Comment

【7日間ブックカバー】 1日目 - 長谷川卓の『嶽神』シリーズ

IMG_8462.jpg

Facebookの仲間達からバトンが渡されて7日間ブックカバーを開始。これは備忘録として記録しておきたい。

IMG_8452.jpg

【7日間ブックカバー】1日目 - 長谷川卓の『嶽神』シリーズ13冊(上下巻があるので実際には8冊)

長谷川卓の『嶽神』シリーズ13冊(上下巻があるので実際には8冊)日本の戦国時代は殆どが武士の歴史や視点で書かれてあるが、このシリーズは里から離れて山と共に暮らす「山の者」から見た戦国の世。山の者たちの生き方は、まさに自然との共棲で、自然を畏怖し感謝し、エコロジカルに生きている。

コロナ禍で崩れ落ちた20世紀の負の遺産を清算して、今までできないと言い訳をしていたことを、いい訳なしで実行していかなければならない今に、ぴったり。どの本を読んでも全てが面白く、寝るのを惜しんで一晩で読んでしまえる。

写真は左から時代順に並べているので、まずは『血路』が始まり。駄文とも言えないような文章で作家と称する人が多い中で、群像新人賞を受賞し芥川賞候補にもなっている長谷川卓の文章は、命懸けで文章修行した作家だけが持つことのできる文体なので、読むに値する。

IMG_8453.jpg

【目的とルール】
●読書文化の普及に貢献するためのチャレンジで、参加方法は好きな本を1日1冊、7日間投稿する
●本についての説明はナシで表紙画像だけアップ(書いても良い)
●都度1人のFB友達を招待し、このチャレンジへの参加をお願いする

【バトン】
バトンは、私の大切な日本の友人達の1人であるKenji Sudo さん。彼と一度2人きりでかなり深い話をしたことがあるけど、彼はとっても奥が深い。お願いします。

#7days #7bookcovers
#Bookcoverchallenge #day1

Comment

Comment

コロナ禍でのアメリカ生活⑯「Zoom疲れ」があってもZoomがないよりはいい

Zoom.png

断り切れない付き合いがもたらす「Zoom Fatigue(Zoom疲れ)」

「Zoom Fatigue(Zoom疲れ)」の記事がグローバルのいろんな国で目に付く。自宅勤務となり、本来ならば通勤や無駄な会議に割いていた時間がセービングされて、もっとゆとりを持って24時間を使えるはずであったが、物理的な社会生活が遮断された代わりに、それらを全てオンラインに移行してしまったため、多くの人達が多忙を極めている。自宅にいるので幾らでもスケジュールを詰め込めると思い、仕事に限らず、オンラインで音楽・映画鑑賞、スポーツ観戦、さらに飲み会といったものをどんどん入れ込んでいる。

米国は日本とは異なり、「上司や同僚との付き合いのために飲む」という習慣はない。まして幾つかの大都市を除いて、公共の交通機関のない米国では、車通勤が主要な交通手段である以上、会社の帰りにちょっと1杯といった行為はまずありえない。自宅待機がもたらした新たな米国の悩みである「Zoom疲れ」は、単純に言うと「車だから」とか「子供のピックアップがあるから」、「夜は家族と一緒に過ごす時間なので」といった言い訳が聞かなくなり、多くの人達がずるずると「Zoom Happy Hour」に参加して、断りにくい社交が増加したことに起因する。

「Zoom飲み会」の難しさ

自宅で行われるZoomでの飲み会は、意外と難しく、多くの人達は、思っていたほど単純に楽しいものではなく、色んな不備をソーシャルネットワークで投稿している。特に指摘されるのが、並列的に複数の会話が進行出来ないという点。このため、1つの話題のみを声の大きな人(私のようなお喋り)が話し続けて、尚且つみんな話題が途切れて沈黙になるのを恐れるので、MCのような飲み会の進行的役割が必要になるという点。これは、私も末娘のZoom weddingに参加したが、30名以上の参加者は、1人を除いてみんなミュートにしており、結婚式の流れの中、司会者の長女が画面から外れると、気まずい沈黙が流れ、それをカバーするために、参加者の1人は勇気をもって発言していた。

人は、なぜF2Fで会って飲みたいのか?

日本とは時差があるために私自身はマジな「Zoomの飲み会」というのはやったことがなく、コーヒー片手のZoomのお喋りのみだが、他の人の投稿を見て思ったことは、要はインターネット経由では、仲間と一緒に楽しくお酒を飲むということは、非常に難しいという点である。理由は、モニター経由で顔を見せあっても、物理的な近距離で顔を見るのとは異なり、「表情」が読めないためである。なぜ相手の「表情」がそんなに重要なのか? 

516i96fVm+L._SX324_BO1,204,203,200_.jpg

The Naked Ape: A Zoologist's Study of the Human Animal Paperback – 6 Oct. 2005

人類学者のRay Birdwhistell は、人間は異なる顔の表情を25万通り作ることが可能だという。またボディランゲージの専門家のAllan and Barbara Pease は、人の主張が交渉に与える影響のうち60%から80%はボディランゲージによるものとしている。即ち、非言語的コミュニケーションの中心である「顔の表情」が、実は物理的な飲み会を司る重要な役割を占めているという点である。例えF2Fで沈黙が訪れても、参加者達はお互いの表情を読み込んで、それは「心地よい沈黙」だと認識できる。また当然のように、並列的に複数の会話は流れるので、1つの話題に固執することなく、多数の話題のストリームが自由に流れる。

要は、人は美味しい食事とお酒を潤滑油として、心を開いて、参加者の顔、声、動作を見ながら、お互いをもっと知りたい、或いは自分のコトを知ってもらいたいという欲求のもとで、F2Fで会ってお酒を飲みたいんだと思う。スクリーンでは、この非言語コミュニケーションが見えにくいし、今のヴィデオ会議のツールの作り方が、F2Fの飲み会のフローの再現できない。

それでもZoom飲み会があって良かったと思う

でも自宅待機の中で、例え限界があるにせよ、インターネット経由で誰もがライブで簡単にヴィデオチャットできるツールが、今この時期にここまで浸透していたことは、実に有難い。人間にとっても最も過酷な刑罰は、「孤独」である。刑務所で服役中の囚人をより懲らしめるために「独房(solitary cell)」に入れる場合がある。通常人は「孤独」に耐えられず、改心を誓う。

人類は、他者とのコミュニケーションを求める欲求によって進化してきた。今回のコロナ禍は、もしかしたらこの人類の欲望である「他者とのコミュニケーション」に違った意味での進化をもたらし、より良いコミュニケーションの仕方やツールの開発をもたらすかもしれない。

来週の夕方18時の日本の友人とのZoomお喋りは、コーヒーではなくワイン片手にしてみようかな。

Comment

Comment

コロナ禍でのアメリカ生活⑮「世界中でパンデミック・ドリームで悩んでいる人がいる」

IMG_8372.jpg

私と夢の関係

私は毎晩必ず夢を見てそれを克明に覚えている。夫との朝の会話は「今日の夢はこれこれこんな感じで、結果こうなったの」でいつも始まる。良くカラーの夢や同じ夢を何度も見るし、さらに夜中夢の途中で目が覚めて、もう一度今見ていた夢に戻りたい時は戻れるといったことも起きる。また、虫の知らせのように翌日起こることを予知したような夢も見る。特に予知的な夢見に関しては、母方の血筋から来ているのかな?という風に思っている。

母は伊豆大島出身で、親戚は伊豆大島の大宮神社の神主の家系で代々続いている。この大宮神社は「御神火(活火山の三原山)」を鎮めるための神社でもあるので、パワースポットとしても知られている。また母の従妹は神がかりの女性で新興宗教の開祖となった人でもあり、理屈では簡単に説明できない何かが母方にはある。私が子供の頃、母が「昨日こういう夢を見たから今日大島から連絡が入る」といったことを良く話していたが、それは殆ど当たっていた。また私も同様な予知的な夢を見る機会がある(何年も会っていない友人が夢に出てきて病気を私に告げて、翌日彼の闘病と死を知った)。

Omiya Jinja.jpg

パンデミックと夢の関係

以下の夢の説明は、National Geographicの「新型コロナで奇妙な夢や悪夢を見る人が増加、理由と対処法は」という記事の中からの抜粋で、今世界中の多く人達の間で起きている「corona virus pandemic dreams」現象について、紹介する。

夢の役割

夢の内容や感情は、起きている間の幸福感と関連しており、象徴的で奇妙な夢には、強烈な記憶や日々の心理的ストレスを、潜在意識のなかだけで安全に和らげる効果がある。一方で悪夢は、起きている間には自覚していない不安を知らせる危険信号という見方もある。

覚醒時の活動が、夢の内容に影響を与える記憶のスライドを作り出すことは、多くの研究で示されている。日中から持ち越した感情は、夢の内容やその感じ方に影響しうる。フィンランドの研究者達は、心が平穏だといい夢を見やすいこと、反対に、不安は「夢への悪影響」をもたらし、恐怖や動揺する夢になるとデータで証明している。

夢は幻覚とよく似ている。夢を生み出す神経生物学的な信号と反応は、幻覚剤で引き起こされるものに近い。幻覚剤は「セロトニン5-HT2A」と呼ばれる神経受容体を活性化させ、これにより脳の「背側前頭前野」と呼ばれる部分が働かなくなる。その結果、意識によって感情が抑えられなくなる「感情的脱抑制」という状態に陥る。これは特に、夢を見るレム睡眠で起こることと同じ。このプロセスは毎晩起こるが、殆どの人達は見た夢を覚えていない。

「corona virus pandemic dreams」現象

今世界中で様々な研究チームが夢を分析しているが、多くの人達が「コロナウイルス・パンデミック・ドリーム」という新たな現象を経験しているという。パンデミック・ドリームは、ストレスや孤立、睡眠パターンの変化によって、通常の夢とは一線を画す否定的な感情の渦に彩られている。夢研究の専門家でBoston University School of MedicineのPatrick McNamaraは、「我々は通常、激しい感情、特に否定的な感情を、レム睡眠や夢を利用して処理している。今回のパンデミックが、多大なストレスや不安を生み出していることは明らかである。このパンデミックのさなか、孤独やストレスが高まるせいで、夢の内容が影響を受けたり、夢を覚えていることが多くなったりしている可能性がある」という。

ストレス源に「近い」ほど悪夢が増える

2020年3月から進行中のフランス、リヨン神経科学研究センターの研究によると、今回のパンデミックは、夢を思い出せる回数を35%増加させ、悪い夢を通常より15%増やしているという。イタリア睡眠医学会が進める別の研究では、感染拡大のさなかに閉じこもり生活を強いられたイタリア国民の夢を分析した。回答者の多くは、心的外傷後ストレス障害(PTSD)の症状と同じような悪夢や頻繁な目覚めを経験している。現在進行中の研究結果からは、パンデミックの脅威に近い人、つまり医療従事者や感染拡大の中心地の住民、あるいは家族に感染者がいる人ほど、新型コロナウイルスに影響された夢を見る可能性が高いことが示唆される。

じゃあ、悪夢を見ないためにはどうすればいいんだ?

私が考えるポイントは、まず自宅待機で起こる諸事情をネガティブに捉えず、全て裏返しにしてポジティブに考えること。「家族と一緒に過ごせる時間が増えて嬉しい」、「子供の勉強も他人事にせずに自分で見てあげられる。これで子供の学習能力も上がる」、「妻や夫さらに子供が一緒になって家庭で作る食事って、なんて美味しいんだろう」、「通勤時間がない分、普段できなかった読書(ちょっと難しい書籍)や音楽(今まですっかりやっていなかったけど楽器演奏を始める)など自分の好きなことに時間を使える」、「自宅で簡単に育てられるハーブなどの手づく野菜は美味しく便利」、「外出しない分、お金のセービングが出来る」、「オンデマンドで自分の好きな時間に自宅でエクササイズが可能」等々、どんな小さなことでもポジティブに考えれば、人は幸せになれる。また家族の間で「ありがとう」を連発し、ギャグやコントで相手を笑わせようとすると、必ず楽しく嬉しくなる。こういう「はっぴい度」を意識してあげる工夫をし始めると、悪夢を見る頻度は自然と下がると思う。

要は、パンデミックがもたらす出来事をポジティブに捉えて、そのBenefit & Advantageをしっかり認識することが、悪夢がアタマに入ってこない防波堤になるんだと思う。長丁場でみんながしんどいと思うけど、「習うより慣れろ」で、状況を拒むのではなく受け入れて、そこに楽しみを見つけてエンジョイすることが大切だと思う。

Comment

Comment

コロナ禍でのアメリカ生活⑭「Post Corona Eraのために今考えておくこと」

IMG_8417.jpg

Paper or Plastic?

