感染症を打ち負かすためには、人々は科学の専門家を信頼し、国民は公的機関を信頼し、各国は互いを信頼する必要がある。この数年間、無責任な政治家たちが、科学や公的機関や国際協力に対する信頼を、故意に損なってきた。その結果、今や私たちは、協調的でグローバルな対応を奨励し、組織し、資金を出すグローバルな指導者が不在の状態で、今回の危機に直面している。」

4)このコロナ禍によって国と国や人間同士が不和と不信感を募らせれば、それはウィルスの勝利となり、人間同士が争えば、ウィルスは倍増する。

「今回の危機の現段階では、決定的な戦いは人類そのものの中で起こる。もしこの感染症の大流行が人間の間の不和と不信を募らせるなら、それはこのウイルスにとって最大の勝利となるだろう。人間どうしが争えば、ウイルスは倍増する。対照的に、もしこの大流行からより緊密な国際協力が生じれば、それは新型コロナウイルスに対する勝利だけではなく、将来現れるあらゆる病原体に対しての勝利ともなることだろう。」

表裏一体をなす感染症危機と経済危機

感染症危機と経済危機を同時に救うことは不可能だと思う。またこの2つは表裏を呈しており、同時に現れる。そのためにまずは、この急速に広がるコロナ禍を食い止める施策が最優先されるべきで、感染源や感染経路の究明、医療従事者へのサポート、医療器具やベッドなどの大幅な補充、市民への協力要請など、今直ぐ出来ることを本当に素早く実施する。それと並行して、Stay-at-homeという形でロックダウンされて、仕事を失い急速に増える失業者とその家族への手当が重要。米国はすでに先週のみで330万人が失業手当を申請するという急激な失業者を生んでいる。そうした人達の生活破綻を止めることは、非常に重要で、経済動脈を支える、最も根底にいる人達を守ることを優先すべきだと思う。コロナ禍で短期的に人員解雇で、最も打撃を受けているのが、以下の図にあるように、飲食レストラン、小売り、トラベル、サポートサービスで、特に低賃金労働者への影響が大きく、トータル3,700万人が失業の憂き目にあうと推測されている

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耐える時が来た

誰もがテレワーク出来るわけでもなく、今でもF2Fで勤務する、警官、消防士、医療従事者、スーパーマーケット、建設工事現場など、数えきれない人達は、感染する不安の中で毎日働いている。私が今出来ることは、限られているが、Social distancingを守り、物資を溜め込むような自己本位な消費行動でモノ不足に加担せず、長期化に耐えられる生活ペースとマインドセットを構築する、そんなことから始めている。耐える時が来たと思う。

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By Katapult Magazin, CC BY-SA 4.0, :Simulations comparing rate of spread of infection, and number of deaths due to overrun of hospital capacity, when social interactions are "normal" (left, 200 people moving freely) and "distanced" (right, 25 people moving freely).

Green = Healthy, uninfected individuals
Red = Infected individuals
Blue = Recovered individual
Black = Dead individuals

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