25年前米国に移住した時、初めてスーパーマーケットのキャッシャーに「Paper or Plastic?」って聞かれて、てっきり、「支払はクレジットカードか紙幣(現金)か?」と聞かれたと思い、「プラスチック(カード)」と言ったことを突然思い出した。勿論これは買ったものを紙袋かプラスチックの袋のどちらに入れるのか?という意味だったが、何故か、私は即座に支払い方法だと思い込んだ。当時は、キャッシュ(現金)、チェック(小切手)、デビットカード、クレジットカードの4種類しかなく、多くの人達がチェックブックを取り出して、金額を記入し、キャッシャーはそれをレジスターのマシンでVerifyして受け取る、という古き良き時代(或いは物凄く時間のかかる時代)だった。

非接触モバイルペイメントの支払いが要求される時代が来るとは

今、米国では兎に角、人との接触を避けることが最も重要な取り組みとなっている。キャッシュもクレジットカードもデビットカードも接触型の支払い方法なので、非接触のApple Pay、 Google Pay、Samsung PayといったモバイルペイメントがPreferという店舗が出てきている。これは、消費者にかなり劇的な行動変容を求める大きな動きと言える。現在、キャッシュを断ってカードのみの決済の小売店舗は多いが、顧客がカードをマシーンに差し込んだ後、キャッシャーは必ずマシーンのパッドをワイプして消毒するという手間をかけている。キャッシャーは、透明の仕切りで顧客との接触は避けているが、多くの手間と時間が支払いのやり取りでかかっている。

米国2023年近接モバイルペイメント利用額は2,200億ドルに達する(2019年9月のeMarketerの予測

eMarketerによると、米国の2019年の近接モバイルペイメントの利用額は1,000億ドルに達すると予想されているが、これは1人当たり年間平均支払額$1,545を意味し、近接モバイルペイメントの支払額は対前年比24%増。利用者は6,400万人(9.1%増)でスマートフォンユーザの30%にあたる。

Proximity Mobile Payment Transaction Value.png

Starbucksは、この非接触モバイルペイメントの先駆けで、市場の25.2%を占めているが、最有力ペイメントは何といってもApple Payである。2019年の米国非接触モバイルペイメント市場の30.3%を占め、2019年末までにApple Payは、米国小売店舗の70%迄使えるようになると予想されている。ペイメントに関しては、かなり保守的な私ですら、このコロナ禍でモバイルペイメントを要求された場合を想定して、Optionとして、遂にApple Payをセットアップした。

「Post Corona Era」では不必要な接触は避けるという心理が働く

これらの数字は全てコロナ禍の前の予測で、上述したように、現在のコロナ禍で支払いに限らずあらゆるコトに、非接触を要求されている。この流れで行くと、結果非接触のモバイルペイメントを多くの人が使い始めて、多分その便利さと手軽さによって、これらの数字は大きく増えてくると思う。またPost Corona Eraでは、非接触モバイルペイメントの利用場所が急速に拡大し、アメリカ人は、支払いアカウントをクレジットカードやデビットカードに紐づけて、手軽にどこでも、非接触モバイルペイメントを利用して、以前と同様に買い物をし始めると思う。

ひさみが考える消費者の行動変容がおこる「心技体」

今回のパンデミックは、世界中がいきなり鎖国のような状態となり、社会・経済活動が停止するという、今までの規模では考えられない制限を、人々に課している。勿論国ごとにその制限レベルの差はかなりあるが、「行動に制限をかけられて生活する」という形を強いられるのは、かなり長く生きてきた私でもあまり記憶がない。消費者の行動変容が起こるには、心技体ともいうべき、3つの要件が整わないとなかなか起きない。非接触モバイルペイメントの浸透拡大の、心の部分は「人と接触しないですむし、簡単で便利で速い」、技の部分は「NFCシグナルに機能する新たなPOSシステムの拡大で利用場所が浸透拡大している」、「体」の部分は「自分の身体の一部としていつも持ち歩くスマートフォン利用」といった点が挙げられる。

「Post Corona Era」には、このペイメント以外に、様々な消費者の行動変容が起きてくると思うが、マーケターとして、今必要なことは冷静に人々の心理や行動を見つめて、潮目を読む、これが肝だと思う。潮目は変わる前に読まないと意味がない。潮目を読むためには、1人のマーケターとしての視点は勿論であるが、より重要なのは1人の消費者としてどのように生活を考えるかという点で、この2つはどちらが欠けても、潮目は読めない。

Comment

1 Comment

コロナ禍でのアメリカ生活⑬「リーダーの資質は有事に証明される?」

IMG_8337.jpg

ジェンダーニュートラルの私としてはこういう評価は避けたいけれど

Female leaders.jpg

個人的にはあんまりこういう風にジェンダーで切りたくないけど、Forbesはコロナ禍の管理をうまくやっている国のリーダーの共通点は、女性であると言っている

この記事の中のコロナ禍による死亡者数は4/12現在で、これを4/13現在でアップデイトしてみると、こんな感じ。ドイツ3,294人(感染者数131,359人)、デンマーク299人(感染者数6,511人)、ノルウエイ139人(感染者数6,623人)、フィンランド64人(感染者数3,161人)、ニュージーランド9人(感染者数1,366人)、アイスランド8人(感染者数1,720人)、台湾6人(感染者数393人)。

Corona data as 4_13_2020.png

これらの国々は、人口やら国土面積、さらに地理的条件などが、大きく異なるから簡単に比較できない。記事では、ドイツは上手く言っていると評価しているが、この感染者数と死亡者の数を見ると、そうとは言い難い。

台湾総統及び閣僚の手腕と人間性は他の国は中々真似できないほど優れている

Forbesも認めているけど、私も同意するのは、台湾の総統の蔡英文(Tsai Ing-wen)の指導力、ジェンダーなんか関係なく、お見事だと思う。彼女の早期の決断と実行力、さらに感染者への接し方は、彼女の閣僚達も含めて、人間尊重の素晴らしさに満ちている。因みに、台湾は「一つの中国」原則を主張する中国の圧力で、WHOから排除されてコロナ対策では孤軍奮闘中だけれども、4/14の新規感染者は36日ぶりにゼロとなり、危機管理能力の高さが評価されている。また、WHOのテドロス (Tedros Adhanom) 事務局長は、先週自身がインターネット上で人種差別的中傷にさらされて「個人攻撃は台湾から来ている」と主張したことが発端で、蔡英文総統は彼の発言に強く抗議している。台湾の民間の有志は、New York Timesに事務局長の台湾への悪意のある主張に対して真実を訴える意見広告掲載の募金も始まって、4/14時点ですでに1900万台湾ドルが集められたという。

蔡英文官方元首肖像照.png

By 總統府, Attribution, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=48898316

また彼女以外にも台湾のコロナ禍の政府対策本部長を務める陳時中(Chen Shih-chung)は、不眠不休で対応に当たり「鉄人大臣」と呼ばれ、3月の世論調査で支持率は91%に達している。毎日の記者会見で質問が尽きるまで誠実に答え続ける姿勢と、思いやりに満ちたコメントが市民を安心させている。彼は「隔離対象者は肉の塊ではない。人間です。思いやりに満ちた制度を作り、社会で支えることが解決につながる」と話す。

衛生福利部部長陳時中.jpg

By 中華民國總統府 - This file has been extracted from another file: 02.25 總統出席「簽署《嚴重特殊傳染性肺炎防治及紓困振興特別條例》記者會」.jpghttps://www.flickr.com/photos/presidentialoffice/49582692888/, CC BY 2.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=87823376

デジタル担当大臣を務める唐鳳(Audrey Tang)も、様々な手法やアイディアでコロナ禍対策を提案しているけど、日本人向けの自宅で簡単にマスクを消毒する方法をTwitterに公開したりと、自国や他国を問わない人間性の大きさにいつも感銘を受ける。

Audrey_Tang_in_2015_(cropped).jpg

By @daisuke1230. Cropped by KOKUYO (hist.) - Cropped version of File:20151013 成大開源月-唐鳳 PA130741 (22007412520).jpg, CC BY 2.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=50960601

ジェンダーを超えて、リーダーの資質は有事に証明される

国を預かるリーダーの資質とは、有事の際の判断の適切さと決断の速さだと思う。ましてコロナ禍は、誰もが認めるように、Outbreakする前にどんな手を打つかで、その後の状況が極端に異なる。また「何を優先するか?」も大きなポイントで、私はこのブログシリーズで何度も言及しているが、「コロナ対策と経済救済は同時にできない」という点で、まずは食い止めることが最優先される。ジェンダーに限らず、こうした優先順位も含めて、リーダーが適切に素早く判断して、実施展開できた国は、コロナ禍管理の優位性を示している。 

1 Comment

Comment

コロナ禍でのアメリカ生活⑫「末娘のZoom weddingに参加して」

Peony 2.jpg

昨日突然末娘から、太平洋時間午後18時に、Zoom経由で延期していたWedding Ceremonyをするので、以下のZoomの情報にアクセスして欲しいというTextが入ってきた。この式の主催者(招待者)は長女で、PC、スマートフォン、タブレット、各々でのアプリのダウンロード情報とアクセス情報(勿論パスワードあり)を記した文面を、私達夫婦を含む、近しい家族宛てに同時Textしてきた。

Zoom.png

初のZoom weddingは参加者35組以上の大きなイベントとなる

もともと、娘は3/27にOaklandのCourtで結婚式を挙げる予定だったが、カリフォルニア州の自宅待機規制が始まり、F2Fでみんなが集まる式は、独立記念日の7/4に延期した。延期を決めた当時は、7月ならば収束の可能性があると思っていたが、米国の深刻化するコロナ感染状況とその収束の可能性の不透さから、結果、彼女達は、突然昨晩のZoom weddingを決めたらしい。

私達は、式の3時間前まで何もこのことは知らなかったので、せいぜいごく近しい近親者のみの気軽なものであると思っていたが、時間になってログインすると、末娘の実の母親(夫の前妻)から始まって、新郎側の父親、姉弟、友人達、新婦側の親族や友人と、カリフォルニア、ユタ、アイダホ、コロラド、オクラホマ、テキサス、フロリダ、マサチューセッツ、NY等々、全米に散らばる親戚友人達、合計35組以上が参加する大きな式であった。参加者の年齢も、下は3歳ぐらいから上は80歳代(末娘の祖母はZoomのアプリを孫のサポートで直前にダウンロードしたけれども、みんなの顔を見られるが自分の顔を画面に映すことは最後までできなかった)まで、みんなのメッセージが飛び交った。

みんなが泣いたZoom wedding

長女が全体をプロデュ―スしコンダクトして、新婦新郎の登場から始まり、新婦のスピーチは、彼女が愛した亡くなった家族・親戚1人1人とのエピソード(私の父と母の名前も彼女の祖父母として語られた)が感動的で、さらに長女が2人の結婚を告げる言葉によって、指輪の交換と誓いの言葉が述べられた。私も泣いたし、多くの親戚・友人も涙する、素晴らしい結婚のセレモニーだった。

新郎はインド系アメリカ人で、私達は、今回初めて彼の父親を含む家族の顔をZoomで見て、彼らの言葉を聞いた。彼の家族のことは殆ど知らないが、2人とは昨年一緒にSF Bayでセーリングしており、新郎は昨年の甥のお葬式にも参加しており、人柄は熟知している。また、彼らは昨年自宅を購入して一緒に住んでおり、法的な手続きが遅れているが、実質夫婦である。

そんな2人であるが、改めて家族や友人達の前で夫婦となることを誓い、みんなに祝福されて、とても嬉しそうだった。新郎の「最初のデートの時以来、彼女を愛していた」という言葉は、親として何よりも嬉しい。娘は、ついに「人生のAnchor(錨)とも言うべきパートナー」を見つけたらしい。

Zoomには大至急セキュリティ問題解決を図って欲しい

ヴィデオ会議サービス「Zoom」は、2019年に上場したカリフォルニアのスタートアップによって運営されており、2019年12月時点では1日の利用者が1000万人程度だったが、コロナ禍で多くの人達がリモートワークに移行したことから、2020年3月には1日の利用者が2億人にまで増加している。誰でも簡単に使えるというアドバンテージで急速に成長し、そのために色々な問題が噴出しているが、最も大きな問題はセキュリティ問題である。但し、米国のように時差もあり、人々が広大な土地に散在して住む国では、F2Fで会えない状況下、この手のオンラインプラットフォームは必要である。そのためにも、Zoomには、大至急セキュリティ問題やそれ以外の多くの問題の解決をお願いしたい。

Zoomによって、より実感できるF2Fのリアルの良さ

多くの人達がコロナ禍の規制によって、人生の重要なイベントが出来なくなっている。それを考えると、何はともあれ、みんなが同時に1つのイベントにライブで参加して、顔を見ながら言葉を交わせるというのは、素晴らしいことだと思う。F2Fで会えないからこそ、よりF2Fの良さを実感する。早くこの状況が収束して、みんなが安心して、フィジカリーに会って、顔を見ながら話せる日を来ることを、心から祈っている。

PS①:娘がLast nameを変えてしまった

Zoom weddingの後で、私のPrivateのFacebook(私の英語の本名のアカウントで家族と親戚のみに公開している)を除くと、何と娘のLast nameが新郎のLast nameに変わっていた。彼らは、これから子供を持ち1つの家族として生きて行くので、子供のProtectionを考えれば当然の変更だけど、何となく末娘は変えないような気がしており、実際にインド系の名前に変わっていて、軽いショックを受けた。単純に、ちょっぴり寂しいということだけど、Zoom weddingより、こっちのほうに驚いたのが私の本音である。

PS②:そう言えば3年前の母のお葬式に夫はFacetimeで参加した

Zoom weddingをやった後、急に夫が3年前の母の山梨の菩提寺でのお葬式に、米国からFacetimeで参加したことを思い出した。夫は我が家の菩提寺にはお参りしており、元ソフトウエアのエンジニアだった和尚さんとも懇意な間柄で、夫が葬儀に参加したいと言っていますがと、和尚さんに確認すると、勿論いいですよとなった。私のiPhoneでFacetimeを映したが、驚いたのはスーツの大嫌いな夫が、ダークスーツにタイという正装で葬儀に参加したこと。私が着替えたの?と聞くと当たり前だと言っていたのを思い出す。弟と私だけがフィジカリーに参加して、夫はFacetime経由でライブにアメリカから参加した。我が家は臨済宗妙心寺派で禅の家系だが、夫は人一倍禅に興味があり、公案などへの理解もある。和尚さんの読経も含めて、静かに執り行われた母の葬儀は、夫も「素晴らしい」と褒める、良いお葬式であった。母は兎に角、夫が大好きで会うたびに走りながら体当たりするように夫に抱きついていた。ヴァーチャルだから云々といったことは何もなく、夫と弟と私達3人は葬儀を共有できた実感した。ヴァーチャルだから云々は何もないと思う。今の世は、誰もが時空を超えて、コミュニケートできるという、大きなアドバンテージがある。勿論F2Fのリアルにはかなわないけど、制限のある時には、ヴァーチャルなテクノロジーを活用すればいいだけ。心をオープンにすればいい、と思う。

Comment

1 Comment

コロナ禍でのアメリカ生活⑪「結局環境問題って、人間が社会活動を停止すると解決されるってこと?」

IMG_8275.jpg

インドのパンジャブ州で、200 km近く離れたヒマラヤ山脈が数十年ぶりに見晴らせるようになる

インドでは2週間以上前からLock down(都市封鎖)に入り、首相は国民の外出を全面的に禁止すると発表していたが、これにより、インド全域における大気汚染が大幅に改善されたらしい。CNNの記事によれば、パンジャブ州で200 km近く離れたヒマラヤ山脈が、ほぼ30年ぶりに見晴らせるようになったと報じている。

New Delhi lowest polution Tweet.png

インドではこの都市封鎖で工場は閉鎖され、車利用がなくなり、航空機運行停止などで、大気汚染が劇的に改善されているらしい。CNNは、規制が始まった初日に微小粒子状物質「PM 10」が最大で44%減少し、全土のLock downの1週目には、85都市で大気汚染が改善したと伝えている。

中国の大気汚染は、コロナ禍による人間の社会活動の停止で劇的に改善

コロナ禍の生活が始まり、夫も私も「今一番喜んでいるのは地球そのものだろうね。人間が社会経済活動をスローダウンあるいは停止すれば、地球の環境リソースへの負荷が極端に減るもんね」と話したことを思い出す。インドと同様に、以下のNASAの画像は、中国の大気汚染が、コロナ禍による人間の社会活動停止で、如何に減ったかを如実に証明している(2020年1月と2月の比較)。

_111089478_china_trop_2020056.png

人々は生活のためと称して、地球環境に滅茶苦茶重い負荷をかけて生きている。

2019年はGreta Thunbergの年と言われるくらい、17歳の少女が環境問題解決の緊急性を世界に提起したが、実は地球(ガイア)のほうがとっくに、人類という、地球史上稀に見る自己中心の動物にあきれ果てて、リセットする段取りをしてしまったと言えるような気がする。人類史は「疫病」との戦いと言っても過言ではない。地球(ガイア)は、しょうがないここまでのさばって改善する気がないなら、定番だけどかなり強めの「疫病カード」を出しましょう、と言って、さっとテーブルに置いてしまった。

過去100年ぐらい、このカードをマジに見たことがなかった人間達が、右往左往するのを、どこかで冷たい眼差しで見つめているような気がする。人と人とが近距離で接するという、人類が最も好きな行為を媒介として拡散するウィルスは、実に防ぎにくい人類の敵である。

地球(ガイア)もリセットしたがっているんだから、我々もしなきゃ

「欲望の肥大化」という言葉を、久しぶりに思い出した。大学時代、マスメディアとマスコミュニケーションを専攻していた時、確かゼミナールの原書購読(英語書籍の原文を読む)で学んだような気がする。限りなく肥大化する人間の欲望っていうやつは、現在テクノロジーによって、誰もがとてつもなく肥大化させてしまい、「便利で簡単に何でも手に入る、或いは出来ちゃう時代」を、現出させてしまったということだと思う。これは滅茶苦茶、地球環境に負荷をかけて、いくらそれを防ごうとしても、既得権と利害関係まみれての政治家や企業家によって、そう簡単に元に戻せないのが現状である。地球(ガイア)が、「OK,じゃあ、わしのほうでやってあげる」と決めて、実行したような気がする。

この状況をくぐりぬけた先は、今までなんだかんだ理屈や理由をつけて、社会全体の仕組みの変革を拒否していた輩に対して、俯瞰で眺めながら、構造改革をするといったMovementが必要だと思う。こんだけ、みんなが制限の中で真面目にコロナ禍に立ち向かって生活し、さらに真っ先に影響を受けて失業した人達は日々の生活にも事欠く生活をしている。いつまでも、現状維持をしていては、また同じことが起きる。リセットしようよ、今がその時期なんだから。

1 Comment

Comment

コロナ禍でのアメリカ生活⑩「1週間で変わるショッピング・プロトコル」

Flowers pink and yellow roses.jpg

地元のButcher shopは米国生活において物凄く大切

地元のお肉屋さん(Butcher shop)は、ローカルコミュニティにとって重要なお店である(米国において日本ほど魚屋さんの重要性はなく、内陸部では魚屋のみの商売はあり得ない)。ハイレベルのAged beefのようなお肉を扱うお店は、蝶ネクタイをつけた店員が、日本では中々お目にかかれないような、様々なお肉を切り分け販売するほど、店のプレステージアスな位置づけは高くなる。我が家も1年前St Georgeに自宅を購入する前、自宅近くに、まず良いお肉屋さんがあるかどうかをチェックした。夫と2人で検索して調べておいたお肉屋さん「Dixie meats」は、かなりしっかりした良いお肉屋さんで、蝶ネクタイをしめて高価なAged beefを販売していないが、少なくともホームメイドのビーフジャーキーやソーセージの種類の多さ、さらに試しに買ってその場で食べたスライスされたスモークドのハムやターキーの美味しさたるや、夫と私は破顔してしまった。その時、私達と似たような年恰好の夫婦が後から店に入って来て、私達と同じような質問をしており、カリフォルニアから来たばかりであることも分かり、夫と2人でニンマリした。

Dixie meats.png

州外移住者流入増大によってBoom town的なりつつあるSt George

St Georgeは、Utah州の南端にあり、NevadaとArizonaに隣接し、Las Vegasから車で2時間という地理的要因と、冬は雪も降らずそんなに寒くなく、春と秋は温暖、夏は異常に暑いという気候もあり、州外からSnow Birds(寒さを避ける人達)がどんどん流入してきて、住宅開発が活発である。またアウトドアスポーツが非常に盛んで、トライアスロン、ロード及びマウンテンの自転車競技のメッカでもあり、世界中のアスリートが集まり、アウトドア愛好者のためのレンタルホームもどんどん建築中で、現在Boom town的な様相を呈している。

Overlook_of_St._George,_Utah.jpg

By St. George Chamber of Commerce - St. George Chamber of Commerce, CC0

州外からの移住者の中で、特に多いのが、全てのモノが高い(税金、住宅、物価、保険、ダイニングアウト等々)カリフォルニアからのRefuges(避難民=我が家も然り)のような人達である。彼らの多くは、私達も含めて、まずState Liquor Storeをチェックする。Utahは、低アルコール度数のビールなどの酒類はマーケットやガスステーションなどで購入できるが、私の好きなワインは、州運営の酒販店舗の購入のみとなる。カリフォルニアのように、食料品と一緒に簡単にワイン購入が出来ないので、どの程度のワインがState Liquor Storeにあるか、私達も真っ先にDixie Meatsと同じショッピングプラザにある、State Liquor Storeをチェックした。品ぞろえは物凄く多岐にわたっているとは言い難いが、私のように毎日ワインを飲む人間のテーブルワインとしては、まずまずなので、まずホットした。

米国の酒類販売は地域によって大きく異なる "Dry, Wet and Mix"

以下のマップを見てもらいたい。2019年5月現在の米国の酒類に関するコミュニティ別の規制地域で、赤は「dry(酒類販売禁止)」、青は「wet(酒類販売OK)」、黄色は「mixed(酒類販売禁止とOKのミックス)」である。 Utahは青であるが前述したように規制があり、ワイン愛好者にとっては、ちょっと面倒くさい州である。ただこれも、習うより慣れろで、1週間に1度の割合でワイン購入する私は、消費量を冷蔵庫を見ながら計算して飲む、というパターンに慣れた。但し、コロナ禍でState Liquor Storeに勤務するF2Fで顧客に接する勤労者が、常に感染の危険に直面するという現在の勤務状態に関して不満を漏らしており、下手すると営業中止の可能性もあり、私はヒヤヒヤしている。今の営業時間は午後12時から19時までと短縮され、狭い店舗なので、顧客は1店舗内に5人までで、他の客は店外で2mの距離をとって待ち、1人出ると1人入るというパターンである(今日行ってきたが、待っている人のうち、まだ2-3割はマスクをかけていない)。

1920px-Alcohol_control_in_the_United_States.svg.png

By File:USA Counties with FIPS and names.svg: File:USA Counties with names.svg: User:Mr. Mattéderivative work Kbh3rdderivative work: Fry1989 - This file was derived from:  USA Counties with FIPS and names.svg:, Public Domain

お肉屋さんで6個のペーパーロール購入

先週までは5人という制限で顧客を店舗内に入れていたDixie Meatsも、ドアンの前に2脚の椅子をバリケードのように置いて、狭い店舗内に顧客を入れないという方式に変わっていた。店員は、まず店外の客のオーダーをドアの前の椅子越しに聞き取り、オーダーが出来あがるとクレジットカードを客からもらい、商品を渡すというシステムを採用していた。手書きの張り紙には、事前の電話によるオーダーをお願いしますと書いてあり、今後我が家はそうしようと思う。今日最も嬉しかったのは、このお肉屋さんが何とトイレットペーパーを販売していたこと! 商用のペーパーサプライのあるお肉屋さんは、ペーパーロールを6個で6.95ドルで販売していた。私はもちろん購入した(これで6週間は持つ)。

IMG_8269.jpg
IMG_8270.jpg

After all tomorrow is another day

自主的自宅待機を含めて、制限のある生活も既に4週間目に突入しており、日々制限がきつくなる気がするが、いちいち、それに対して反応はしていない。むしろ今日のペーパー6個ゲットのようなささやかなことに大きな喜びを見出し、GWTWではないけど、"After all tomorrow is another day"の気分で、毎日何か小さなことでもPositiveなことを創出しよう思っている。夫との間では、ジョークやコントをしょっちゅうお互いに見せ合いながら、生活で笑うことにフォーカスしている。

tomorrow is another day 81.jpg

長期化に備えて、新たなルーティンを受け入れる

以下の表が示すように、ストレスによってアルコールの消費量は増大している。それに限らず、色んなメンタルな問題が起きているけど、自分を追い込んだり、落ち込ませるのは、自分自身の心の持ち方そのもの。ぐちゃぐちゃ文句を言わずに、長期化に備えて、新たなルーティンを受け入れることは肝だと思う。全てが終わった後で、明日は必ず別な日になるって信じようよ。

21252.jpeg

Comment

Comment

コロナ禍でのアメリカ生活⑨「歴史を動かす感染症への答えは歴史の中にある」

IMG_8228.jpg

昨日自主隔離中だった英国首相Boris Johnsonの入院のニュース(集中治療室に移動)を目にして、チャールズ皇太子も感染し自主隔離しているというコトを知り、感染症の持つチカラを改めて考えてみた。

様々な感染症が常に世界中を襲い続けているけど、史上最も有名なパンデミックは1334年に始まった「黒死病」と呼ばれたペストで、アジアとヨーロッパで猛威を振るい、2,500万人の死者を出したという。英王室には、こうした悪名高い感染症の悲劇に随分あっている。今朝目にしたNational Geographicの記事によると、以下のよう事例があげられる。

英国王室のペストによる死亡:

1327年即位のイングランド王エドワード3世は、英国王族として初めて黒死病(ペスト)で近親者達を亡くす。1)スペインのカスティーリャ王ペドロ1世と結婚する旅の途中、14歳の娘ジョーンはペストで死亡。2)ペドロ1世の父アルフォンソ11世も、ジブラルタルをムーア人から取り返そうと包囲している最中ペストで死亡。3)1394年エドワード3世の孫息子である国王リチャード2世も妻をペストで失う。4)100年近く後の1492年、エドワード4世の王妃エリザベスがペストで死亡。

英国王室の天然痘による死亡:

1)1552年国王エドワード6世は、14歳の若さで天然痘とはしかに倒れ、すぐに回復したが翌年結核で亡くなった。これにより男性の王位継承者がいなくなり、異母姉のメアリー1世が即位。1558年メアリーが死去すると、王位に就いたのが女王エリザベス1世。2)彼女は29歳の時に天然痘に罹患し、周囲は及び女王自身が死が近いと思ったが、彼女は病を克服した。但し天然痘のために顔に痕が残ち、鉛を含んだお白粉で痕を隠すお化粧をして、イングランドンの黄金時代を築いた。3)1688年無血クーデターの後、夫のウィリアム3世と共同統治していた女王メアリー2世が、1694年天然痘のため32歳で死亡。4)この当時の欧州の君主で天然痘で亡くなったのは、スペイン王ルイス1世(1724年)、ロシア皇帝ピョートル2世(1730年)、フランス王ルイ15世(1774年)など。以下は、女王エリザベス1世 

Darnley_stage_3.jpg

英国王室のインフルエンザによる死亡:

1889年サンクトペテルブルクで発生したインフルエンザ「ロシアかぜ」は、パンデミックとなってヨーロッパ各地に広がった。これは3度ロンドンを襲い、1)1892年の第3波でビクトリア女王の孫で王位継承順位第2位のアルバート・ビクター王子が28歳で死亡、将来の王位は弟のジョージ5世に移る。2)1918年の「スペインかぜ」で、世界人口の3分の1が感染し、死者は5,000万人に上った。その猛威の中で、1918年5月英国王ジョージ5世は回復した。以下は当時のアメリカ軍の野戦病院 (Image: courtesy of the National Museum of Health and Medicine, Armed Forces Institute of Pathology, Washington, D.C., United States.) - Pandemic Influenza: The Inside Story. Nicholls H, PLoS Biology Vol. 4/2/2006, e50 https://dx.doi.org/10.1371/journal.pbio.0040050, CC 表示 2.5, 

Spanish_flu_hospital.png

感染症は歴史を動かす

この英王室と感染症との戦いを見ても、感染症が歴史を変えてしまい、王位継承に重要な役割を担ったことが、垣間見られる。特に天然痘で死にかけた後、後遺症で顔に痕が残ったがゆえに、真っ白なお白粉で痕を隠して、英国の黄金時代を築いたエリザベス1世のことを考えると、アタマが下がる。王位継承権の高い人が罹患して死亡した際は、王家の血筋の違う幹に大きく変わる事実が歴史的に存在する。また、北米大陸の先住民であったアメリカン・インディアンも、南米のアマゾンの先住民も、ヨーロッパから移住してきた白人がもたらした麻疹(はしか)とインフルエンザの免疫を持たないために、一気に人口減少が起こり、歴史から駆逐されていった。

英国皇太子と英国首相はなぜ感染したのか?

通常、欧米人は医療従事者でない限りマスクをする習慣がない、英国要人たちと一般庶民との間の接し方や、政治家同士の閣議や会議でも2m以内の近距離で議論するという習慣が、感染しやすい環境を作っていると思われる。コロナ禍でこれだけPhysical distancingを言われているにも関わらず、皇太子も政治家も濃密な近距離で一般人と接しており、 議論も口角泡を飛ばすといった形で、F2Fでなされている以上、感染の可能性は拡大する。英国首相Boris Johnsonの妊娠中のガールフレンドも症状が出ているというニュースも目にして、本当に人々がPhysical distancingを順守して、2m以上離れて、人との物理的な距離を取るだけでも、こうした感染状況は防げる。

歴史には現在の問題解決の答えがある

感染症(疫病)によって引き起こされるパンデミックは、前回よりは今回、今回よりは次回と、回を重ねるごとに、感染力を拡大し、より強さを増して登場してくる。すなわち想定外を常に巻き起こす、非常に厄介な代物である。但し、だからと言って「過去=歴史」を振り返っても意味がないということはない。歴史には、実はきちんと答えが書いてある。

National Geographicの記事は、このようにレポートしている。2007年学術誌「米国科学アカデミー紀要」(PNAS)に、1918年のインフルエンザ(スペインかぜ)において、市によって異なる対応が病気の蔓延にどのように影響したかを調べた2つの論文が発表された。致死率、時期、公衆衛生的介入について比較したところ、早い段階で予防措置を講じた市では、対策が遅れた、或いは全く講じられなかった市と比べて、死亡率が約50%も低いことがわかった。最も効果的だった措置は、学校、教会、劇場を同時に閉鎖し、集会を禁止することだった。そうすることでワクチンを開発する時間を稼ぎ、医療機関にかかる負担は減った。同論文は1918年のインフルエンザにおいて、死亡率の急上昇を防ぐ鍵は「社会的距離」戦略であったと結論付けている。

そう、兎に角同じ屋根の下に住む人以外とは、顔に何か覆う布をまとい、2mのPhysical distancingを取ることが肝要。

Comment

Comment

コロナ禍でのアメリカ生活⑧「手ぬぐいとバンダナで作った自家製マスク」

IMG_8222.jpg

我が家にはマスクというものがなく、以下の写真のBuffという自転車に乗る時などに、ヘルメットの下のアタマに巻く伸縮性のある布をマスク代わりにして外出したが、かなりきつく巻くので息苦しいのと周囲の人に恐れられるので、自家製マスクを作成することにした。

アメリカでは医療従事者以外は通常マスクをかけない。冗談に聞こえるかもしれないが、友人の知人はアレルギーが酷く、コロナ禍への認識がまだ薄い今年の1月、通常のマスクの口の部分にスマイルマークを描いて銀行に入ったら、警察に通報されて逮捕されてしまった。そう、米国では、マスクをかけるというコトは、顔を隠す即ち顔を見られたらまずい行為をするという風に見られる可能性があるというコトである(映画などで銀行強盗がマスクをかけて襲撃することを思いだして欲しい)。

IMG_8206.jpg

今までマスクをつくるという発想は一度もなかったが、今回は自宅にあるものを全て利用したUp-cycleな手作り品ができた。古くなったバンダナ2枚と手ぬぐい1枚を、どこも切らずに折りながら袋状にして、後ろを2か所縫った(手縫い、ミシンがないので)。とっておいた組み紐とリボンを両脇に差し込んで、3枚のバンダナと手ぬぐいマスクの出来上がり。

IMG_8215.jpg
IMG_8210.jpg
IMG_8214.jpg

組み紐とリボンはマスク本体を洗う時に外せる。子供の時からマスクが嫌いな理由は、耳があのゴム状のモノで痛くなるからで、この紐及びリボンは耳が痛くないのが特徴。以下は裏側の手縫い部分で、半返し縫いでしっかり縫ってある。

IMG_8221.jpg

マスクが必要なくなったら、手縫いの端の2か所をほどけば、またバンダナと手ぬぐいに戻る。

外出時の私の服装のカラーコーディネーションをするため、桜色、ターコイズ、ネイビーブルーの3色は欲しかった。作業時間は1時間ぐらい(実際は材料探しに時間が掛かった)。これでお洒落にマスクをかけてマーケットに出かけられる。

夫はYouTubeのヴィデオを見て作ったの?と聞くが、そんなの見なくても常識があれば、出来ると答えたけど、まじで何も見ないで、自分で鏡を見ながら考えて作った。

「必要は発明の母」とは良く言ったものだと思う。

Comment

1 Comment

コロナ禍でのアメリカ生活⑦「Physical distancingと呼ぼうよ!」

IMG_7890 (2).jpg

WHOが、今まで使っていたフレーズ "social distancing" の代わりに、新たに"physical distancing" を使い始めた。これは、医療関係者(フィジカル&メンタル両方の医師達)も、大いに歓迎していて、「正しいディレクション」だと喜んでいる。これによって、現在のコロナ禍の環境において、人々がとるべき行動がクリアになった。

WHO の疫学者のMaria Van Kerkhoveは、「パンデミックにおいて、重要なことは人と人の物理的な距離であり、家族、友人、知人など、愛する人達から社会的にディスコネクトすることを、言っているのではない」と、さらに「テクノロジーによって物理的に同じ部屋やスペースに居なくても、様々な方法でコネクトできるというアドバンスドの環境にいる」と言っているつまり、人と人の距離は少なくとも2m離れるということを、"physical distancing"と言っており、それが出来ない場合は、自宅で過ごすという生活となる。

1人の感染者の社会的行動が30日後何人の感染者を作り出してしまうのか?

以下は、陽性となった1人の人間が、他の人と接する行動を、「ノーマル、50%削減、75%削減」と、3段階に分けると、30日後に何人の人が感染するかを示したデータである。

21198.jpeg

本人が陽性かどうかを知るかどうかに関係なく、感染者1人がノーマルに動き回ると30日後に406人、50%削減した場合は15人、75%削減した場合は2.5人の感染者を創出する。これを見ても、如何にPhysical distancingが重要なのかは一目両全である。

兎に角どんな場合でも人と物理的に接する場合は最低2mは距離を持つ

私の家の周囲では、小さな食料品のお店は、例えば店舗内には5名しか入れず、1人が買い物し終わったら、外で待っている次の人が中に入れる。外の行列も2mの間隔(床とか舗装された道路に)に、青の星やXマークで、お互いの距離が測れるように印がついている。またマーケットのような巨大な店舗は、始まりの1時間はシニア専用時間を設けているし、一般時間でも棚同士の間の通路も広く、またお客も最低でも3mはお互いに意識して離れているので、"physical distancing"はきちんと順守されている。キャッシャーには透明の仕切り板が設置されて、お客がカードを挿入する機械は、1回使用するたびに徹底してワイプされる。勿論Reusableの自分のバッグは持参できないし、カート置き場には担当者が1つ1つカートをワイプしている。

食品・医薬品・日用品といった生活物資は生命線なので、この買い物にはまとめてなるべく回数を減らしている(我が家はいつも週に1回だったので変わらず)。要は症状がなくてもテストをしていなければ、自分が陽性の可能性は十分あるので、他の人達にウィルスを運んで感染させないという責任感が根底にあると思う。そんな中でも、お隣さんとは5mぐらいの距離を保ちつつ駐車スペースでワインを飲んでお互いに近況をダウンロード、夫の4人の姉妹と父親と6人で、ヴィデオを駆使して同時(ユタ、アイダホ、テキサス、オクラホマ)に顔を見ながら話している。"physical distancing"さえ守れば、社会的には十分コネクトできる。

自宅勤務のコツ

日本の友人が自宅勤務の難しさを色々書いているが、私は既に20年近くテレワークをやっているので、仕事をする上での変化はそんなに極端にない。但し、唯一感じることは、外出に制限がかけられていると、翼をもがれたような「閉じ込められた感」を感じること。今までは翼(車)があり、どこへでも「自分が思った瞬間に」飛び出して行けたのに、それが出来ないという閉塞感がちょっとしんどい。

過去20年のうち15年ぐらい、夫は殆ど海外在住だったり毎朝通勤をするという仕事の形態で、実際に2人とも自宅勤務となったのは過去5年ぐらいである。最初は戸惑いがあったが、米国なので住宅事情が良く、朝夫と顔を合わせて挨拶し、昼間たまにキッチンで会い、夕方から一緒に夕食を作るというリズムを構築した。SFベイエリアの頃は、私のオフィスが2階で夫のオフィスはガレージ、今平屋だが、廊下を挟んで、私のオフィスと夫のオフィスがあるために、昼間はキッチンでたまに会うといった感じである。

この仕事と家族の間に最低限の距離感を構築することが、重要となる。"physical distancing"は、自宅勤務でも非常に大切で、仕事中は家族との間に2mいや出来れば5mぐらいの距離は、欲しい。特に現在子供も含めて家族みんなが常に一緒にいるとなると、ますます仕事スペースをきちんと確保する必要が出てくる。そしてもう1つ、状況の長期化に備えて、無理のない仕事と生活のリズムを構築することも重要となる。この状況は1-2か月で終わるという希望的観測は、現在の自分にはない。そのために、自宅待機の条例の中で、自分の生活と仕事のルーティンを作り、それを真面目にやり続けるつもりである。私は今も自宅で決まった時間にLive streamingで朝稽古(Jazzercise on demand )をしてる。勿論日本では、自宅でエクササイズができるという住宅環境は望めないと思うが、毎日定刻に何か身体を動かすことはぜひやった方がいいと思う。これはメンタルに大きな効果がある。

自宅勤務の4つのポイントを以下に記す

Remote work from home.jpg

1:働くための専用スペース「ホームオフィス」を作るために片付ける

2:自分を「働く自分」と「家にいる自分」と、2つに分ける

3:同僚と簡単にコンタクト出来るようにアプリを活用

4:頻繁にブレイクをとることを忘れない

物理的にも心理的にも「働くことと、家で生活するコト」を分けて、考えるのが自宅勤務の肝で、それが出来ないと生産性は上がらず、心理的にも追い込まれるので、くれぐれもこの点は留意してほしい。そして、焦らないこともとっても大切。私は日々の行動は物凄くせっかちだが、仕事に関しては粘り強く、絶対にあきらめない。プロである以上、「継続はチカラなり」をモットーに、前を見ながらずーっと歩き続けている。ちょっとぐらい辛いコトも、後になれば、忘れるくらい小さなコトとなることを経験上知っているから。

マラソン的な長距離走の思考回路で、ペース配分をしながら、走りぬく精神力が今は必要だと思う。どんなに長丁場でも、ゴールは必ずあるので、慌てる必要はない。

1 Comment

Comment

コロナ禍でのアメリカ生活⑥「Social distancingの辛さ」

IMG_7820.jpg

隣りの家の駐車スペースでワイングラス片手に「Social distancingの辛さ」をダウンロード

昨日はお隣りさんがガレージの前で何かやっているので、10mぐらいの距離感で「お隣さん」と声を掛けてちょっとお喋り。彼女もSocial distancingが辛いらしく、夕方5時にガレージの前でワイン片手に話さない?と言う。お互いの距離は2m取ればいいけど、ビーチチェアを持って5mぐらいの距離を取りながら話すことに決定。向いの家族もチェアとワイングラス持参で、3家族が隣の家の駐車スペースに5m間隔で集合した。米国の家やガレージ、駐車スペースは広いから、距離だけは如何様にも取れる。彼女も含めてみんなが2週間のSocial distancingで溜まっているものを、一気にダウンロードし始めた。

ETLNHAoXkAE6Isp.jpeg

みんな個々人の生活の中で真面目にSocial distancingのルールを守り、外出の際のピリピリ感を話しながら、この状況を未だにシリアスに捉えていない人達の無責任な行動や行為に腹を立てていた。自分達が必死にルールを順守しても、そうした人達の無自覚で無責任な行為が全てを無駄にして、感染が広がることをかなり嘆いている。それにもまして、みんな具体的にF2Fでのソーシャルが出来ないことは、本当にしんどいと嘆いている。

勿論、自分達は自宅からリモートで様々なことが可能なので、実際に仕事としてフィジカリーに現場に行かざるを得ない人達に比べたら、格段のアドバンテージがあり一切文句を言える立場ではないが、この「人と接触するな」というルールは、「社交的な動物」である人間にとって、拷問のように精神的にキツイらしい。

世界で一番貧しい大統領と言われたJosé Mujica (ホセ・ムヒカ)氏の言葉 

人間は社交的な動物です。歴史を振り返れば、人間とは1人で生きられない、相互扶助が必要な奇妙な「猿」なのです。その性情は、人々は共通認識できる、社交的なハードディスクにインプットされています。それゆえに、「人間は政治的な動物だ」とするアリストテレスの主張は正解です。人は誰も「社会」に認められたいのです。

人間が1人で生きられない、即ち「孤独には耐えられない猿」であるのは、彼の言を借りずとも納得できる。私は過去20年間常にテレワークだったので、現在の状況は、仕事上で特別の不自由は感じていないが、やはり日本出張が出来ないのはこたえる。年3回、各々3週間、合計年間9週間は、日本滞在を過去25年間しており、これが出来ないのは精神的にしんどい。ソーシャルネットワークを使って、コミュニケーションしているが、やはり会って話したいというのは本音である。自分もやはり社交がしたい猿の1人である。

隣りの家の駐車スペースの和やかな会話に釘をさす私

昨日の隣の駐車スペースで、みんなが、夏のドライブ旅行は無理かもなどど、多少楽観的な気持ちで話している中で、私が「世界中がこのパンデミック収束に真剣に取り組み、全ての国が連携しない限り、これは収束しない。人間の社会・経済行動は、とんでもないぐらいに密接にグローバルでつながってしまい、1国だけが助かるみたいな話はあり得ない。またワクチンが一般に配布するまで18か月ぐらいはかかるから、この状態が来年まで続く覚悟が必要」言ってしまった。シーンとした中で、「でもこれはリアリティで、昔の良き時代のように、アメリカのモンロー主義みたいな政策はとれない」と、ダメ押しの釘まで刺してしまった。

Facebookで見かける、自分はコロナの陽性であるという告白の投稿。

多くの人達は自宅で、不安に苛まれながら、厳しい現実のニュースを見聞きして生活しているが、目立ってきたのは政治家や著名人もさることながら、私のアメリカの知人友人が、陽性と判明してどんな容態をたどったかを、Facebookで投稿し始めたコトである。私は、こうした勇気にいつも感銘を受ける。告白によって色眼鏡で見られる可能性があるのに、過去の2週間の容態の変化をきちんと事実として説明し、自分は今回復しているから、みんなも感染しても恐れる必要はないとPositiveに結んでいる。彼は、やはり多くの人達の不安の解消を図ろうとしている、これも大切な社会貢献である。特に彼みたいに、マーケティングの世界にどっぷりつかって、生き方そのものが古い言い方だが、「トッポい(ちょっと気障で不良ぽい)」タイプだった人が、このような真摯な告白をする。彼の内面のうかがい知れない、新たな側面を知ることとなり、嬉しくなった。

「Peer Influencer(仲間うちで信頼されて影響力を持つ人)」の本当の言葉を聞くと安心する

今は、とにかくみんな不安で、誰かと話すことによって、その不安を解消したいという欲求がある。それは著名人や有識者の言葉では、埋められない、「自分が心から信頼できる仲間(Peer Influencer)」の本音の言葉を求めていると思う。だから罹患した友人の告白は響き、近所の友人達の悩みは他人事ではなくなる。コロナ禍という暴風雨の中で、みんなどのように生活し、生きて行くのかを模索している。改めて、みんなが再認識しているのは、家族、友人、知人など、自分の周囲を取り巻く、リアルの人達の存在だと思う。こういう仲間がいるからこそ、自分は楽しい生活が送れるんだと思い、彼らを大切に思う気持ちが増大する。

他の人を大事にして彼らを助けると、見返りを求めなくても、必ず良いベネフィットのブーメランが戻ってくる。

まずは、「他の人をファースト」に考える、これは個人のみならず国家間でも必要だと思う。他の人を大事にして彼らを助けると、見返りを求めなくても、必ず良いベネフィットのブーメランが戻ってくる。お互いが緊密依存しあっているグローバルにおいて、人間は、国家は、孤立することは不可能である。最も困っている人達から助ける、というコトを前提に、政府には大ナタをふるってほしい。

Comment

Comment

コロナ禍でのアメリカ生活⑤「ガイア(地球)は人類に対して、怒っているんだろうか?」

IMG_8034.jpg

トイレットペーパーをゲットした瞬間、クンタ・キンテ誕生状態となる

やった!夫がWalgreensでトイレットペーパーを2個ゲットして帰って来た。彼は、まるで狩猟時代の狩から戻った戦士のような得意顔で、どうと2個のロールを私に突き出した!我が家には神棚も仏壇もないけど、私はアフリカの大地にクンタ・キンテ(Kunta Kinte)が生まれた瞬間の如く(TVミニシリーズRootsの有名なシーン)、ロールを高く掲げて、一礼した。これで我が家もロールの在庫は9個となる。ふうう。

IMG_8025.jpg

Walgreensは1人当たり2個という制限を付けて販売しているので、これをこまめにゲットしていけば、我が家のロールは滞りなく在庫補充が可能となる。私は、常にペーパーの心配をしている訳ではなく、週に1度の食料品の買い物でも、まずは必要なものを補充するのみにして、他の人に迷惑をかける「買いだめ」は一切していない。アメリカの家には広いPantry(食料品を収納するスペース:部屋と言えるぐらい広い)があるので、大量の食料品が収納できてしまい、多くの家庭ではここにモノを溜め込んでいる。我が家はかなりスカスカで、夫も私も、最悪感染して隔離する状況になった時に買い物をしないで済むぐらいのスープの缶詰とかを、普段より多めに買ったぐらいで、モノ溜め込んでいない。注:以下の写真は我が家のモノではない

1400954682132.jpeg

とうとう日本もアメリカからの入国を拒否

日本もアメリカからの入国を拒否するくらいにアメリカの感染者数と死者の数は毎日うなぎのぼりである。以下のデータが示すように、感染者数でトップに躍り出たアメリカは、昨日14,904人が新たに感染して合計168,369人、死者は351人が追加されて合計2,934人が亡くなっている。勿論アメリカ以外のイタリア、スペイン、フランス、英国といった欧州と、イランの感染拡大も激化している。

まるで、地球(ガイア)の怒りが爆発して、これ以上地球の資源を無自覚・無尽蔵に食い散らかす人類への鉄槌の如く、この疫病は、ロシアも北朝鮮もアフリカ諸国も南半球の国々でも暴れ始めている。

Corona data_03_30_20 .png

地球(ガイア)は怒っているんだろうか?

私の友人の山本一郎さんが、ブログでこう書いている。「人類社会の経済活動が低迷すれば、環境問題は解決するんです。グレタさんが各国首脳を激しく論難していた環境問題は、短期的にコロナウイルスが強制的に解決してくれました。あとは、その先に不幸な感染者や経済破綻者たちの望まない死が頻発しないことを祈るのみであります。」

コロナ禍生活が始まり、夫も私も「今一番喜んでいるのは地球そのものだろうね。人間が社会経済活動をスローダウンあるいは停止すれば、地球の環境リソースへの負荷が極端に減るもんね」と話したことを思い出す。以下のNASAの中国の大気汚染が、コロナによる人間の活動停止で、如何に減ったかを画像が如実に証明している。

_111089478_china_trop_2020056.png

人々は、生活と称して、地球の環境に負荷を掛けながら、生きているかが、この画像を見れば一目瞭然である。

「疫病」って人間が環境(=地球)に負荷をかけ始めると発生する?

今回のコロナ禍は、古来から「疫病」って呼ばれている現象で、長い人類の歴史はこの「疫病」との戦いで、たまたま今回のようにパンデミックと言われる規模で、過去100年ぐらい発生してこなかったから、今右往左往している。これはある意味、中性子爆弾に似ていて、建物は破壊されずに人間だけが失われるという、人類が最も苦手とする戦い。理論的には、「ウイルスを終息させる」か「人類全員がウイルスにかかり病気になって免疫を持つ」しか解決方法はなく、そのどちらも簡単には出来ないし、終わらない。

以下に世界的歴史学者・哲学者のYuval Noah Harari「In the Battle Against Coronavirus, Humanity Lacks Leadership」日本語訳の中の抜粋を記す

「感染症は、現在のグローバル化時代のはるか以前から、厖大な数の人命を奪ってきた。14世紀には、飛行機もクルーズ船もなかったというのに、黒死病(ペスト)は10年そこそこで東アジアから西ヨーロッパへと拡がり、ユーラシア大陸の人口の四半分を超える7500万~2億人が亡くなった。イングランドでは、10人に4人が命を落とし、フィレンツェの町は、10万の住民のうち5万人を失った。

 1520年3月、フランシスコ・デ・エギアという、たった1人の天然痘ウイルス保有者がメキシコに上陸した。当時の中央アメリカには電車もバスもなければ、ロバさえいなかった。それにもかかわらず、天然痘は大流行し、12月までに中央アメリカ全域が大打撃を受け、一部の推定によると、人口の3分の1が亡くなったとされている。

 1918年には、ひどい悪性のインフルエンザウイルスが数か月のうちに世界の隅々まで拡がり、5億もの人が感染した。これは当時の人口の4分の1を超える。インドでは人口の5%、タヒチ島では14%、サモア諸島では20%が亡くなったと推定されている。このパンデミック(世界的大流行)は、1年にも満たぬうちに何千万(ことによると1億)もの人の命を奪った。これは、4年に及ぶ第1次世界大戦の悲惨な戦いでの死者を上回る数だ。」

今やるべきことは、まずは自分がウィルスのキャリアにならないこと

日本の人は、感染者数の数字が低いせいか、かなり普通の生活を多くの人達が平気でしており、Social distancingの重要性をそれほど認知していないように見える。ロックダウンの状況のリアリティも、イマイチぴんと来ていない感じで、かなりのんびりしているように見える。でも、嵐は来る、或いはすでに波打ち際まで来ていることは事実である。経済的な打撃も然りだけど、これから人命喪失などで、どこまで誰が彼らを救えるのか?といった、医療崩壊も含めた惨い現実が近づいてくる可能性が高い。

言霊を恐れる日本は、最悪に備えたリスクマネジメントを、言う、聞くのを嫌がるけど、いやだと言っている時間はない。世界中が、嵐は来ることを予期して、今できることを必死にやっている。

個人としては、まず自分がウィルスキャリアにならないように、行動するしかない。

ETLNHAoXkAE6Isp.jpeg

Comment

Comment

コロナ禍でのアメリカ生活④「毎朝体温を測ることを習慣としよう!」

IMG_8003.jpg

体温を測ろう!

新たな毎朝の習慣。夫と2人でお互いに、額にこの温度計「Nubee Temperature Gun Non-contact Digital Laser」を向けて、コンタクトせずにデジタルレーザーで体温を測りあっている。高熱という症状は感染の可能性があるので、念のためのチェックをしている。

何でもないことだけど、普通の体温計で測るより、簡単でちょっと楽しいから。

IMG_8004.jpg

何故かこの製品は、オンラインで探すとどこにも在庫がない。どうしたんだろう? 

IMG_8005.jpg

Social distancingを実施している時なので、夫は私がマーケットに出かける時「これ、持っていく?」と聞いたけど、近づいている来る他の人にこれを向けたら、私はすぐに逮捕されるかも。

どっちにしても、早めに自分自身の感染状況という事実を知ることは大切。

Comment

Comment

コロナ禍でのアメリカ生活③「感染症危機と経済危機を同時に救うことは不可能だと思う」

US Corona No1.png

日々刻々と変化するアメリカの生活環境の制限の中で、自分がどんな風に暮らしているかを、思いつくままに書いてみる。

実に情けない、こんなに早くコロナ感染者数で、米国がグローバルでNo1になるとは。Trump政権の当初(1月後半と2月)のコロナ感染への軽視から始まって、具体策を講じる手だてが、全て後手後手に回って、結果とうとう感染者数で、米国は中国を抜き去り、トップに躍り出た。

3/26に確認できた世界の感染者数の合計は526,044人で、国別では、米国82,404人、中国81,782人、イタリア80,589人が上位3カ国となっている。米国は早くからトップに躍り出ることを予測していたが、あまりにも早すぎる結果となった。勿論、死者数では、グローバルの総合計は23,709人で、順位はイタリア8,215人、スペイン4,154人、中国3,169人、イラン2,234人、フランス1,696人、英国578人、オランダ434人と、中国とイランを除いて、欧州が非常に悪化している。

個別の国の事情があり、一概に全て政府の対応策と対応速度に原因があると指摘できないが、政府が最初にコロナ感染の情報を入手した時点で、科学者を交えた感染の専門家の分析やデータを元に、どのようなタイミングで具体的に政府が危機管理の判断をするかを決定すれば、少なくとも急カーブを少しでも緩やかにできる可能性はあると思う。 

「In the Battle Against Coronavirus, Humanity Lacks Leadership(人類はコロナウイルスといかに闘うべきか――今こそグローバルな信頼と団結)」

9GqAdkNk_400x400.jpg

3/15にTIME MAGAZINEに掲載された世界的歴史学者・哲学者のYuval Noah Harari(ユヴァル・ノア・ハラリ)の「In the Battle Against Coronavirus, Humanity Lacks Leadership」を柴田裕之氏が訳している日本語訳のタイトルは「人類はコロナウイルスといかに闘うべきか――今こそグローバルな信頼と団結」という。この文章はちょっと長いが是非読んで欲しい。私がその中から選んだのは以下の4つのポイント。

1)短期的隔離は仕方がないとしても、長期的孤立主義は経済崩壊につながるので、世界は分離ではなく協力し合うことがパンデミックへの真の対応策

「多くの人が新型コロナウイルスの大流行をグローバル化のせいにし、この種の感染爆発が再び起こるのを防ぐためには、脱グローバル化するしかないと言う。壁を築き、移動を制限し、貿易を減らせ、と。だが、感染症を封じ込めるのに短期の隔離は不可欠だとはいえ、長期の孤立主義政策は経済の崩壊につながるだけで、真の感染症対策にはならない。むしろ、その正反対だ。感染症の大流行への本当の対抗手段は、分離ではなく協力なのだ。」

2)理由は1970年代の天然痘が証明している。全ての国が予防接種を受けたから人類の危機は免れた

「1970年代に人類が天然痘を打ち負かすことができたのは、すべての国のすべての人が天然痘の予防接種を受けたからだ。たとえ1国でも国民に予防接種を受けさせることを怠っていたら、人類全体を危機に陥れていただろう。天然痘ウイルスがどこかに存在して変化を続けていたら、いつでもあらゆる場所に拡がりうるからだ。」

3)現在の人類規模の危機はウィルスのせいばかりではなく、無責任な政治家達が科学や国際協力に対する信頼を故意に損ねた結果でもある

「今日、人類が深刻な危機に直面しているのは、新型コロナウイルスのせいばかりではなく、人間どうしの信頼の欠如のせいでもある。感染症を打ち負かすためには、人々は科学の専門家を信頼し、国民は公的機関を信頼し、各国は互いを信頼する必要がある。この数年間、無責任な政治家たちが、科学や公的機関や国際協力に対する信頼を、故意に損なってきた。その結果、今や私たちは、協調的でグローバルな対応を奨励し、組織し、資金を出すグローバルな指導者が不在の状態で、今回の危機に直面している。」

4)このコロナ禍によって国と国や人間同士が不和と不信感を募らせれば、それはウィルスの勝利となり、人間同士が争えば、ウィルスは倍増する。

「今回の危機の現段階では、決定的な戦いは人類そのものの中で起こる。もしこの感染症の大流行が人間の間の不和と不信を募らせるなら、それはこのウイルスにとって最大の勝利となるだろう。人間どうしが争えば、ウイルスは倍増する。対照的に、もしこの大流行からより緊密な国際協力が生じれば、それは新型コロナウイルスに対する勝利だけではなく、将来現れるあらゆる病原体に対しての勝利ともなることだろう。」

表裏一体をなす感染症危機と経済危機

感染症危機と経済危機を同時に救うことは不可能だと思う。またこの2つは表裏を呈しており、同時に現れる。そのためにまずは、この急速に広がるコロナ禍を食い止める施策が最優先されるべきで、感染源や感染経路の究明、医療従事者へのサポート、医療器具やベッドなどの大幅な補充、市民への協力要請など、今直ぐ出来ることを本当に素早く実施する。それと並行して、Stay-at-homeという形でロックダウンされて、仕事を失い急速に増える失業者とその家族への手当が重要。米国はすでに先週のみで330万人が失業手当を申請するという急激な失業者を生んでいる。そうした人達の生活破綻を止めることは、非常に重要で、経済動脈を支える、最も根底にいる人達を守ることを優先すべきだと思う。コロナ禍で短期的に人員解雇で、最も打撃を受けているのが、以下の図にあるように、飲食レストラン、小売り、トラベル、サポートサービスで、特に低賃金労働者への影響が大きく、トータル3,700万人が失業の憂き目にあうと推測されている

21204.jpeg

耐える時が来た

誰もがテレワーク出来るわけでもなく、今でもF2Fで勤務する、警官、消防士、医療従事者、スーパーマーケット、建設工事現場など、数えきれない人達は、感染する不安の中で毎日働いている。私が今出来ることは、限られているが、Social distancingを守り、物資を溜め込むような自己本位な消費行動でモノ不足に加担せず、長期化に耐えられる生活ペースとマインドセットを構築する、そんなことから始めている。耐える時が来たと思う。

Katapult_importance_social_distancing.gif

By Katapult Magazin, CC BY-SA 4.0, :Simulations comparing rate of spread of infection, and number of deaths due to overrun of hospital capacity, when social interactions are "normal" (left, 200 people moving freely) and "distanced" (right, 25 people moving freely).

Green = Healthy, uninfected individuals
Red = Infected individuals
Blue = Recovered individual
Black = Dead individuals

Comment

Comment

コロナ禍でのアメリカ生活②「Instant Gratification(瞬間的な満足・報酬)にはさよならしよう」

IMG_7974.jpg

日々刻々と変化するアメリカの生活環境の制限の中で、自分がどんな風に暮らしているかを、思いつくままに書いてみる。

トイレットペーパー1個の喜び

今朝は満を持して、夫と暗いうちに家を出て、7時開店の近所のローカルのマーケットHarmonsに行ったが、またしてもトイレットペーパーはなかった。次に開店していたHome Depotに寄ったが、ここも当然のごとく在庫はなく、いつ入荷されるか分からないというつれない返事。夫が、小さなガスステーションのマーケットにはあるかもしれない言うので行ってみると、最初目に入らなかったが、最後の1つのペーパーロールが、棚の下に隠れるようにちょこんと座っていた。私は思わず「やった!」と心の中で叫び、隣りにあったティッシュペーパーの箱を2個(4個取りたかったが、自己中心な行為が品不足を生むと自分に言い聞かせて2個にした)獲得して、レジに行き、キャッシャーが「あなたラッキーね」とペーパーゲットを褒めてくれた。実に2週間ぶりのペーパー購入で、私は夫にハイタッチするほど興奮した(これで我が家の在庫は、ロールは8個でティッシュペーパーの箱は12個)。夫に「我が家はウォシュレットがあるんだから、ドライヤーボタンを使って乾燥させれば、ペーパー使用を大幅に削減できる」と言われ、「はい、ごもっとも」と答えて、次にいつ確保できるか分からないペーパーへの想いを断ち切った。

スプリント的な思考からマラソン的な思考へ

私は中学時代は陸上競技の選手で、都大会に選ばれて、当時の国立競技場で開催されたNHK放送陸上に、砲丸投げと400mリレー(第1走者)で出場した。砲丸投げでは都大会6位に入賞したことは今でも誇らしい(周囲の選手はみんな大きな女子達で、私1人が千代の富士みたいに小柄で軽量だったけど、後ろ向きのポーズから身体を1回転させるフォームで、調子がいい時には10m以上を飛ばした)。ハードル、3段飛び、幅跳びなども得意で、三種競技B (100m-走幅跳-砲丸投)にも出場している。今朝思ったことは、今回のコロナ禍は、私の好きな短時間で勝負のつく、スプリント的な思考回路では克服できないという点。

IMG_7975.jpg

中学時代の私の唯一の長距離レース経験は、野山を駆け巡ったクロスカントリーレース。クロスカントリーでは、通常のフィールドとは異なり、思いもよらない山道の中で、小石、小枝、ちょっとした小川などを飛び越えて、走り続けた記憶がある。次に何が来るか分からないけど、クロスカントリーもしっかりしたペース配分が必要で、それがないと、最後は脚が前にでなくなる。

コロナ禍の生活で、必要なことは、日々の生活の仕方とスピードを、スプリント的な思考から、マラソン的な長距離思考に切り替えること。この切り替えが出来ないと、まず最初に心が弱くなり、ずるずるとペースが落ちて、最後は脚が出なくなる。

Instant Gratification(瞬間的な満足・報酬)にはさよならしよう

Millennial & Gen Zといったデジタルネイティブに限らず、私達もすっかり「Instant Gratification(瞬間的な満足・報酬)」に慣れてしまい、今直ぐ全てを手に入れないと、我慢できない気持になっている。でも、このコロナ禍では、その気持ちや欲求を捨て去り、まず色んなことを辛抱する気持ちと時間が必要となる。長い距離を走る以上、これはとっても大切なことで、100m走みたいにスタートダッシュで息を止めている間に、勝負がつくものではない。まずは、自分のペースを見つけて、それを生活の中に上手く配分して、自分がこのペースならば長く継続できて、尚且つ、それなりに快適だというリズムを確立することが重要だと思う。また自分よりもっと困っている人達がいることを常に考えて、「Me first」ではなく「他の人ファースト」の気持ちを持って行動し始めるべきだと思う。

PS: 因みに最初のメダルの写真は、当時の東京都知事の東龍太郎さんから、体育優良生徒として表彰された時のもの(中学校の校庭で全校生徒の前で、校長先生から授与された)。2番目の4つのメダルの写真は、小さな競技会で入賞した時のメダル。こういうのを見ると走りたくなる!

Comment

Comment

書籍『ひさみをめぐる冒険』から「ジャズザサイズは米国版お稽古事」2002年9月24日のコラム

Jazzercise 1.jpg

今日は私が、18年前に書いたコラム「ジャズザサイズは米国版お稽古事」をアップロードする。このコラムは、2003年発行の私の初の書籍『ひさみをめぐる冒険―サンフランシスコで暮らす楽しみ "It's an Adventure - Hisami Lives America" 』に掲載されたもの。私は、平日の5日間は毎朝1時間Jazzerciseのクラスに通い、目いっぱい汗をかくのが日課(通称ひさみの朝稽古)。但しSocial distancingの最中、その日課も出来なくなり、昨日からアプリをダウンロードして、Jazzercise on demandを見ながら、自宅でJazzerciseをし始めた。サブスクリプションベースだが、クラスのインストラクターから60日間のフリーのコードをもらい、トライアルを始めた。20分間のセッションを2回連続でやってみたが、ウエイトもあるので、まるでスタジオで踊っているように、気持ちのいい汗をかいた。私とJazzerciseの付き合いはもう20年以上になる。この音楽を活用したダンスとウエイトとストレッチの有酸素運動は昨年50周年を迎えた。Jazzerciseに関しては、この18年前のコラムが良く書き込んでいると思う。

Jazz on demand.png

大統領発言まで飛び出すほど深刻化する米国の肥満問題

今年(2002年)の7月24日にブッシュ大統領は、「健康のための運動の奨励」計画という異例の発言をしました。これはテロ攻撃に勝るとも劣らずアメリカ人全体の健康をボディブローのように蝕んでいる「肥満(Obesity)」についての警鐘です。現在アメリカ国民の60%以上が肥満、50%はエクササイズをせずに過剰な食事をとっているといわれています。また過去20年間3倍以上増えた子供の肥満は、この国の申告な肥満化の問題を反映しています。アメリカにおける「肥満」の問題は、日本とはけた違いのスケールで(異常に重い体重と言う意味)、自動化された生活、車社会、ファストフードに代表されるバランスの悪い食生活、過剰な食事量などが、この問題を悪化させています。この傾向は、エクササイズをする余裕の無い低所得者層に特に顕著に見られ、健康増進・肥満防止の支出の可能なミドルクラスは、スポーツクラブ、パーソナルトレイナー、サプリメント、健康器具、痩身手術など関連市場への消費が増加しています。

女性の大型化(体重の増加)が進行するアメリカ

これを女性のサイズに絞ってみると、アメリカ女性の大型化の傾向は、リアリティとして顕在化しつつあります。アメリカのサイズは、0から始まって26ぐらいまであり全て偶数で表しますが、現在アメリカ人女性の68%はサイズが12(例えばLand's Endの場合サイズ12は、バストサイズ96.3㎝で、日本のLサイズにあたります)あるいはそれ以上、52%の女性が14あるいはそれ以上といわれています。これをファッションモデルと平均的な女性との体重比較でみると、かつての女性の平均体重より8%やせていたモデルが、今では23%も平均的な女性よりやせているという数字が出て来ます(Full-figured:フルフィギュアドと呼ぶ大型の女性対象の雑誌「Grace」による)。これはベビーブーマー世代の高齢化に伴うサイズの大型化の影響といわれ、L.L.Bean、Land's Endなどのカジュアル衣料の世界では、「プラスサイズ」という大きな女性対象の衣料ラインが増えています。

「Fat and Short(体重と身長による差別を禁じる法律)」で勝訴したSF在住のフィットネスインストラクターの場合

ここサンフランシスコ(SF)には、肥満に関連したユニークな法律があります。「Fat and Short(肥満と背の低さ)」という体重と身長に対する差別を禁じる法律です。今年の5月6日身長5フィート8インチ(約172㎝)、体重240パウンド(約109㎏)、サイズ16から18の38歳のJennifer Portnickは、世界最大のフィットネス団体Jazzerciseから「ルックスがインストラクターとして不適切」という理由でオーディションで落とされ、これを差別としてSFの法廷に訴えて、ユニークな「Fat and Short」の適用により初めて勝訴しました

Portnickの場合は、15年間ハイインパクトのエアロビクスを継続して行っており、インストラクターの資格もAFAA (Aerobics and Fitness Association of America)を通じて獲得しているので、体重を別にすれば何の問題もなくジャズザサイズのインストラクターの資格は取れたはずです。それを考えると個人のフィットネスのスキルではなく、ルックスにこだわったジャズザサイズの資格基準は、差別と言える不適切なルールであり、30年前の価値基準がそこにまだあったという感じです。この敗訴をきっかけにジャズザサイズはルックスの基準をポリシーからはずして、現在はあくまでもスキルで判断という方向へ転換しています(ジャズザサイズのウェブサイトやカタログには、それ以降必ず太った体型の女性がレオタードのモデルとして出ており、その配慮は即実行されています)。

ジャズザサイズは、アメリカ版のお稽古事

ジャズザサイズは、ジャズダンスとエクササイズをブレンドして、ウェイトやチューブを活用しながら様々なジャンルの音楽を使って行う60分間のフィットネスです。1969年Judi Sheppard Missettによってはじめられたジャズザサイズは、30年以上にわたって全世界で1,400万人の利用者を生みだし、世界38カ国に約4,700のフランチャイジーを持ち、本社とフランチャイジーを合計した売上は、2001年度で5,870万ドルに上る世界最大のフィットネス団体です。私も2年前からジャズザサイズをはじめており、これによって心と身体のバランスが非常に良くなり、10パウンド(4.5㎏)ぐらいの余分な体重と脂肪が徐々に落ちて、今は筋肉強化の段階に入りつつあります(日本のジャズザサイズの情報)。

私が最近実感するのは、このジャズザサイズの仕組みが日本のお茶やお花のお稽古事に非常によく似ているということです。インストラクターは、本社での資格試験(免許皆伝)をパスした後は、オーナーとして自分のクラスを開き、本社指導の全国共通のプロモーション活動を実施しつつ、ほとんどはオーナー管理の元で生徒募集などの地道なマーケティングを展開していきます。年に何回か開催されるジャズザサイズのコンベンションは、生徒とインストラクターが泊りがけで参加して、実際に家元一家(創業者Missettや娘)に会い、ジャズザサイズのコーポレート・アンブレラのもとで、みんながその流儀を堪能する楽しいイベントです(私が参加する11月22日から24日のSFのコンベンションは、1,500名ぐらいの参加者が予定されています)。また地域に密着しているインストラクター独自のイベントやパーティなどもあり、クラスマネージャー(生徒)が、ボランティアリーにクラスをサポートするコミュニティに根付いたフランチャイジービジネスです。このアメリカ版の合理的な家元制度とも言うべき組織運営は、ビジネス以上の強い絆を生徒とインストラクターの間に芽生えさせ(師匠と弟子関係)、周囲の後押しによって自然発生的に優秀な生徒が次なるインストラクターへの道を目指す、そんな風景が見られます。

私のジャズザサイズライフ

私の通うジャズザサイズのクラスは、私のお師匠さん(インストラクター)も含めて、生徒たちもシリコンバレーらしく個性的です。インストラクターのジェシカは、私と同い年の46歳、NASAで「宇宙の無重力空間における生物の生命創造」を研究する博士(Ph.D)で、世界中を講演やコンファレンス出席のために飛び回っています。この忙しい彼女をサポートするアシスタント・インストラクターは、親子2代のインストラクターで看護婦資格を取ろうとして実地や勉強に励む25歳のエミリー。ベビーブーマー世代とジェネレーションX世代の2人のインストラクターのコンビネーションで、クロスオーバーした個性と体力で私たちを指導しています。実際にジェシカの時は、わりと緩やかなワークアウト、エミリーのクラスになると私自身目の色を変えて、25歳の彼女の激しい動きに挑戦すべく、異常に張り切ってエクササイズしています。

クラスメイトは、前述のSFの「Fat and Short」には抵触するはずがないくらいに、バリエーションに富んでいます。ソフトウエアのエンジニア、テレコミュニケーションのセールス、不動産、都市開発研究のドイツ人博士(Ph.D)、ローティーンのインド系の姉妹、大学に通いながら2人の子供を育てるシングルマザー、私と同じ年で2人の孫を持つ事務職、65歳のフリーランスの校正のプロなど、数え上げたらきりがないほどの年齢、性別、職業、人種、もちろんさまざまな体型のクラスメイツが、各々のペースで楽しく身体を動かしています。

野生に戻る私

私は月曜日から木曜日までの夕方6時から4時の1時間、特別な仕事やミーティングを除いて、必ずジャズザサイズに出かけるようにしています。ここで過ごす1時間は、私にとってインストラクターのジェシカがいう「Appreciate your body」という、自分の身体をいとおしむための大切な時間です。朝の5時半からコンピュータの前でタイプを打ち続けている私にとって、音楽に合わせて飛び跳ねながら、自分の気持ちを身体で表現することは、本当に大きな気分転換となります。またパンチングやキックのような攻撃的な運動もメニューに入っており、そうした動作を繰り返しながら、自分の内面にある「強さへの憧れ」を発見して、驚くこともしばしばあります。また動物的な叫び声を瞬間的に上げて、大きく酸素を身体に送り込むなど、肉体の限界に挑戦することによって私の野生が大いに刺激され、終わった後の解放感はすばらしいものがあります。

子供の頃、母に少なくともお花とお茶ぐらいは習っておいた方が良いと言われながらも、モダンバレエと書道(一応免状取得)へ走ってしまった私は、今はアメリカ版のお稽古事「ジャズザサイズ」で、毎日1回野生に戻りながら、地元コミュニティとの付き合いを深めています。周囲から強くインストラクターになることをすすめられている私が、日本出張で2週間留守にするとクラスメイトから最前列に私がいなくて困ったと苦情が出るほど、熱い期待を受けています。将来インストラクター資格試験を最高齢でパスして、資格獲得の記録へ挑もうかな? なんて真剣に考えながら毎日踊っています。

Comment

Comment

コロナ禍でのアメリカ生活①「他の人ファースト」の気持ちをまず持とうよ

IMG_7570.jpg

日々刻々と変化するアメリカの生活環境の制限の中で、自分がどんな風に暮らしているかを、思いつくままに書いてみる。

Jazzercise(通称ひさみの朝稽古)の休止

今朝の私の最も重い決断は、毎日行くJazzercise(通称ひさみの朝稽古)を今週から休止して、自主トレに変更したことである。私が通うJazzerciseのクラスは、通常はインストラクターを入れて5-7名ぐらいの少人数で、バレエスタジオの1室を借り切って実施している。Utah州では現在10名以下の集会を停止するよう求めているが、このクラスは10名以下で、スタジオでの各自のポジションは2-3 mぐらいの距離があり、インストラクターは、生徒が1人でも通う限りクラスは続けると言っている。

すでに1週間ぐらい前から、Social distancing(少なくとも2 mは相手との距離を持つ:remaining out of congregate settings, avoiding mass gatherings, and maintaining distance (approximately 6 feet or 2 meters) from others when possible”)を考慮して、クラスを休んでいる生徒もあり、私も米国の感染者数急増を考慮すると、個人としての責任もあり、クラスに行くことを断念した。朝稽古のこの1時間が私の心と身体の解放につながり、非常に重要だけれども、この状況下では、自主トレーニングに切り替えるしかない。幸い、広大な自然の中に住んでいるので、周囲を歩く、自転車に乗る、さらに自宅のあるコミュニティには温水の屋外プールがあり、誰も泳いでいないので、1人で泳ぐことに決めた。今日はあいにく雨降りで、また通常は82度F(27.8度C)の温水プールが故障らしく70度F(21.1度C)しかなので、自宅の室内でウエイトでもやるしかないという状況である。

データで見る米国のコロナ禍の急増

米国は昨日(3/22)の時点で感染者数は3万5,075人、新たな感染者数1,529人、新たな死者39人、合計458人が亡くなっている。毎朝、私はこのデータサイトで、国別のコロナ禍の数字をチェックしているが、米国が日々各国を追い抜いて上位に上がり、現在はイタリアに次いで3番目となっている。イタリアの感染者数は5万9,138人で、死者は5,476人と、兎に角死者数が半端ではないが、死者数ともかく、イタリアの感染者数は、米国が追いつく射程距離内に入ってきていると思う。

Corona numbers_03_23_20.png

因みに3/20にチェックした時のデータが以下で、米国の感染者数は1万6,067人で、上位には中国、イタリア、スペイン、イラン、ドイツがいて、米国は5番目に感染者数の多い国だったが、2日間で一気に3番目に浮上している。

Corona update.png

テレワークが出来ない勤労者のコロナ禍疲れ

この急激な感染者数増加は、検査数増加と自覚症状のない感染者のフィジカリーに動き回るソーシャルな行動によって拡大しており、数字は今後もどんどん上がると思う。昨日夫と2人で恒例の日曜日の1週間分の食料品の買い出しに出かけたが、マーケットは開店時間を短縮し、シニア向けの特別な優待時間(開店の最初の1時間はシニアのみ)、キャッシャーと顧客の間に透明の仕切りを構築、顧客持ち込みのusable bagの禁止(店の備え付けの紙袋のみ)など、様々な対応を図っている。キャッシャーの顔に見るストレス(自身が感染するかもしれない不安)などを見ると、現在一番心配なのは、医療従事者や従事者の防護機材不足、さらにメンタル面での疲労が真っ先に浮かぶ。

米国が最も恐れるのは「コロナ禍による米国のイタリア化現象」

以下のOECDのグラフは、米国が最も恐れるのは「コロナ禍による米国のイタリア化現象」への1つの要因となるデータである。

Beds by countries.png

この国別の1000人当たりのベット数比較(2016年のデータ)で、日本はベッド数では13.1とトップで、イタリアは3.2、米国は2.8と非常に少ない。もうすでに、医療従事者に及び関連のコロナ禍に現場で立ち向かっている人達は、収容能力や機材不足で悲鳴をあげており、このデータが示唆するように、もしイタリアのように急激なコロナ禍拡大になると、医療現場はとんでもない状況に陥る。

以下のグラフは同じくOECDによるデータである。


19-0995-F1.jpg

このイタリアが陥った急激なカーブを、何とか緩やかにすべく、米国は今必死に政府・州行政がコロナ禍に介入し、市民に多くの制限を課しているが、この急カーブが、どのくらい緩かに、いつ管理出来るかが、ポイントだと思う。多分ここ2-3週間が正念場で、流石のTrump政権も、あれだけコロナ禍を軽視し放置していたにも拘わらず、株価の暴落&景気後退突入という、自分の再選への赤信号が点り、急激な政府介入をせざるを得ない状況に追い込まれている。

市民として責任

個人が出来ることは限られている。テレワークが出来る環境の勤労者は、実際は僅かで多くの米国の勤労者は、実際にオンサイトに行く業務が多い。レストラン業界、特にMom & popの小さなレストランを中心に、お客のチップで生活を支えていたような人達は、一気に失業、休業、倒産となっている。私が住むSt Georgeもレストラン営業停止となり、レストラン休業で職を失った人達を助けるために、の近所のレストランXterra が、地元のレストラン業界を救済するためのセンターを立ち上げて、寄付金募集が始まった。我が家もまずそこに寄付をして、少しでも、最も被害にあう人達を助けることから始めた。寄付金は、レストラン営業停止に伴い、サプライヤーの無駄になる製品を買い上げるなど、何とか小さなレストランの救済を図ろうとしている。現在目標は15,000ドルで、私達が寄付した後、1時間で14,610ドルまで増えている。

「他の人ファースト」の気持ちをまず持とうよ

物流がまだ機能している時に、最も困るのが不安にかられた人達が、自宅に製品をストックし始める「自分ファースト」の行為。最も影響や被害を受ける人を最優先にして「他の人ファースト」の気持ちを持てば、棚から何週間もトイレットペーパーが消えるなんて、馬鹿げたことは起きないと思う。すでに我が家では、過去2週間トイレットペーパーが購入できず、我が家のペーパーロールはあと7個となり、夫はティッシュペーパーをトイレで使用することに切り替えた。あまり重要視はしていないが、どこまで我が家のペーパーが持ち、いつペーパー危機が解除されるかを、意外と客観的に見つめている。




Comment

Comment

Yes, Yes, NOMO! 私とベースボール2001年4月4日の私の想い

IMG_4491 (002).jpg

今日このnoteに私が、19年前に書いたコラム「Yes, Yes, NOMO! 私とベースボール」をアップロードします。このコラムは、2003年発行の私の初の書籍『ひさみをめぐる冒険―サンフランシスコで暮らす楽しみ "It's an Adventure -  Hisami Lives America" 』に掲載されたものです。週末ひょんなことからYouTubeで『大リーガー 野茂ー NHKスペシャル 1995年放送』というヴィデオを見て、同じ年に米国移住して来て、思いもよらない様々な困難の中でもがき苦しんでいた私が、メジャーリーグにデビューした野茂に、どれだけ勇気づけられたかを綴っています。手元にこの書籍の電子ファイルの原稿がなかったので、ハードカバーの本を見ながら、タイプを打ち直し、不覚にも涙がこぼれました。3年前に亡くなった母は、この書籍を読んで「一言も言わなかったけど、ひさみはこんなに苦労したのね」と涙ながらに私に感想を語ってくれたことも、思い出の1つです。表紙の写真はゴールデンゲイトの裏側の崖に落ちそうになりながら、プロのカメラマンに撮影してもらいました。

野茂との再会

私とメジャーリーグ・ベースボールの最初の出会いは、野茂がデビューした1995年に遡ります。そのユニークな投法と実力で多くの話題を提供し一躍ブームを作った野茂は、その後ロスアンジェルス(LA)ドジャースから移籍した後は低迷を続けていました。以下のEmailは、そんな野茂の復活に興奮して2001年4月4日、日本の友人に宛てたものです。

ノーヒットノーランで飾った野茂の復活

今、ESPNのTVとウェブを見終わり、やはりこれは野茂に刺激され、ここUSで同じように6年間がんばってきた大柴ひさみとしては報告せねばと思い、Emailしています。すでに速報が入っていると思いますが、野茂がボストン・レッドソックスでのデビュー戦をノーヒット・ノーランで飾りました。これは歴史的な出来事で、彼はメジャーリーグ史上リーグ最速(シーズン開始後最も早い時期4月4日、以前の記録を3日早めた)でノーヒット試合を達成しました。さらに2リーグにまたがるノーヒット投手として、ノーラン・ライアン、サイ・ヤング、ジム・バニングという球史に残る名投手に続く史上4番目の席を手に入れました。またボストンのカムデンヤーズ球場に、最初のノーヒット・ノーランゲームをもたらすという数々の記録を、今日達成しました。

私がなぜこんなに喜んでいるかというと、ESPNのアナウンサーが「だからベースボールは面白い。過去3年間苦しんでいた偉大な投手野茂が、移籍したデビュー戦でこんなエキサイティングなピッチングをする。毎日さまざまなドラマが、たくさんの球場でうまれるんだ」という興奮したコメントを聞いたからです。このアナウンサーの声と表情には、外国人プレイヤーを特別視せずひとりのメジャーリーガーとしてきちんと尊敬している態度がにじみ出ており、野茂以上に彼の新鮮な意見がとても嬉しく思えました。

1995年、野茂と私がアメリカに来た年

野茂がメジャーリーグにデビューした1995年、私も38歳でアメリカにやってきました。現在サンフランシスコ(SF)のランドマークとして有名なジャイアンツのホーム球場のパックベルパークの建設以前で、ジャイアンツが、SFから少し南に下った強風で有名なキャンドルスティックパークでプレーしていた頃です。ベースボールファンの夫に連れられて早速メジャーリーグ初観戦。当日は、何とマッシー村上(最初の日本人メジャーリーガー)の記念試合で「SFジャイアンツ対LAドジャーズ」、さらに先発が野茂というまさに絵に描いたようなお膳立てした。私は、試合前の国歌斉唱の時にマウンド上に立つ着物姿のクラシックのソプラノ歌手を見て驚き、彼女が「星条旗よ永遠なれ」を歌い始めてこの着物と米国国歌の不思議な組み合わせに、アメリカに住む自分の姿を見たような奇妙な感覚を覚えました。その後村上さんによる始球式、さらに審判のプレイボールの声の後に登場した野茂の投球を見て、私の奇妙な興奮のボルテージは上がりっぱなしとなりました。

メジャーで成功した野茂に続け

試合は、トルネードの威力そのままにドジャーズが勝ち、通常ドジャーズに異常な敵愾心を燃やす地元ジャイアンツファンも(この関係は昔の巨人・阪神戦みたいな関係です)、野茂の魅力にかなり参っていたのを覚えています。まだアメリカに来たばかりで英語や文化習慣に戸惑っていた私は、試合終了後「野茂みたいに絶対にがんばって、アメリカのビジネスのメジャーリーグで成功するぞ」と心に誓ったものです(ファンレーターをドジャーズ宛てに出して、球団の広報から必ずこの手紙は野茂に渡すという返事が来ました。彼は読んだのかしら??)。野茂はその年新人賞を獲得し、1997年メジャーリーグ史上最速の500三振を達成するなど小さな子供でも「NOMO」の名前を知っているといわれるぐらいに、超有名プレーヤーとなりました。彼の持つ力は、日本人であるモノ珍しさを超えてメジャーリーグの実力のある投手として評価されており、そこが当時の私を大いに勇気付けてくれたものです。

一朝一夕でメジャーリーグでの成功はありえない

今回の復活ともいうべきこのノーヒット試合も6年間山あり谷ありの中、野茂が黙々とここアメリカで投げ続けた結果だと思います。1996年のノーヒット」試合がフロック(運が良かった)とはもちろんいいませんが、今日の試合の重みはそれ以上です。試合後のいつにもまして無表情で淡々とした彼の表情には「あたりまえだよ。しっかりキャンプで準備してきたんだから」といっているような、ホンモノの余裕を感じさせるものがありました。猫の背伸びみたいなトルネード投法も、個性を尊ぶアメリカでは大いに人気を博し、野茂の無駄口をたたかない「Zen Likeな態度(禅のような・神秘的な)」は、今年大いにべースボールファンを楽しませてくれることを予感します。

底知れぬ不安感と暮らしていた当時の私(2002年11月6日)

このEmailを読み終わって、どれだけ米国移住当時の私が外国生活そのもののプレッシャーの中で生活していたのかを実感しました。もし1995年野茂がメジャーに来て活躍しなければ、独立して自分のビジネスをはじめるというチャレンジングな発想も生まれなかったかもしれない、ふっとそんな思いもよぎります。自分と野茂を等身大ではかるのはおこがましいかもしれません。ただ米国移住当時の私は16年間日本でビジネスをやってきた人間としての自負はあったものの、それを本当に異国の地で活かせるのだろうかという底知れぬ不安感に、常にさいなまれていたような気がします。彼のドジャーズ移籍後の不振も、自ら就職やビジネスがままならなかった頃と重なり、彼がそれをプロとしてひとつひとつ克服してきた姿に、本当に勇気付けられました。

日本人云々という気負いが抜けた時

その後米国生活に慣れるに従い、ビジネス上での日本人云々という気負いが徐々になくなり、知らぬ間にベースボールの見方も日本人に注目する態度から、地元のチームを応援する熱心なベースボールファンというふうに変化してきました。その間イチローの大活躍、新庄のSFジャイアンツへの移籍など、いろいろな日本人選手の活躍もありましたが、今はひたすら地元ジャイアンツがワールドシリーズに出られることを夢見ています。先日もパックベルパークに日本からの知人を連れていった時に、間違って車でマスメディア用のゲイトに入ってしまい、ちょうど監督のダスティ・ベイカーが球場入りするところに遭遇しました。ダスティのファンである私は、思わず彼に声を掛けて気軽な立ち話を彼とする機会を得ました。あまりにも大胆で自然な私の態度に驚いた知人は、彼を個人的に知っているのか?と聞く始末で、特に個人的に知らないけど、彼はとってもフランクに答えてくれたよと返事をしたら、知人の目は点になっていました。

ベースボールの中に、アメリカの家族のあり方を見る

ベースボールは、他のプロスポーツと異なり家族で楽しむスポーツとして、アメリカ人のライフスタイルを代表しているような気がします。ボールパーク(球場)では、おじいちゃんやおばあちゃんが、孫や子供と一緒にグラブを片手にスコアボードをつけながらゲームを楽しんでいる光景を多く見かけます。またチームが深く地元のコミュニティとつながっているので、地元ファンへのサービスや優遇制度、チャリティ活動への貢献など、チームは地元と一体化するためのイベントをたくさん行っています。9月28日ジャイアンツがナショナルリーグのプレイオフ出場の資格を獲得した日、バットボーイとして働いていたダスティの息子は、まだ4歳ぐらいで、バットの長さと同じ位の身長でよろよろしながらバットをダックアウトに運んでいました。ダスティは、試合終了後その小さな息子を抱き上げて、お祝いのシャンペンがけのパーティルームへ入っていきました。こういう光景は、とても攻撃的なフットボールやバスケットボールの世界では考えられないものです。

私がベースボールを好きな理由はそこにあります。ホットドッグをほおばりながらベイの潮風に吹かれて、ファンとプレイヤーをさえぎるフェンスがほとんどないボールパークで地元チームを応援する。この良さは、アメリカ生活の醍醐味です。ダスティと自然に会話ができた理由は、ここにあるような気がします。

Comment

1 Comment

アメリカに税金払えよ、Silicon Six!

Outlaws.png

Trump政権はコロナ禍がトリガーとなり、米国株式市場を含めて世界の経済ががたつき、結果米国政府は、1兆ドルの緊急経済対策予算の一環として、来週以降5,000億ドルを米国納税者に還元し、3,000億ドルをスモールビジネスに投下するため、今議会と調整中である。

私が以前から物凄く嫌な気分になるのは、うちみたいなナノサイズの小さな企業(JaM Japan Marketing LLC)でも、過去20年間きちんと毎年納税している。それに反して、海外に拠点を設けて、徹底して租税回避をし続ける巨大企業、例えば「Silicon Six (Amazon, Apple, Facebook, Google, Microsoft, and Netflix)」みたいな企業が、過去2010年から2019年の間、本来払うべき金額1,553億ドルを節税しているという事実(この6社に限らず、多くの米国大企業がTax havenのような場所にHQを設置して、税金逃れを徹底して行っている)。

この金額が米国に納税されていれば、また今後納税されれば、どれだけ税収入が潤うか? 巨大企業はロビイストに莫大なお金を投下して、税金逃れの抜け穴を作り、そこで莫大な金額を節税し続けている。これをフィックスすることは、非常に重要で、こうした国の危機に陥った時、富の格差位以上に、納税格差に関して、憤りを感じる。1兆ドルの経済対策予算だって、私達が毎年きちんと払い続けている税金を使うわけであり、いつまでこうした大企業の税金逃れの抜け穴を、放置しておくのか? 強い疑問と不信感を感じる。

Silicon Sixに限らず、これらのテック企業は如何に私達個人の情報を吸い上げてそれを元に商売しているのかと思うと、彼らの租税回避行為に無性に腹が立つ。Amazonは、2018年110億ドル以上のProfitをあげて、1億2,900万ドルの税金のリベートを連邦政府からもらっている(税金を政府に払うのではなく、政府から戻し減税されている)。

021319-Amazon-Corporate-Taxes-Feature-Image.jpg

この数式はどう考えても、おかしいし、理屈に合わない。

コロナ禍によって、我々がSocial distancingを余儀なくされて、簡単にリアル店舗に行けなくなった現状からすると、如何にAmazonが便利でもなるべく使わないようにすべきだと思う。

ETLNHAoXkAE6Isp.jpeg

コロナ禍は、私達に、社会、経済、ヘルスシステム、企業の在り方、働き方、教育の仕方、買い物やコミュニケーションの仕方など、20世紀の鋳型にはまって硬直していたステレオタイプな常識を壊して、21世紀に移行するための重要な契機となると思う。

1 Comment